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青と赤は、大親友だった。
クラスの誰もが知っているほど仲が良く、
ちょっとしたことで笑いあっては、 肩を寄せあい、まるで幼い子供のように「ぎゅー」と抱きしめあってしまう。
「ねぇ赤くん、こっち見てよ」
「ん?なに、青ちゃん」
青が小さく笑うと、その笑顔だけで赤もつられて笑ってしまう。
その光景は、周りのクラスメイトにとっても和むものだった。
ふたりの間には特別な壁も照れもなく、あまりに自然で、見ている方が癒されてしまうのだ。
「ははっ……青ちゃん、声ちっちゃ。もっかい言って?」
「んー……いーやーだっ」
「えぇ~!?もう一回聞かせてよ~!」
赤が青の肩に頭を寄せると、青はふふっと笑いながら、仕方なさそうに小声で同じ言葉を繰り返す。
すると赤は嬉しそうに「ぎゅ~っ」と抱きしめてしまい、青は「わっ」と小さく声をあげる。
クラスの隅からそれを見ていた女子たちが、小声で話す。
「また青ちゃんと赤くん、ぎゅーしてる……」
「ほんと可愛いなぁ……」
「恋人同士でもないのに、なんであんなに仲良いんだろ」
「なんか、見てると癒されるんだよね」
そう、青と赤はただの親友だった。
でも、その「親友」という言葉が物足りなく感じるほどに、2人の絆は深かった。
休み時間になれば、当たり前のように机を寄せ合って一緒にお菓子を食べる。
体育の授業では、ペアを組むのが当たり前。
ちょっとした雑談でも笑いが絶えず、からかい合って、またすぐに「ぎゅ~」と抱きついてしまう。
「赤くん、ぼくのペン貸してあげる」
「ほんと?ありがと、青ちゃん。…これ、青ちゃんの字?」
「うん、そうだよ」
「やっぱり青ちゃんの字って、可愛いなぁ」
そんなふうに、自然と口から褒め言葉が出る。
青はら少し照れたように頬を染めて「赤くんは……褒めすぎ」と返す。
それを聞いた赤が「えへへ」と笑って、また抱きしめる。
まるで、小さな子供がじゃれあっているようだった。
それでも、2人は高校生だ。
教室の真ん中で堂々と抱き合っているのに、不思議と誰も引かない。
むしろ「仲良くていいなぁ」と笑顔になる。
それが、青と赤の日常だった。
昼休み。
青と赤は、今日も机を並べてお弁当を食べていた。
「青ちゃん、これ食べる?」
「えっ、いいの? 赤くんの卵焼きだいすき~!」
「やったぁ! はい、あ~ん」
「んっ……ふふっ、美味しい!」
無邪気に笑いあう二人。
そこへ、ひょいっと赤の肩に腕をまわす人物が現れた。
「2人とも、ほんっと仲いいですね」
落ち着いた声で笑うのは、黄だった。
黄は赤の彼氏だ。先輩で、スポーツ万能、面倒見もいい。
いつもはクラスの女子に囲まれていることが多いが、赤と一緒にいるときはどこか柔らかい表情をしている。
「黄くん!」
赤が、ぱっと顔を上げる。
「こんにちは、黄先輩!」
「やっほー、青ちゃん」
黄は軽く笑って青に手を振り、そのまま赤の頬をつついた。
「ねぇ、赤。昨日は楽しかったですね」
「ちょ、先輩!教室でそういうの言わないでくださいってば!」
赤が耳まで真っ赤になって慌てると、黄はくすくすと笑う。
青は、そのやりとりを見ながら目をぱちぱちさせていた。
赤と自分は、幼い子供みたいにじゃれあう関係。
けれど、赤と黄は「恋人」。
抱きしめ方も、声をかける調子も、どこか違っていた。
「赤くん、……なんか、黄先輩といるときの赤くんは、大人っぽい」
ぽつりと呟くと、赤はびくりと肩を揺らし、気恥ずかしそうに笑う。
「えっ……そうかな? いやだなぁ、青ちゃんに言われると照れる」
黄はにやりと笑って、赤の頭をぽんと撫でる。
「そりゃ、恋人ですから」
「……恋人」
青はその言葉を反芻するように呟いた。
自分には、まだよくわからない響きだった。
その日の放課後。
青は、赤と一緒に昇降口を歩いていた。
「ねぇ赤くん。……恋人って、どんな感じ?」
「ん? どういう意味?」
「赤くんと僕は大親友でしょ? でも……黄先輩とは違うでしょ? どう違うのかなって」
赤は一瞬言葉に詰まり、頬をかいた。
「う~ん……青ちゃんと僕は、すっごく仲良し。でも黄先輩とは……その、好きって気持ちが、なんか……胸がぎゅ~ってなる感じなんだ」
「胸が、ぎゅー?」
「そうそう。……って、説明むずかしいなぁ」
赤は苦笑してごまかしたが、青はその言葉を真剣に噛みしめていた。
胸が、ぎゅー。
その感覚が、自分にもいつか訪れるのだろうか。
数日後。
青は偶然、黄のクラスへ用事で行くことになった。
廊下で立ち止まっていると、教室の中からひときわ明るい笑い声が響いた。
「おいおい、またかよ桃。お前の笑顔ってずるいんだよな」
「ははっ、なんだよそれ」
視線を向けると、そこにいたのは黄と同じクラスの男子――桃。
陽だまりのような笑顔を浮かべ、友人たちに囲まれている。
一瞬、青の胸が、どきんと跳ねた。
” 胸が、ぎゅー。 ”
赤の言葉が脳裏をよぎる。
自分でも気づかないうちに、青はその人から目を離せなくなっていた。
これが、青と桃の出会いのはじまりだった。
教室。
青は机に肘をつき、少し困った顔で赤を見上げていた。
「赤くん……ちょっと相談があるんだけど」
「ん? な~に青ちゃん」
赤は軽く笑いながら椅子に座る。
「えっと……桃先輩と、もっと仲良くなりたいんだけど……どうすれば……」
青の声は小さく、でも真剣だった。
黄と桃が仲がいいこともあり、これまで何度か話す機会があった。けれど、大きく進展することはなかった。
赤は小首をかしげ、にやりと笑う。
「へー、なるほどね。じゃあ、この赤様が特別に教えてあげよっか」
「えっ……いいの?」
「もちろん。ただし、めっちゃ可愛くやらないとダメだぞ?」
赤は机の上に青を呼び寄せ、ひそひそ話で作戦を教える。
「まずはね、上目遣い。目を少し潤ませて、ちょっと困った顔すると効果的」
「う、上目遣い……?」
「そう、こうするの」
赤は軽く顔を傾け、目を大きく見開く仕草を見せる。
青は真似してみる。
「……こんな感じ……?」
赤は笑いをこらえながら頷く。
「うんうん、悪くないよ。次は甘え方!」
「甘え方……?」
「うん、肩にちょこんと手を置いたり、軽く抱きついたり。手のひらの感触とか、ちょっとドキッとするくらいで」
青は真剣にメモを取る。
「あとね、声のトーンも大事。少し甘めに、でも恥ずかしそうにすると効果抜群」
「は、はぁ……なるほど……」
赤は最後に微笑みながら言った。
「青ちゃん……ほんと純粋だなぁ。でも、こういうのを自然にできるのは強いぞ。桃先輩、絶対落ちる」
「えへへ……ありがとう、赤くん……!」
青は顔を赤くして嬉しそうに笑った。
「よし、これで作戦は完璧だな」
「うんっ!桃先輩に、頑張ってやってみる!」
青の瞳は輝き、これから桃にアプローチする決意でいっぱいだった。
放課後、廊下の隅で青は小さなメモ帳を握りしめていた。
赤から教わった “ 桃先輩を落とす作戦 ” を1文字1文字確認しながら、心臓をドキドキさせる。
「上目遣い……肩に手を置く……声のトーン……」
小さく呟きながら、青はそっと桃の教室に入った。
桃は何も知らず、自分の席で教科書を開いていた。
「……あ、青?」
青は慌てて顔を赤らめながら、メモを片手にしゃがむ。
「えっと……あの、桃先輩……ちょっといいですか……?」
桃はにこっと微笑む。
「もちろん、どうした?」
青はメモを見つめ、必死に心の準備をする。
「えっと……あの……その……」
肩に軽く手を置き、目を少し潤ませ、上目遣い……
「こ、こんな感じで……?」
青は震える声で聞いた。
桃は思わず肩を揺らして笑った。
「……あはは、青……そのメモなに? めっちゃ一生懸命だな」
「っ///! え、えっと…これは……」
青は顔を赤くして俯くが、目は必死に桃の反応を見ている。
「うん、すごく可愛いよ。こうやって頑張ってる姿、微笑ましい」
桃の言葉に、青は少し自信を取り戻す。
「そ、そうですか、?……よかった……」
次は声のトーン。
「そ、それから……声は、こう……甘めに……」
「は、はぁ……こんな感じ……?」
青は小さく呟き、恥ずかしそうに微笑む。
桃は笑いをこらえながら頷いた。
「うんうん、いい感じ。……青、頑張ってるのが伝わってくる」
青は嬉しくて少し跳ね、メモを握りしめる。
「もっと……頑張ろう……っ!」
桃は思わず胸の奥が温かくなるのを感じた。
この一生懸命さ、無邪気さ……青のすべてが愛おしい。
「はぁ、青……可愛いね」
「っ///! も、もも先輩ッ……!?///」
青は顔を真っ赤にして目をそらすが、心は弾んでいる。
教室には夕方の柔らかい光が差し込む。
青の一生懸命な行動と、桃の微笑む視線だけで、2人の心は確かに近づいていた。
校庭いっぱいにひろがる喧騒。
夏の名残を含んだ日差しがまぶしく、青の頬を赤く染めていた。
体育祭の日。
クラスごとの応援旗が風にはためき、友人たちの声援が飛び交っている。
「青ちゃん、がんばってね!」
赤が笑顔で手を振る。
「うん、赤くんも!」
青は小さな体で一生懸命走った。
ゴールに飛び込んだとき、待ち構えていた赤が「青ちゃ~ん!」と抱きついてくる。
「わっ!」
そのまま一緒に倒れ込んで笑いあう二人。
クラスメイトたちも「かわいい〜!」と声を上げる。
そんな姿を、少し離れた場所から桃が見ていた。
涼しげな瞳に優しい光を宿して。
午後の借り物競走。
青が引いたお題は――「笑顔が素敵な人」。
観客席を見回した瞬間、青の視線は自然と桃を探していた。
太陽を浴びて笑うその姿は、胸がぎゅ~っとするほど眩しかった。
「も、桃先輩!」
青は駆け寄って手を取る。
「俺でいいのか?」
「はいっ!」
青の迷いのない笑顔に、桃も思わず笑って、そのまま一緒にゴールテープを切った。
ゴールした瞬間、観客席から「きゃーーー!」と黄色い声が飛ぶ。
「え、あの後輩ちゃんが桃先輩と!?」
「手つないでゴールとか尊すぎるんだけど!」
クラスメイトたちも「青、すげー!」と盛り上がり、赤は手を叩いて大笑いしていた。
「青ちゃんやるなぁ!あの桃先輩を選ぶなんて!」
「ちがっ、赤くん!だって、お題が『笑顔が素敵な人』で……!」
真っ赤になって慌てる青を、桃が優しく撫でる。
「ありがとな、青」
その言葉にまた胸がぎゅ~っとなり、青は下を向いてしまった。
体育祭が終わった夕暮れ。
片付けを終えたグラウンドで、桃は青を呼び止めた。
「青」
「も、桃先輩……?」
真剣な表情の桃に、青の胸は高鳴る。
「今日、頑張ってたな。すごかった」
「……っありがとうございます//」
そして桃は少し息をのみ、言った。
「青。……俺、お前のことが好きだ。付き合ってほしい」
「え……っ」
隣にいた赤が「えええええ!?!?」と大声を上げる。
「青ちゃん!?桃先輩!?!?マジで!?!?」
その声につられて周囲の数人が振り返り、 「え、なになに?」「告白じゃない?」とざわつき始めた。
青は真っ赤になりながら、ぎゅっと拳を握った。
「ぼ、僕も……桃先輩のこと好きです!」
その瞬間、赤が「キャーーー!!!」と両手を振り回し、女子たちが「お似合いすぎる!」「待って、心臓がもたない!」と悲鳴をあげる。男子たちも「マジかよ桃先輩、やるじゃん!」と冷やかす。
桃はそんな周囲を気にせず、ゆっくりと青に顔を寄せる。
唇が、そっと重なった。
「……っ////」
軽いキス。触れるだけなのに、青の全身が熱くなる。
「わあああああああ!!!」
「青ちゃん真っ赤!かわいい!!」
「桃先輩イケメンすぎ!!!」
「青春だ〜〜〜!」
校庭が一気にざわめきに包まれる。
赤は涙ぐみながら「青ちゃん……よかったねぇ……!」と隣で騒いでいた。
桃が唇を離すと、青は顔を両手で覆って「うぅ……////」と小さくうめいた。
その姿にまた歓声が沸き起こり、ふたりは一気に学校中の話題の中心になったのだった。
夜、布団に入っても青の心臓は落ち着かなかった。
唇の感触がまだ残っている気がして、枕に顔を埋めながら何度も転がる。
「桃先輩……」
胸がぎゅ~っとなる。
それは確かに、赤が言っていた「恋人」の感覚だった。
桃と付き合い始めてから、あっという間に3ヶ月が経った。
「ももくん、ちゅ〜♡」
青が両手を広げて甘える。
桃は照れながらも笑って、青の唇にそっと口づけを落とす。
ほんの数秒、軽く触れるだけ。
青はそれで嬉しそうに頬を染め、満足したようににこにこしていた。
「……青」
「ん~?」
「それだけでいいのか?」
「え? うん! だって付き合ってるんだから、キスするんでしょ?」
青は当たり前のように答える。
桃は胸がじんわり熱くなりながら、同時に少しだけ切なさを覚えた。
彼にとって青は愛しい存在。
もっと触れたい、抱きしめたい、深く知りたい――そう思ってしまうのは当然だった。
けれど、無垢な青の笑顔を見るたびに、その衝動を必死に押し殺していた。
そんなある日の放課後。
桃は思い切って、黄と赤の2人に相談を持ちかけた。
カフェの窓際。
ストローを軽く噛みながら、桃は小さくため息をついた。
「……青とさ、3ヶ月経つけど、まだ軽いキスしかしてない…」
「おお、なるほど~…」
赤は肘をつきながら、真面目な顔でうなずく。
「いやいや、僕からしたら信じられません」
黄が呆れたように笑う。
「付き合って3ヶ月でしょ? もうさっさとヤっちゃえばいいじゃないですか」
「き、黄くん!」
赤が慌てて黄の腕をつつく。
「でもまぁ、…青ちゃんは純粋なんだから、そんな急には無理かもねぇ」
桃は視線を落とし、氷が溶けるグラスを指でなぞった。
「俺も……わかってるんだけどさ。青が自分から『もっと』って言ってくれたら嬉しいんだけど……あいつ、キスだけで満足してて…」
「……うん、青ちゃんはそういう子だもんね」
赤は少し寂しそうに笑う。
「何にも知らなくて、でもそれで幸せそうで……」
黄は肩をすくめる。
「まあ、桃くんが我慢できるうちは我慢すりればいいのでは? 青ちゃん、桃くんに惚れてるんでしょ。時間の問題だと思いますけどね」
桃は黙り込んだまま、心の中で自問する。
――俺は、青を守りたい。でも、もっと触れたい。
その矛盾に押し潰されそうになっていた。
数日後、大雨の日。
校舎の外はびしゃびしゃに濡れ、帰宅できない生徒たちが傘を手に右往左往していた。
「青、大丈夫か?」
「えへへ……傘、忘れちゃった」
制服の袖を握りながら困ったように笑う青。
桃は迷わず言った。
「じゃあ、うち来いよ。雨止むまで」
「いいの!?」
「もちろん」
こうして――
運命の夜が、静かに幕を開けようとしていた。
ざあざあと降りしきる雨。
傘を忘れた青は、桃に導かれるように彼の家へやってきた。
「わあ……桃くんの部屋、広い!」
部屋に入るなり、青はきょろきょろと周りを見回す。
机の上には整然とした教科書やノート、壁には野球部時代の写真が飾られていた。
「そんなに珍しいもんはないだろ」
桃は笑いながらタオルを渡す。
「先に風呂入ってこいよ。冷えただろ」
「うん!」
湯船で温まったあと、青は桃から貸してもらった服に袖を通した。
だが、ズボンを履こうとした瞬間――
「……入らない」
ウエストが大きすぎて腰で止まらず、するりと落ちてしまう。
「え、どうしよう……」
仕方なくシャツだけを着て出ていくことにした。
だぼだぼのシャツは肩がずり落ち、青の白い肌がのぞいていた。
下は……何も履いていない。
「桃くーん……」
リビングに顔を出した青に、桃の目が釘付けになった。
「っ……! お、お前……ズボンは?」
「はけなかったの。大きすぎて」
「だ、大きいのに履けない……?」
「うん! だから、上だけでいいかなって」
悪気なく笑う青。
その無防備な姿に、桃は思わず目をそらした。
「……っ、バカッ…せめて、これ履いとけ!」
急いで引き出しからジャージを取り出し、青に渡す。
「えへへ、ごめんね」
青は嬉しそうにそれを受け取り、なんとか腰まで上げることに成功した。
桃は深呼吸しながらバスルームへ向かう。
「……落ち着け俺。まだ大丈夫だ……」
風呂から上がった桃を待って いたのは、ソファに座ってにこにこ笑う青だった。
大きなシャツの袖からひょこっと手を出し、パタパタ振っている。
「おかえり〜」
「……ああ」
その仕草があまりに可愛くて、桃の胸はきゅっと締めつけられた。
「ねえねえ、桃くん。……ちゅ~しよ♡」
青は小さく唇を尖らせる。
桃は喉を鳴らした。
「……青」
「ん?」
「……今日はやめとくか」
「えぇ~、なんで! 僕、桃くんとしたいのに……」
そう言って、青は桃の腕に抱きつく。
温かい体温と石けんの匂い。
桃の理性は大きく揺らいだ。
「……っ、青……」
「ちゅ~、だめ?」
見上げてくる瞳。幼い子供のような純粋さと、恋人としての甘えが入り混じっている。
桃はもう抗えなかった。
「……バカ」
囁きと同時に、唇を重ねる。
いつもより長く、深く。
桃の舌が青の小さな口に入り込む。
「っ……んぁ//、なに……これ……」
青は驚きに目を見開くが、舌に絡められると次第にとろけていき、声が漏れる。
「っふ……♡/// ももくっ……♡////」
小さな体が熱に震える。
桃の理性は、いま完全に切れた。
桃の舌がさらに深く入り込む。
青は何が起きているのかわからず、肩をびくっと震わせる。
「っ…///…ん……んんっ……ふぁっ♡//」
舌が絡むたびに、胸の奥が熱くなって、頭がふわふわしてくる。
呼吸が苦しいのに、なぜかもっと欲しいと感じてしまう。
「はぁ……青……♡」
唇を離した桃は、熱い吐息を青の頬にかけた。
青はぐったりと桃の胸に寄りかかり、まだ唇を濡らしたまま小さく呟く。
「ももくん…なんか……すごいのっ……♡♡」
そのとき、桃の視線が自然と青の下半身に落ちた。
だぼだぼのジャージの布が、こんもりと盛り上がっている。
「……青。これ、わかってるか?」
「え……なに?」
「お前……勃ってるんだ」
「……っ///!?」
青は慌てて布を押さえた。
「な、なにそれ……っ。なんでこんな、硬く……なって……」
頬を真っ赤にし、混乱する青。
桃はそっと手を伸ばす。
「いいから、力抜け」
「も、桃くん!? そ、そこは……っ」
柔らかな指先が布越しに触れた瞬間、青の体がびくんっと跳ねた。
「ひゃぁ゛っ……♡ な、なにこれ……っ!」
「……気持ちいいだろ」
「わ、わかんなッ……っ♡///、あっ……♡//」
桃は布を下ろし、青の硬く張りつめたものを解放してやった。
初めて露わになる自分自身に、青は恐る恐る視線を落とす。
「……ぼ、僕の……?/// こんな……」
桃はその熱を優しく握り、ゆっくり上下に擦った。
「ひゃっ……♡/// あっ……♡ も、ももくん……っ、へんなのぉ゛……///♡♡」
青は腰をよじり、声を震わせる。
体の奥から押し寄せてくる初めての快感に、ただただ翻弄されるばかりだった。
「青、苦しいか?」
「くるしいッ……けどっ……きもちぃ……っ♡ なにこれ……っ!//」
「大丈夫。……もっと気持ちよくなるから」
桃はリズムを早めていく。
青は顔を真っ赤にして、涙目で桃を見上げた。
「ももくんっ……なんかッ゛……っ///、でそう……っ゛♡♡」
「…いいよ、出しな」
腰を浮かせ、全身を震わせた瞬間――
「っぁ゛ぁああああ”っっ♡♡♡////」
青の体から白濁が勢いよく溢れ出した。
シーツに飛び散るそれを見て、青は呆然と息を荒げる。
「……はぁ…ッはぁ……♡ なに、これ……////」
桃は優しく青の髪を撫でる。
「それが射精ってやつ。……青の初めて、俺がもらったな」
「しゃ、せい……? ぼく……お漏らししちゃったの……?」
まだ震える声。
桃はその純粋な瞳に微笑み返した。
「青……次から、出そうになったら『イく』って言え」
「……いく……」
小さく繰り返しながら、青は熱にとろけた笑顔を浮かべる。
「ももくん……もっとぉ……゛っ♡」
青が震える声で桃の胸に顔を埋めた。
「ん……青」
桃は躊躇した。理性はまだ止めようとしている。
でも、甘える青の小さな手が桃の胸を押さえ、必死に求めてくる。
「……わかった」
桃はゆっくりと腰を落とし、青の脚を開かせた。
初めて目にする自分の敏感な体に、青は戸惑いながらも熱くなる。
「も、ももくん……なにするの……っ♡」
「痛くしない。……気持ちよくしてやる」
桃の指先がそっと入り口に触れる。
「ひゃっ……゛///♡ そ、そこ……っ♡」
青は小さく身をよじり、全身がびくんと震える。
「大丈夫……ゆっくりするから」
桃は慎重に指を入れていく。
青の腰は反射的に持ち上がり、声が漏れる。
「っあっ♡ やッ”、なに……っ♡///」
初めての感触に、青は思わず絶頂のような声を上げる。
「んあっ゛……♡ んん……っ///、きもちいい……♡」
桃は指の動きを調整し、青が快感に溺れていく様子をじっくり楽しむ。
「もう……青……可愛すぎッ……耐えられねぇ」
理性が消えかけた瞬間、桃はそっと腰を押し当てる。
「んっ”……ももくん…の…っ♡ は、はいっちゃ……っ゛」
「そう……青、いい子だ……」
ゆっくりと挿入される感覚。
初めての中での温かさ、ぎゅっと締めつけられる感覚に、青は小さく声を震わせる。
「っあ゛……//♡ な、なにこれ……っ♡ ももくッ……すごぃッ……//っ」
挿入したまま、桃はそっとリズムを作る。
青は目を潤わせ、息を荒くしながらも嬉しそうに桃を見上げる。
「ももくん……んっ////♡ すごぃ゛……っ♡///」
桃は青の髪を撫でながら囁く 。
「青……気持ちいいか?」
「うんッ゛……♡ きもちっ……♡ きもちいのぉッ♡♡……っ////」
初めて感じる体の熱に、青は全身を震わせる。
小さな手で桃の背中をぎゅっと掴み、腰を動かす。
「っあっ゛///……♡ やぁ゛♡もっとッ”……もっとやって……///♡」
桃の理性を完全に解き、青の身体に合わせて動く。
優しく、でも熱をこめて突き入れ、青の敏感な部分をくすぐるように指と腰で刺激する。
「青……っ、もうすぐか?」
「、うんっ゛♡ も、ももくん……゛っ、んあっ…”…♡♡」
初めての感覚に青は声を上げ、体をびくんと震わせる。
桃の中で、青の熱がどんどん高まっていく。
「……青、大丈夫?」
「ももくッ”……っ、だめ……゛っ、またッ、でちゃうっ♡♡」
青の全身から白濁が溢れ出し、桃の中で初めての射精を迎える 。
「っい”、くッ゛♡/// っ”あああああっ゛♡ ももくッ……っ”♡♡」
桃はそのまま青を抱きしめ、優しく体を支える。
「よく頑張ったな、青……」
「はーッッ゛////♡……っはーッ゛////♡……ももくん…♡///」
汗ばんだ髪を撫でられ、青は安心しきった笑顔を見せた。
「っ、えへへッ゛♡///」
桃は青を抱きしめたまま、ゆっくり体を離し、再び唇に軽くキスを落とす。
「これからもずっと……俺が守る」
「……うんっ♡// ももくん…だいすきっ……♡♡///」
濡れたシャツ越しに抱き合う二人。
初めての経験を終えた青は、ただ純粋に幸せそうに微笑み、桃もまたその笑顔に胸を打たれていた。
雨の音が窓を叩く中、二人は静かに抱き合いながら、初めての夜を終えた。
♡×1000.求. まだ続きあります。