テラーノベル
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午後7時。
木村家では夕飯タイムが始まっていた。
……はずだった。
「やだぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁん!!!!」
リビングに二つの絶叫が響く。
拓也、無言で天井を見る。
「……始まった」
風磨が味噌汁を置きながら呟いた。
原因は単純。
ジェシーが使っていた青いスプーンを、康二が「それがいい」と言った。
そこから五秒で戦争になった。
「ジェシーのぉぉぉ!!!」
「こうじのぉぉぉぉ!!!」
二人とも床に転がって泣いている。
大我と北斗は慣れた様子で避難。
「今日長いな」
「30分コース?」
慎太郎はうるさすぎて半泣き。
「みみ いたぁい…」
優吾が即イヤーマフを装着させた。
「はい避難ね〜」
☆
ジェシーは癇癪タイプ。
感情が爆発すると止まらない。
「うわぁぁぁん!! いやぁぁぁ!!」
床バンバン。
涙だらだら。
しかも今日は眠い。
最悪コンボ。
一方の康二は――
感覚過敏で、一度崩れると切り替えが難しい。
「やだやだやだやだ!! あお!! あお!!」
耳を塞いで泣きながら、その場から動けなくなっていた。
空気がピリつく。
その瞬間。
風磨が立ち上がった。
「はい、ジェシーこっちな」
ひょいっと抱き上げる。
「いやぁぁぁ!!」
「はいはい暴れるな〜」
慣れすぎている。
しかも片手。
もうプロだった。
☆
その頃、樹は康二の前にしゃがみこんでいた。
「康二」
「やぁぁ…」
「青のスプーンな」
康二は涙でぐしゃぐしゃの顔のまま頷く。
樹は少し考えて――
自分のスマホケースを外した。
真っ青だった。
「ほら、貸したる」
「……あお」
「おう」
康二はぴたりと泣き声を止めた。
一同「おぉ…」
樹、ドヤ顔。
「オレ天才」
「たまたまだろ」
優吾が即ツッコむ。
☆
だが。
問題はまだ終わっていなかった。
ジェシーである。
「うわぁぁぁん!! じぇしーも あおぉぉぉ!!」
飛び火した。
「最悪!!」
風磨が叫ぶ。
樹が腹抱えて笑う。
「ギャハハハ!!」
「笑ってんじゃねぇ!!」
するとジェシーは突然、風磨の肩でぴたりと止まった。
全員「?」
ジェシー、小さな声。
「……ねむい」
「あーーーー」
全員納得。
限界だった。
風磨は苦笑しながら背中をぽんぽん叩く。
「寝ろ寝ろ」
数分後。
ジェシー、撃沈。
康二もスマホケース握ったままウトウト。
静かになったリビングで、拓也がソファに倒れ込む。
「……今日も生き延びた」
涼介が笑う。
「父ちゃん毎日HPゼロじゃん」
「おまえら育てるのRPGの裏ボスよりキツい」
すると樹がニヤニヤしながら言った。
「でも楽しいだろ?」
拓也は少し黙って。
寝ている末っ子たちを見た。
風磨に寄りかかるジェシー。
樹のスマホケース握る康二。
それを囲む兄弟たち。
……騒がしくて。
めちゃくちゃで。
毎日大変で。
でも。
「……まあな」
木村家の夜は、今日もにぎやかだった。
――――――――――――――――――――――
END
ゆのでい🍄🩵

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コメント
1件
うわあ、今日もお疲れ様です…!(笑)いやもう、W癇癪ってだけで画面越しに叫び声が聞こえてきそうでした。風磨さんの片手抱っこプロっぷりと、樹くんの青いスマホケース作戦には「ナイス判断!!」って声出ました。拓也さんの「まあな」がもうね…全部報われる一言ですよ。兄弟たちの個性がしっかり立ってて、読みながら自然と笑顔になりました。今夜も無事でよかった…!