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次の日も次の日も雄二の事は何も解決ができないまま・・・
私は当てもなくブラブラと街を散歩した
あれから父さんに自分の新しい若い妻に可愛い恋心を抱いた
自分の実の息子の初恋など取るに足らないことだと・・・
許してやって欲しいと抗議したが父は聞かなかったし
雄二の方が望んで寄宿学校に転校したがっていると言って却下された
私は大きくため息をついて何時間もデパートを冷やかして、おしゃれなカフェでお茶をして本を読んだ、美鈴のいる家に帰るのが嫌だった
秋の深い広い空にはボロ切れのように雲が浮かんでいた
私が家から逃れられるのは買い物と散歩しかなかった
その他の時間は美鈴と二人で食事をし
家の家事をした
時折私は美鈴も私と同じように、この二人だけの生活を忌み嫌っているのだろうか、 と思った
そして美鈴は最後は私も抹殺するのだろうか
美鈴の周りに父と雄二と・・・そして私の夫の徹・・・・
夕暮れが虚しい一日を日没の輝きがいくらかでも明るくしてくれた
そして繁華街の賑やかさが寂しさを紛らわしてくれた
家について玄関を上がり、雄二の為に買い物をしてきたノートを彼の部屋に置こいておこうと
階段の踊り場を上がると、いるはずのない徹が幽霊のようにそこに立っていた
私は思わず悲鳴をあげた
徹の顔は真っ白だった、彼は私を見て驚いた
「スミレ!どこに行ってたんだ!」
私は彼の勢いにたじろいだが、すぐ気を取り直し、逆に聞き返した
「あなたこそ、こんな所で何をしているの?そこは彼女とパパの寝室よ?」
「今日は早く帰ってきたんだ」
と言って徹は額に手をやった。
「今日は酷く疲れたから早めに帰って来たんだ、君を探してたんだよ
そしたらいきなり君が出てきたもんだからびっくりした」
「私が美鈴母さんのお部屋にいるとでも思ったの?」
私は彼を咎めるように方眉を上げて睨んだ
「いや・・・・・・そういうわけじゃないんだが・・・・・
君がいないからどうしたのか聞こうと思ってね・・・それだけの話さ」
「それだけで無いとしたら何があるっていうの?」
とわたしは言った