朝、眩しい光が目覚ましになった。朝の独特な体の感覚が気持ちがいい。目は覚めているのに布団から出なかった。
「おはよう。ルツ。」
ロロの挨拶に答えなくてはいけけど、布団から出たくない。
「う〜ん。おはよぅ、、、」
クスクスと小さな笑い声が聞こえた。
「ねぼすけ!」
急に悪口かよ!
「なんだってぇ!?確保おーー!!」
ガバッと起きて、ロロを布団で拘束した。布団の中のロロがモゾモゾと動いてまた笑い声が聞こえた。つられて俺も笑った。やっと出口を見つけたロロが顔を出した。
「布団ケーサツさん、朝ごはんはいかが?」
「いいですねえ、いただきましょう。」
また笑った。
ロロが作ってくれてた朝ごはんを食べながら昨日の話をした。
「そういえば、昨日本当はどこ行ってたの?」
鳩が豆鉄砲をくらったような顔でロロは慌てた。
「ええとぉ、、いや、ううん、、、」
じっと見つめるとさらに慌てた。
「うーん、うーん、、、」
キョドキョドする姿がおもしろくてにやけそうだったが、堪えた。
「、、、もぅいっか!」
急に吹っ切れたようにロロが立ち上がり、ベットの横のクローゼットを開けた。中の一番上の棚から紙袋を丁寧に持ってきた。
「これねえ、ルツにプレゼント!」
「え!?俺に?」
太陽みたいに明るい笑顔がそこにあった。
紙袋の中には、エアークッションに包まれたコップがあった。
「コップ?」
「うん、この前ルツのコップ俺のせいでわれちゃったから。」
「そんな、気にしなくてよかったのに、、」
包みを取ると、青いグラスコップだった。透き通るような青とガラスの透明感が綺麗だった。
「わぁ、、、きれい。」
「んふふ、でしょ!」
綺麗すぎて言葉が出てこなかった。
「うん、ありがとう。ロロ。」
ロロが照れてしまってそっぽを向いた。
「う、、、。でも、」
「?」
「それ買ったお店、、、、、、ル、ルーニオ、さんに連れてってもらったから、、、うん、だから、、、」
衝撃だった。ロロが?ルーニオさんと?二人で買い物に、、、!!
あんなに仲悪かったのに!
ロロの成長を感じた。いや、何かお母さんみたいなこと思っちゃった!!??
「そうなんだ!じゃあルーニオさんにもお礼言っとかないと。」
「うん、」
少しホッとした。
ロロは人一倍警戒心が強いからもし、一人になったらどうなっちゃうんだろうって思っていた。でも、ロロは俺が知らないだけでちゃんと人と打ち解けようとしてるんだ。
これなら、俺がいなくても大丈夫かな。
心の中でロロが俺としか仲良くないってレッテルをつけているんだ。だから一人がいやで、ロロが知らない誰かといるのがモヤモヤしてしまうんだ。
俺って最低だな。
ロロが、一人で孤独だったらいいのにって思ってしまう。
俺がロロを縛っている。いつかは、離れなくてはいけない。きっと死ぬ時は一緒にいないだろうな。
「ルーニオさん。コップありがとうございました!大切に使いますね。」
夕方、隣部屋のルーニオさんにお礼を言いに扉を叩いた。ちょうど料理を作っていたらしい。ベージュ色のエプロンをつけていた。
「あら!シクロロ君もう渡しちゃったの?」
一緒に来ていたロロが気まずそうに頷く。
「うん、もうバレそうだったから。」
「ならしゃーないわね!」
なんだか前よりもルーニオさんの表情が柔らかい気がする。前も笑顔だったけど。
「あ!そうだお夕飯食べた?食べてないならご馳走様するわ。ちょっと作りすぎちゃって。ハンバーグ!」
そういえばまだだった。ロロをチラッと見るとソワソワしてたので食べたいんだろうな。
「実はまだなんです。いいんですか?」
「もちろん!」
ルーニオさんの部屋は質素だけど女性らしく、お洒落だった。
ハンバーグのいい香りがしてお腹が鳴った。
マジか。
「あらあら、お腹すいてたのね。今準備するから待ってて。」
まさか自分のお腹が鳴るとは思はずめっちゃ恥ずかしかった。ロロが隣でクスクス笑う。
「すいません、、、。て、手伝います!」
「あー俺も。」
そうして二人で立ち上がった。
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