コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
スライムを貪るようにして食べた6人の姿は、ここに来た時と大きく違っていた。
みんなそれぞれ『J0KER×JOK3R』の衣装に身を包み『僕だけの声を』の武器を手にしていたのだ。
フル装備(?)の6人は、とりあえず着るもの、食べるもの、住むところを探すことにした。
Xさんが用意したところだろう(そう信じていないとやっていけない)から、きっとどこかにマイクがついているんだ、なんて思いながら、6人は明るく振る舞う。
カメラが回っているところではただの根暗な陰キャだということをバラしたくなかった。
暇「てか、俺ら昨日めっちゃ草の上で寝てたな」
ら「意外と寝心地良かったよね!」
み「火も熾してたから暖かくて快適やった!」
暇72の言葉に、みんなが「そういえば」と頷く。
昨日は草の上でみんな草まみれになって寝ていたけれど、特に寝苦しいこともなく快適だった。
そしてあそこで火を熾すこともできるため、チャッカマンが使えなくなるまではあそこで暮らすことができる。
つまり、いちばん重要そうな住むところ探しは後回しで良いと思われた。
い「じゃあ次、着るものだけど、、、」
す「とりあえずは心配なさそうだよね」
こ「魔物食べたら服変わるとか、そんな感じ!?」
い「それはないだろ」
魔物(食料)を食べたらコロコロ服が変わるとか忙しすぎるだろ、といるまは頭を抱える。
だが、その可能性がないとも言いきれない。
そもそもスライムを食べたら服が変わったのだ。
スライムを食べることで服が変わるのはもうわかったことだし、最悪、服を変えたかったらスライムを食べれば良い。
ということで、着るものについても解決した。
最後に食べるものについてだが、、、
ら「魔物を食べる!」
す「せっかく武器も手に入ったしね」
暇「使い方わからんけどな」
こ「こさめのは多分振り回せばなんとかなる!」
い「まあ、、、みんなそうだよな」
ここで武器の説明を。
『僕だけの声を』を聴いたことがあるorMVを見たことがある人はわかるだろうが、暇72の武器は双剣、こさめの武器は大剣、いるまの武器は大鎌、LANの武器は日本刀、すちの武器は槍、みことの武器は剣である。
みんな近距離戦に長けた武器ばかりだが、猪突猛進を胸に突っ込んでいけばなんとかなる感じの武器だ。
そして、LANは更にパンチ一撃でスライムをも倒せる力を持っている。
流石にそれはチートすぎるが、みんなそんなチートな力を持っているとしたら、最強説が出てくる。
つまり、食料調達もまあ楽勝。
食事のバランスは肉ばかりになる可能性が大きいが、山菜なども学べばそこも何とかなる。
あとは、チャッカマンがつかなくなったらどうするか、と悩んだが、それはそうなってから考えることにした。
ら「こういう異世界系って衣食住揃えるのに苦労するイメージあったんだけど、、、」
こ「案外楽勝やな!!」
い「まあ、普通の人は魔物食べようだなんて考えつかねぇしな」
いるまのサラリとした皮肉を受け流し、こさめは食べ残ったスライムをつんつんする。
食べ残ったスライムは、拾って保存したいところなのだが、生憎ジップロックがない。
よって、何故か落ちていた風呂敷で包んで保存することにしたのだ。
スライムは肉と言うよりかはゼリーのようなものだし、腐ったら食べなければ良いだろ、という考えからだった。
だが、3食ともスライムは流石に飽きてくる。
それがたとえ、サイダー味のゼリーだったとしても、流石に飽きる。
ということで、6人はみんなでお昼ご飯調達のため、武器を構えながら魔物を探しに行くことにした。
とりあえず森から出ようとしたときに、スライムに会う前に見つけた唐辛子が入ったパックを見かけたが、無視してそれを通り過ぎた。
み「あの唐辛子、何なんやろ?」
みことのそんな独り言のような呟きは、誰も拾うことなく風に流された。
そんなことを言われても、この場にいる他の5人がその答えを知っているわけではない。
みこともそんなことはわかっているから、呟きを拾われなかったことについては特に何も言わずにみんなのあとについて歩き続けた。
ふと、すちは後ろから誰かついてきているような気がした。
すちは6人の最後尾にいて、後ろに誰かいるわけもないのに。
す(、、、気のせいか)
チラリと後ろを向いても誰もいなかったので、すちは特に気には留めなかった。
後ろを向いていたすちが前を向くと、その目の前にいたみことが「ぅわあ!」と声を上げた。
と同時に、突如地面に空いた穴に落ちてしまう。
み「落とし穴に引っかかったぁ!!」
暇「上がってこれるー?」
み「無理に決まっとるやろ!!」
落とし穴は結構深く、みことの頭がゴマ粒くらいに小さく見えた。
すちはそれを覗き込み、流石に下りて助けに行ってもミイラ取りがミイラになるのと同じようなことになるな、と考える。
何か蔦のようなものはないかと、5人は辺りを探す。
しかし、そんなものはないどころか、木の棒ひとつ落ちていなかった。
穴に残されたみことは、穴から這い出る方法はないかと、比較的広い穴の中を歩き回る。
どうやってここを掘ったのだろう、と考えたその時、みことの顔を左側に何かがかかった。
生温かい、、、吐息のようなもの。
慌てて後ろに仰け反って、みことは、目を見張った。
み「うわあ!!!!」
穴の中からみことの声が聞こえてきて、散らばっていた5人は慌てて戻る。
すると中では、、、みことが遊ばれていた。
巨大な熊のような魔物に。
巨大な熊にコロコロと転がされたり、踏まれそうになったり、切り裂かれそうになったり。
みことはその度に慌てたようにそれを避け、転んだ時は上手く受け身をとり、何とか生きていた。
い「大丈夫かー?w」
み「大丈夫に見えとるん!?」
みことは、遊ばれながらも剣を振り回し、何とか熊から逃れようと頑張る。
しかし、同じ穴の中にいる。
どう頑張っても逃げられない。
5人はこちらの様子を伺うように覗き込んだり何か話しあったりしているだけで、もうしばらくは助けてくれなさそうだ。
それならば、自分でなんとかしければならない。
そう思って頭をフル回転させるが、、、
み(何も思いつかん!どうしよ、、、)
自分の頭の足りなさに絶望した。
とりあえず剣を振り回しておけば何とかなるだろうと振り回す。
すると、上にいる暇72から、助言が降ってきた。
暇「そのまま熊に切りかかれー!」
その助言の雑さにズッコケそうになりながらも、みことは言われた通りに突っ込んでいく。
上から「マジかよ」「墓は作ってやるからな」といったような声が聞こえてくる。
決して薄情なメンバーだというわけではないが、こうなったみことは止められないのを5人はよく知っていた。
ヤケクソ気味に熊に切りかかったみことは、剣の周りを纏わりつくように雷光が走ったのを見た。
み「うおおおおお!熊さんごめんなさーい!!」
そう言って大きく振り下ろした剣は、見事に熊の首に当たり、、、そのまま掻き斬った。
熊のような魔物の首が落ち、みことが剣を振り下ろした時の反動でその胴体と頭が痙攣しながら跳ねて地上に出てきた。
地上に残っていた5人は、各々驚きの声を上げながら、その死体から離れる。
い「うわ、やりやがったw」
暇「らんに続き、みことも怪力だったか、、、」
ら「いいよー、みことー!」
こ「カッコよかったぞー!!」
す「みこちゃんビリビリしてた!」
呑気に歓声を上げたり熊をつんつんしたりしているメンバーたちを見て、みことはドヤる。
しかし、自分が今置かれている状況に気がついて、ハッとした。
熊は今の攻撃の反動でぽーんと地上に上がって言ったが、自分はまだ穴の中だ。
み「熊さんはええから早く助けて!!!!」
みことの心からの叫びが、この森中にこだました。