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蒼乃 月
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やがて文也が丁寧にブラのホックを止めてくれたので、藤子はホッとした、そして彼が優しく言った
「さぁ、準備はできた!海に入ろう」
藤子を起こして彼は手を指し出した、藤子はその手を見つめた、手をつなぎたいのは山々だが、そうすることで自分の気持ちが溢れているのを知られてしまうのは困る
藤子がためらっているうちに彼に強引に手をつかまれ、二人は波打ち際に向かった、彼にしっかりと手を握られ、足の指の下で沈む砂を感じながら、砂浜を歩いて行く
青い海・・・降り注ぐ太陽と文也君・・・
.:・.。. .。.:・
どうしよう、彼があまりにも魅力的で恋してしまいそう、今ならジェニが喜びそうなキャッチコピーがいくらでも出てきそう
―ダメダメ!忘れないで!彼は6歳年下だし、私達はお友達なのよ―
藤子はなんとか正気を保った、彼と一線を超えるわけには絶対いかない
「キャァ!冷たいわ」
足首までつかると、海水は思ったより冷たかった、藤子の気おくれを可愛く感じて思わず文也がハハハと笑う
「なぁに?藤子ちゃん水が怖いの?」
「そそそ・・・そんなことないわよ・・・」
言葉とは裏腹に、藤子は力いっぱい文也の手を握りしめる
「大丈夫?きみのペースでゆっくり行くから、抱っこしよっか?」
彼はそう言って(おいで~♪)と笑って腕を広げた
こっちを見ている彼はレイバンのサングラスのせいで、どこを見ているかわからないけど、もの凄くイケメンなのは確かだ
―6歳年下じゃなかったら・・・もし何も知らずこんなに素敵な彼にナンパされたら、少し前の自分なら思わずフラフラ着いて行くだろう―
しかし彼は間違いなく年下の自分の会社の上司にあたる人なのだ、ややこしいことになってはいけない
「も・・・もう少し先に行っても平気よ」
水滴をはじく、半裸の文也君はとんでもなくセクシーだ、彼はいったいどうやってこんな素晴らしい体型を持続しているのだろう、とてもでは無いが、やせ型とは呼べない体だ
「とっても鍛えているのね、社長といい、財務部長といい」
藤子が尋ねた
「メビウスビルの35階が、重役が使えるジムがあるんだ、暇さえあればあそこで皆鍛えているよ」
藤子は感心して目を丸くした
「へぇ~~!そうなんだ」
彼のような男性は若いモデルのような女性が似合うだろう、冷たい水がくるぶしをくすぐる、藤子は文也に手を引かれ、少しずつ沖へと足を進めた、ふくらはぎが波を洗う
「おっと!大丈夫?」
文也に尋ねられて、自分が文也の二の腕を思いっきり握っているのに気づいた
「だ・・・大丈夫・・・」
藤子は手を緩めようとした、そこに波が不意打ちをかける、藤子が叫んで小さく飛び上がった、文也は終始楽しそうに笑っている
「クラゲとかいる?」
「まだいないんじゃない?7月だし、もしいても君を抱き上げて岸まで連れて行ってあげる」
「ありがとう」
二人はフフフと微笑んだ、そして藤子が少し怖がってまた尋ねた、波が胸まで上がってきている
「どうして急に波が高くなってきたの?」
「沖に行くと大丈夫だよ、もう帰りたい」
「う・・・ううん」
コメント
1件
海デート、もうドキドキが止まりませんでした。藤子さんが「6歳年下」「お友達」と自分に言い聞かせれば聞かせるほど、気持ちが溢れてしまうのが切なくて愛おしい…。文也さんの「抱っこしよっか?」の笑顔は反則級ですね。怖がる藤子さんをからかいながらも、きちんと手を握ってエスコートする余裕も素敵です。波に驚く小さな叫びや、ぎゅっと握る二の腕に、藤子さんの心の声が透けて見えるようでした。最後の「もう帰りたい」への「う…ううん」、健気すぎます。二人の距離が少しずつ縮まっていくのが待ち遠しいです。