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学年一の優等生様には

才能がないらしい。



# prsk夢小説注意


# 魔法学園パロ



⚠キャラ崩壊注意 かなり長め

________


涼しい風が僕を通り抜け、


東校舎の屋上を冷めさせていく。


床のアスファルトは触ると冷たかった。


「…白月さん。その、噂って…」


「あぁ、そうだった。」


僕は思い出したように言った。


「ねぇ、星乃さん。覚えてる?」


「はい、?」


「小学校のとき、

児童会長が居なかったでしょ?」


「”6年連続で”」


「…6年、連続……」


星乃さんは考え込み、


1分も経たないうちに

思い出したような顔をした。


「ありましたね、…」


「それ、なんでか分かる?」


「理由、ですか…」





小学生の時に聞いたのは、


「たまたま立候補する人が居ないだけ」

「やる気が出ない人が多いだけ」


そんな理由だった。


でも、今となれば、


先生がやる気になったら、成績優秀者から

選んで児童会長にさせることも

出来ただろうし、


いくらでもやりようはある。


それなのに、児童会長が

6年連続で居なかった理由…


「ヒント、教えようか?」


「あ、っ…是非!」


「ヒントはねー、」


「能力、だよ。」


「能力…?」


「そう。とある子供の”呪いの能力”。」


「呪いの、能力、?」


能力。


白月さんは簡単に言うけど、


能力はそう簡単に開花するものじゃない。


ましてや呪いの類なんて、


かなり確率が低い。


開花する確率が低い能力の中でも、

さらに低い確率だと

授業で習ったのを覚えている。


「…その子の能力で、児童会長が消える?」


「半分正解だよ。」


「半分正解…?」


「そう。その子の能力ってのはね、」


「関わった人を、皆神隠しに遭わせる能力。」


「関わった人を、

無意識で皆殺しにしちゃう能力。」


「…そんなめちゃくちゃな能力、

あるわけないじゃないですか、?」


私は疑問形になりつつも、


白月さんが言った言葉の

意味が理解できず否定した。


「あるんだよ、それが。」


でも、その否定を

白月さんは真っ直ぐ壊してきた。


「つまり、友達とか先輩とか、みーんな

その子の傍から消えてっちゃうから、」


「その子が小学校に通っていた6年間、

児童会長は居なかったんだよ。」


それが答えだったなんて。


私はそう思った。


「待ってください!6年間って、それじゃあ、

その子はずっと自分の能力に

気づかなかったってことですか、!?」


「いや?正確には、

気づいていたけど気が付けなかったんだよ。」


白月さんは私に背を向け、

沈んでいく太陽の方を見てそう言った。



まるで自分のことを話すように。



「…、?どういうことですか、?」


「その子_Sは、自分は能力なんて

開花しないと思っていた。」


「けれど、ある日を境に自分の

周りの人達が皆死んでいく、消えていく。」


「だから、Sはもしかしたらと思った。」


「自分の能力が開花したんじゃないかと。」


「けれど、忌み嫌われる子の象徴の

呪いの能力なんて、自分でも嫌だった。

信じたくなかった。信じられなかった。」


「だから、その子は自分はそんな能力

持っていないと、思い込むようになった。」


「けれど、そんな思いとは裏腹に

周りの人はどんどん

Sの視界から消えていった。」


「何人も、何十人も。」


魔法で人のシルエットを作り、


それを言葉に合わせどんどん無くしていく。


「だけど、いつかはそんな日も終わる…」


「…じゃあ、人が消えて行くのも終わ」


「悪い意味で。」


「Sの能力は次第に

クラスメイトを始めバレていった。」


「きっかけは死人・行方不明者が

80を超えた頃だった。」


「80…」


学園で言うと、2クラス

行くかどうかくらいの

数の人が消えたということ。


少しだけ、小学校時代の

頃を思い出してきた。


「クラスメイトの子が、流石に

おかしいと担任に言った。他の

クラスメイトも、それに同調した。」


「そして、一番に怪しまれたのがSだった。」


「…なんでですか?」


「消えた子らは皆、Sと仲良しだったから。」


「だから担任もSに話を聞いた。」


「けれど、Sはそれに腹を立てた。」


「なんで自分が疑われるんだと。

被害者はこっちだぞと。」


「その時、Sの能力が完全に開花した。」


「だから、つい殺めてしまった。」


「半分自分の意思で、100%の能力で、

一発だけ魔法を担任に撃ち込んで。」


「まぁ、その衝撃で周りにいた

生徒も皆死んじゃったんだけど…」


「一発…、!?!」


一発なんて、生徒会の人でも

無理なはずなのに。


自分で言うのもなんだけど、生徒会の

私でも、最低で三発

撃ち込まないと勝てないのに。


それを、それ以上のことをその子はやった?


しかも、100%の完全覚醒状態で。


100%なんて、自分を

保つだけでも大変なのに。


「そこからSの能力は暴走した。」


「同級生を全員殺し、」


「ありえないスピードで先生を蹴り、殴り。」


「暴走という暴走を尽くした。」


「止められたのはSの体力が尽きた頃。」


「そして最終的に、Sは幽閉された。」


「幽閉…」


「小学校のとある教室が

Sの自室となり、家になった。」


「Sの自室…教室の扉には

4名の警備員が付き、」


「監視カメラに至っては

かなりの数が配置された。」


「教室の中も、廊下も。」


「プライバシーがなかったんですね、」


「そう。Sに秘密はない。というか

秘密になんて出来ない。

だっていつも見られているから。」


「でもその代わり、その中に

いれば安心安全だった。」


「いつも人がいたし、毎日違う料理に

遊ぶものが届けられた。」


「みんなと同じように勉強だってした。」


「…あの、それって

何年ぐらい前の話ですか?」


「んーとね、…4.5年前。」


「え…結構最近じゃないですか」


「うん。結構最近。」


「だけど、ある冬の日、

Sはその毎日に飽きてしまった。」


「だから、思ったんだ。」


「…何を、ですか?」


「ここを抜け出してみよう…ってね。」


「魔法で、ですか。」


「本当はそうしたかったんだけど、

教室内では魔力が押さられちゃうー

みたいな魔法が掛けられていてね。」


「制御魔法…ですか」


「そ!正解ー。」


「だから、どうしても力技か、

もしくは抜け穴を探すしか無かった。」


「どっちになったんですか?」


「んーとね、力技。」


「そっちになったんですね…」


内心苦笑しながらも、


白月さんの話に耳を傾ける。


「だけど、当時中学生の力なんて、

学校の教室の扉を壊すなんてできない。」


「今なら扉の窓の部分をパリンってすれば

良かったんだけど…当時はそうはいかない。」



この人の話には、


所々、違和感があった。


他人の話をしているはずなのに、


時々、自分のことを語っているような、

そんな口調になっているから。


『今なら』『本当はそうしたかった』

その他にも、他人だとしたら何故そこまで

知っているのかと言うほどに、

白月さんはSのことを知っていた。


「…あの、白月さん。」


「ん?どうしたの?」


屋上の柵に寄りかかって空を

見ていた白月さんが、こちらを向く。


「…その、Sってもしかして、」


「白月さん、ですか?」


薄々気づいていた。


小学校時代のこと。

児童会のこと。

とある子の能力のこと。


全部、聞いたことがあった。


「…大正解。」


そう言って、白月さんは悲しげに笑った。


「…っ、ならなんで今白月さんは

学校に、生徒会に居られるんですか」


「本当にその能力を持っているのなら、

今頃私も死んでいるじゃないですか、」


「そう思うじゃん?」


「だけど、みんなは死んでない。」


「どうしてだと思う?」


白月さんがこちらに向かって歩いてくる。


どうしてか?


能力を壊した?

それとも…


「…能力を、壊したとかですかね」


「…あっははは!」


私がそう言うと、白月さんは

思いっきり笑った。


紺色とオレンジ色が混ざりあっている、

そんな空に向かって。


「っ、急に何笑ってるんですか…!」


「…いやぁ、だって能力を壊すって 笑」


「…まぁ確かに出来るはできるけど、」


「お勧めはしないよ。」


「どうしてですか?」


「…それをやると、その人の

人格も壊してしまう可能性があるから。」


「人格を…!?」


「それだけじゃない。最悪、記憶も…

そして、魔力も。」


「っ、そんな、」


「だから、僕の能力は閉じ込めた。」


「閉じ込めた…?」


「そう。解除方法は、僕が死ぬか、

ある人に解除してもらうかのどっちか。」


「ある人…って、」


「あぁ、その人はもう死んでるよ」


「えっ…!?」


「ま、生きてるけどね。」


「どっちなんですか…」


「んー、ゾンビみたいな?…あ、

不老不死の方がぴったりかも。」


「不老不死…」


「そ。見た目は高校生か大学生くらい

だけど、実際は1000歳を超えてる。」


「1000…!?」


「うん。高校生の時に魔法で死んじゃった

みたいだけど、その時に副作用かなんかで

授かったんだってさ。不思議だよね。」


「へ、へぇ、…」


「ま、とりあえず

これで僕の能力の話は終わり。」


「あ…ひとつ聞いていいですか?」


「ん?なーに?」


「噂…って、なんて流れてたんですか?」


「えっとね、確かー…」


「白月夜は人を殺す能力を

持っているらしい、とか?」


「……………」


「ちょっと!?そんな

冷めた目で見ないでよ!?」


「意図的にじゃないから!」


最初の1人は半分意図的だよな、

と思いつつ、私は言わないことにした。


「あ、あぁすみません、」


「じゃ、これにて

僕の噂についての話はおしまい!」


手でパタンと閉じる仕草をして、


白月さんは屋上の出入口に歩いていった。


「いや、まだ最後まで聞いてな_」


「あ、星乃さんも早く部屋に戻るんだよ~」


「後輩を屋上に連れ出して話していた、

なんてバレたら生徒会追放だからね。」


「…………….」


「冗談だって!!」



そう慌てながら私に手を振る白月さんは、


少しだけ、楽しそうだった。


「続きはまた今度ね。」





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