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#普通
野々さくら
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ありあ
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その頃。龍河はムーサプロダクションが入っている雑居ビルの前に立っていた。
「確か哲哉さんから聞いた場所ってここだったよな」
記憶を確かめるように建物を見上げると、そのまま中へ入り、事務所を目指す。
やがて目的の階へ辿り着いた龍河は、人気のない廊下を歩いていた。
すると、突き当たりにある部屋から、何やら騒がしい声が聞こえてくる。
「ん?なんだ?」
龍河は足を止め、眉をひそめた。
「なんか騒がしいな・・・」
ただ事ではない雰囲気に、表情が険しくなる。
「何かあったのか?」
龍河は物音を立てないように、一挙手一投足気を配りながら、ゆっくりとその部屋へ近づいていく。
ドアの前まで来ると、耳を澄ませて中の様子を窺った。
誰かが激しく叫んでいる。
その怒号を聞いた瞬間、龍河は妙な違和感を覚えた。
芸能事務所の筈なのに、絶えず誰かが叫んでいる。
そんなただならぬ雰囲気に顔が険しくなる。
警戒しながら、龍河はゆっくりとドアノブに手をかけた。
──ガチャ。
どうやら鍵がかかっているらしい。
「鍵がかかってるな」
龍河は小さく舌打ちする。
「仕方ねーか・・・」
数歩後ろへ下がると、ドアを睨みつける。
そして――。
龍河は勢いよく駆け出し、渾身の力でドアを蹴破った。
しかし──。
「いっ・・つ!あぁぁー
いって〜・・・あ〜クソッ」
某推理マンガのように簡単に蹴破れるはずもなく、龍河は足首を抑えて悶絶する。
「やっぱ無理か・・・」
龍河は何か無いかと周囲を見渡す。
「あ、あれ使えそうだな・・・」
龍河の視界が消化器を捉えた。
「これ使うか」
龍河は消化器を手に取り、ドアノブを勢いよく叩く。
何度かそうしているうちに──
──ガコン。
ドアノブは消火器の衝撃に耐えきれず、その場で大きくひしゃげた。
「よし!これでいいな」
龍河は消火器を床に置くと、壊れたドアノブに手をかける。
今度こそ扉は抵抗なく開いた。
「あの・・・大丈夫ですか?」
ゆっくりと部屋へ入った龍河だったが、ドアの向こうにいた男が、驚きと怒りを露わにして龍河を睨みつけた。
「何だぁぁ!!貴様はぁぁ!!」
龍河は臆することなく男を見返す。
「あんた・・・事務所の社長の武尊だな?」
「だったらなんだぁぁ!?勝手に
入ってきてどういうつもりだぁぁ!?」
怒鳴りつける武尊を無視し、龍河は部屋の中を見回した。
本来ここには、TAMAYAのマネージャーと高校生が来ていたはずだ。
だが、どこにも姿が見当たらない。
「ここにTAMAYAのマネージャーと高校生が来た筈だ」
龍河は武を睨みつけた。
「どこに行った?」
その言葉を聞いた瞬間、武の顔色が変わる。
「お前もアイツらの仲間かぁぁ!」
武は焦点の定まらない目で龍河を睨むと、近くにあったゴルフクラブを掴み、頭上へ振り上げた。
「ちょ、まじかよ!おい!」
「うわぁぁぁぁ!」
錯乱した武が、我を忘れたようにゴルフクラブを振り回す。
龍河は間一髪でそれをかわし、声を荒らげた。
「おい!ふざけんなよ!」
しかし、武に話が通じる様子はない。
「何なんだよアンタ!」
「黙れ!黙れ!黙れぇぇ!」
武はなおもゴルフクラブを振り回し続ける。
「ったく、しょうがねーな」
龍河は隙を見計らい、一気に武との距離を詰めた。
そして、その身体を掴むと、勢いよく背負い投げを決める。
「ぐはっ!」
武の身体が床へ叩きつけられた。
「うぐっぅぅ・・・」
背中を強打した武は苦悶の表情を浮かべ、床にうずくまる。
龍河はそんな武尊を見下ろしながら問い詰めた。
「どういうつもりだよ!アンタ!」
龍河はさらに声を強める。
「それより、マネージャーと高校生は
どこに行った?ここに居たんじゃねーのか?」
「こっちが知りたい!」
武の返答に、龍河は眉をひそめた。
「はぁ?どういう意味だ?」
「いきなり目の前から消えたんだぁ!」
「はぁ?消えただと?」
龍河は疑うような視線を向ける。
「アンタな・・嘘つくなら少しはマシな──」
「本当だぁ!!!」
武が必死の形相で叫んだ。
「部屋をいきなり光が包み込んだと思ったら
気づいた時には消えてたんだよぉ!」
武の言葉に龍河は言葉を失った。
「なんだよ・・・それ」
ただならぬものを感じながら、改めて誰もいない事務所を見回す。
「どうなってんだ?」
そして、消えた二人の姿を思い浮かべるように呟いた。
「アイツら・・・どこに行ったんだ?」
コメント
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×××さん、こんにちは。リオンです。 今回のエピソード、読みました。龍河さんのドア破壊シーン、某推理マンガみたいにいかなくて「やっぱ無理か」と悶絶するところ、思わず笑ってしまいました。消火器で代用する機転は彼らしいけど、逆に社長の武尊さんが錯乱してゴルフクラブ振り回す展開は一気にシリアスに。背負い投げで制圧する龍河さん、かっこよかったです。 そして「光に包まれて消えた」という言葉。このシリーズ、伏線の張り方が巧妙なので、この現象が何を意味するのかすごく気になります。二人の行方、次回が待ち遠しいです。