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貴方は 春風に背を向ける

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貴方は 春風に背を向ける

6 - 第6話:このぬくもりを 君にあげる

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2025年03月08日

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僕達1年生は、このテストが終わると下校することが出来る。

もうテストは終わったから、今から帰る所だ。

今日は、帰り道で菜摘に会うことが出来る。すでにウキウキし始めていた。

そんな僕の表情を見た檸檬ちゃんは、僕にまた話しかけてきた。


「侑里くん、何か嬉しそうだね!!何かあるの??」

「え、そうかな?….特に何も無いけど。」

「ホントに??うっそだ〜」

「嘘じゃないよ?」

「そこまで言うなら… 本当か。なら良いんだけどね〜!」

「じゃ、侑里くん、また明日ね!バイバイ!」

「バイバーイ」


檸檬ちゃんはそう言って、すぐに教室を出ていった。

本当に素直で明るい人だ。こう言う人がクラスに一人でも居ると、クラス全体の雰囲気が明るくなるんだよなぁ…

そういう意味でも、檸檬ちゃんは接しやすくて良い人だなと思う。

――そして、しばらくして僕も教室を出た。



・・・


帰り道――


僕が一人で帰っていると、“アノ人”がやって来た。

もう分かっていたけど、ここで来たか。

まだ門を出てすぐだけど… やっぱり居場所が分かってるんだ…

ちょっと怖くなってきたかも…

そんな事を思っていると、菜摘が話しかけてきた。

菜摘は、また『笹』を持っていた。


「侑〜里。来たよ?」

「菜摘…!来てくれたんだな…!」

「そりゃあ、私から言ったじゃないの。だからよー。」


菜摘は笹を小さく振りながら、僕にゆっくりと話しかけてきた。

――好きな、、人….!

――僕の初めて恋をした人、菜摘….

やっぱり僕は、菜摘の事が好きらしい…



「笹、持ってきたんだね…!」

「えぇ、もちろん。」

「….//」


僕はそんな会話をしながら、菜摘の顔をまじまじと見つめてしまった。

ふと菜摘と目が合うと、菜摘はふっ と笑った。

僕は、顔がほんのり赤くなった…


「侑里…」

「! どしたの?」

「私の家、来る?」

「え。」


それを聞いた僕は、思わず声を漏らしてしまった。

“菜摘の家に行ける…?”

そんなの行くしか無いじゃないかっ!!


「私の家に__」

「行くっっっっっっっ!!!」

「即答!? ふふっ!」

「あ… ごめ、ん、、」

「ふふっ! ふふふふっ!ハハハッ!!」

「…//」


菜摘は、僕が即答したことで笑いのツボにはまったらしい。

その場にしゃがみこんで笑い続けていた。


「….//(か、可愛い…//)」


菜摘の、こう言う所が好きなんだよなぁ…

――この菜摘の笑顔、ずっと見ていられる…

綺麗…


そんな事を考えて見つめていると、急に菜摘が立ち上がり、僕のことを見つめた。


「!?….」

「….」


数秒、いや数十秒の間、僕達は何も喋らずに立ち尽くしていた。

何も話せなかった。こんな状況で….


『好きな人が目の前にいて、ずっと見つめられてるのに…』

『あんな事、言えるわけ無いだろ…!!』




僕は今、何をすべきなのだろう…?

この状況を、どうすれば変えられるのだろう…??

このままでは、僕の顔が赤くなっていくだけだ….

僕はその顔を見られたくなくて、立ったまま目を閉じてしまった…



……



そこから何秒か経ったけど、怖くて目は開けられなかった。

まだ沈黙が続いていた… 今どうなっているのかも分からない….


「….う、っ……!!」

「….」


僕はついに、覚悟して目を開いた。

そこには、菜摘の姿は無かった…


「!? 菜__ !!!!!!!」



僕の体に、優しい感触が―――!!

首元も何故か、凄く温かかった。今日は少し寒い日なのに…




“菜摘の体は、何でこんなに温かいんだろう…??”




僕は、自然に菜摘のことを抱きしめていた。

菜摘からされたのだろうか。目を閉じた時は、菜摘は正面にいたはず。

なのに、今は距離が一気に縮まって…

いや、もう距離0mだった―――


「な、つ、み…. //」

「もっと… 抱いて….」



僕は、自然にそんな事を言ってしまっていた。

もっと抱いて、だなんて…. 気持ち悪すぎる…!!

ヤバイことしちゃった… どうしよ―――

だけど菜摘の反応は、思っていたのと違った。



「もっと?分かった…. !!」


そう言って、ギュッと抱きしめてくれた。

僕のことを包み込むように、優しく….


僕達の顔は、もう触れていただろうか。曖昧だけど、気持ち良い感触があったから… きっとそうだろう。

僕は、顔から火が出るような感じがしていた。

それは僕だけでなく、菜摘もだった。そっと目を開けると、菜摘の顔も真っ赤に染まっていた。

こういう経験は初めてだったんだろうか。僕が初めてで良かった…!!


そんな事まで考えられるぐらい、この感触に慣れてきていた。

この出来事はきっと、人生で一番の思い出になるだろう。

今は、そうとしか思えなかった。




――しばらくして、菜摘は僕に巻き付けていた腕を ふっと離した。


まだ顔が赤い僕に、菜摘はこう告げた。



「大好きっ…!」


その言葉に、僕はフリーズしてしまう。

――今、何て言った…?


“大好き…??”


そんなの、僕が最初に言いたかった。

僕が言えば、全て僕の物になったのに….

まだ会って数日しか経ってないのに、これ? そんな馬鹿な!

こんなに嬉しいこと、あるかよ!!!

そんな事を考えて黙っていた僕は、菜摘にこう伝えた。


「僕も好きだよ…!菜摘――!! 」

「! 侑里…!」


菜摘は、更に続けた。


“私のこと、幸せにしてくれますか?”

“私のことを嫌いになったり、裏切ったりしませんか?”

“私のこと、ずっと大好きでいてくれますか…?”


僕は、それに答える。


“当たり前でしょ?大好きなんだから…”

“もう、菜摘に辛い思いなんてさせない!!”

“菜摘を幸せに出来るのは、僕だけ。”

“僕が好きなのは、菜摘だけだよ!!”



これまで思ってたこと、一気に吐き出せた…!!

菜摘の気持ちに、応えられたかな…. ?

すると、菜摘が深呼吸をして、こう言った。



「私が言った「これまでの人」って言うのは、前に私が好きになった人のことなの。」

「だけど、そのみんなが私と付き合って…」

「みんな、約束を守って去っていった….!!」

「『絶対守る!』って言った人ばっかり、約束を破った…」


「….(辛すぎる…)」


――菜摘は、目に涙を浮かべて そう話した。

これを聞いて、僕まで泣きそうになってしまう。

だけど、話は終わらない。



「信用してたのに… 好きだったのに….」

「みんなに裏切られて、もう限界なの..!!」

「侑里は守ってくれる。絶対…!!」

「前も言ったけど、そうだよね?侑里…!!」


「!! 当たり前だ…!」


「そうよね… ありがとう..!話を聞いてくれて…」

「こんなに好きになったのは… こんなに信用できると思ったのは…」


“ただ一人、侑里だけよ…!”


「!!」


僕は、ひたすら話を聞くだけだった。

こんな過去を聞いて、泣かないやつがどこにいるか…??


「ごめんね、侑里… 私の話ばっかりで…」

「そんな事無いっ! 僕が好きなのも菜摘だけだから…!」

「! ありがとう…!!」

「あ!さっきの話に戻るんだけど…」


菜摘、急に話を変えるよな… 〜 こんなに泣きそうなのに、、、

きっと、さっきの話 というのは 菜摘の家に行くかどうかの話だろう。展開早すぎだ…

だけど、話を変えてくれなきゃ号泣するからな… これで良かったかも…!




「私と、付き合ってくれますか?」

「ひっ!?」


思わず変な声を出してしまう僕。そりゃそうだ。

だって、「話を変える」と言っておいて、まさかの告白!?

そんなの聞いてないって….!!

ま、これも即答なんだけどっ…!


「もちろん!!」

「ありがとうー!!」


菜摘は、僕が見た中でも一番の 輝かしい笑顔を見せてくれた。

まるで太陽のようにキラキラと輝いていた。

明るい雰囲気になって良かった…!!



そしてまた、僕達は抱き合った。

夕日が、僕達のことを明るく照らしていた。




煌めくオレンジ色の夕焼けの下、僕達は一番の幸せをかみしめるのであった――





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