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「ぼ、ボランティア活動!? え!? 黒宮さんがですか!?」
あまりにイメージが違いすぎるその単語に、私は戸惑いを見せた。が、私のリアクションを見ても黒宮さんは平然としている。
「なんだよ、悪ぃのかよ。俺がボランティアをしてたら」
「えーっと……ちょっと待ってください。頭の中を整理しますから」
私はない頭をフル回転。黒宮さんは一体何のボランティアを行なっているのか思考を巡らせた。
それで、ひとつ思い出した。黒宮さんが停学をくらっていたことを。
「そっか。黒宮さん、学校からボランティア活動を強制されてるわけですね。それを条件に停学期間が短くなったと」
「ん? どういう意味だそれは?」
黒宮さんは小首を傾げて本気で私が言った意味について考えているようだった。あれ? 私の見当違い?
「別に俺は学校から強制されてるわけじゃねえ。ボランティアは自主的に活動してるんだよ。というかお前、俺が停学をくらったことを誰かから聞いたみたいだが、俺が何をしでかしたことになってんだ? 教えろ」
「あ、はい。詳しくは分からないんですけど、とりあえず皆んなが言ってたのは黒宮さんがクラスの誰かの肋骨を折ったとかなんとか」
「はあ!? 肋骨!?」
黒宮さんにしては珍しく大声を上げて驚きの表情を見せた。あれ? 違ったっけ?
「誰から聞いたのか知らねえが、ソイツらはバカか!? んなことしたら停学どころじゃねえ。普通に傷害事件になるだろうが!」
「あ、確かに」
「確かに、じゃねえよ! 少し考えれば分かることだろうが!」
「え? じゃあ違うんですね。足の骨ですか? それとも腕の骨?」
私のそれを聞いて、黒宮さんは深い溜め息をついた。やっぱり昨日よりもずっと人間らしい一面を見せるようになってくれている。
「ガマガエル……お前はどうしても俺を骨折りキャラにしたいらしいな。んなことするか馬鹿野郎!!」
「え? それじゃ、その噂は……」
「デマだデマ。俺が停学くらったのは全然違う理由だ。とりあえずお前、一発殴らせろ」
しまった。調子に乗りすぎた。黒宮さんの目、完全に本気の目だ。
「あー。えーっとですね。女子に暴力を振るったら本当に退学になっちゃ――痛っ!!」
殴ることはしなかったけど、黒宮さんは私のおでこ目掛けて思い切りデコピン。いや、それはそれで痛いんですけど。
そして黒宮さんは私の眼前に立ち、腕を組んで仁王立ち。あー、まだ怒ってるなこれは。
「どうだ? 今から教頭にでも『デコピンされたので停学にしてください』とでも言いに行くか?」
当たり前だが、行かない。何故なら『デコピンで停学』なんて話を聞いたことがないからだ。もし、そんな生徒がいたとしてもギャグにしかならない。
「あのー、黒宮さん? じゃあどうして停学になんかなっちゃったんですか? あ! 誰かのお弁当を盗み食いしたとか!」
「ちょ、ちょっと待て。頭が痛くなってきた……。ガマガエル。お前、本当にバカだったんだな」
「えへへ。よく言われます」
黒宮さんは肩を落として溜め息をついてから、ついにその場にしゃがみ込んでしまった。どうやら、私のバカさ加減に耐えられなくなったようだ。
「……まあ、いい。その話は終わりにしよう。じゃないと本当にこの場でぶっ倒れそうだ」
「よしっ! さすが私! ついに黒宮さんにダメージを食らわせることができました!」
「もう、嫌だ……色々と」
「珍しいですね。黒宮さんがここまで弱っちゃうなんて」
「お前のせいだ馬鹿野郎!!」
『第12話 黒の誤解』
終わり