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「はぁ……」

「はい?」

 僕の発言に二人は別々の反応をした。

 母上はこめかみを手で押さえてため息を。ウェルは先ほどの僕の言動に対して疑問符をうかべる。

「えっと……あなた名前は?」

「は、はい!奥方様、私はウェルと申します」

「そうですか」

 母上は状況整理をし始めた。ウェルという名前を聞いて刹那思考し、話し始める。

「ウェル、あなたはここで何をしていたのですか?」

「はい。シンさんの指示で物置部屋の清掃をしておりました」

「ここの……」

 そう言いながら母上は部屋を見渡す。

「ここを……一人でしたのですか?」

「……はい」

 母上はそう質問し、戸惑いながらもウェルは返答した。

「……ウェル、この件は他の者に確認をしても問題ありませんか?」

「はい。大丈夫です」

「わかりました。……アレン」

「……なに?」

 母上はウェルに再度確認を入れて、話の矛先を僕へと向ける。

「何故、ウェルを専属執事にしたいのですか?」

 その質問はとても真剣な表情だった。

 だが、急に理由と言われても困る。特に考えてなかったけど、強いて言うなら……。

「ウェルじゃなきゃだめなんです!」

 僕の本音だ。

 ウェルは本当に努力家だ。

 ウェルとは付き合いはまだ数日だが、人柄は好きだ。

 信用に足る人物だろう。

『はぁ……これも血筋なのかしら。……キアンにも可能な限り自由にさせるように言われているし……はぁ』

 僕の言動に対してなのかは不明だが、母上はそう呟いていた。

 どこか納得した雰囲気をしていた。

「アレン……この件、少し考える時間を頂戴。あ、ウェル、勝手に話を進めて申し訳ないのだけど、アレンはあなたを気に入ったようなのよ。できたら引き受けてくれると嬉しいのだけど?」

「……専属の件、私はお受けしたいと思っております」

「そう、ありがとう。……この件は追って連絡します。今日は仕事に戻りなさい」

「承知しました」

 専属の件は一時的に保留となった。

 でも、母上のあの呟きや態度からいい方に話が進んでくれることを願う。

 それから次の日、母上はシンや周りの使用人にウェルの言ったことが真実だという確認が取れると正式にウェルを僕の専属執事にすることが決定した。

 ただ、初めは父上が反対をしたものの、母上と二人でお話し、震えながら了承した。

 もちろん僕はどのような内容か話し合いを聞いたのだが、母上は怖すぎることだけが印象に残った。

 こうして一波乱あったが、無事に信用できる執事を見つけることが出来たのだった。

 あ、そういえばウェルはなんで一週間も考える時間が欲しかったんだろう?それに何故掃除をやり切ったんだ?

 こういうのは直接聞いた方がいいか。

「そういえばウェル」

「なんですか?」

「ウェルは僕の専属執事についての話、いつ決めたんだ?」

「いつと聞かれましても……。誘われた時に決めましたよ。やっぱり、アレン様に言われた内容はとても魅力的でしたから」

「え?……なら一週間も必要ないじゃん。なんで?」

「そうですね。……強いて理由を言うならば、ケジメをつけるためですね」

「ケジメ?」

「はい。任された仕事を達成できないようじゃ、アレン様の専属には相応しくないと思ったからです」

「なるほど」

 ウェルを専属執事にできてよかったと改めて実感した。

 ウェルとは長い付き合いになりそうだし、少しずつ信頼関係を築いていこうかな。あと、早めに仕事を覚えてもらうために、父上とシンの仕事を手伝ってもらおう。将来、僕が家を継いだ時、支えになってもらおう。

実は僕……すごく耳がいいんです〜乙女ゲームで感情のない人形と呼ばれた悪役令嬢は重度のあがり症だった〜

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