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――ピッ、ピッ、ピッ。
規則正しい電子音が、暗闇の中で響いている。
(……あれ?)
まぶたが重い。
体が、鉛みたいに動かない。
「……ひまり?」
聞き慣れた声。
ゆっくりと目を開けると、白い天井が見えた。
「……あれ、ここ……どこ……?」
「病院だよ」
母の顔が、涙でぐしゃぐしゃになっている。
「陽葵、あんた三日も寝てたのよ!?」
「三日!?」
思わず体を起こそうとして――失敗。
「うわっ……」
全身に力が入らない。
腕を見てみる。
包帯は巻かれていない。
怪我はない。
(……あの子は?)
「建設現場の子……助かったんだよね?」
母は一瞬驚いて、それから頷いた。
「無事よ。あんたが助けたって、ニュースにも……」
「え、ニュース!?」
慌てて起きようとして、また倒れる。
頭がぐらぐらする。
手のひらを見る。
震えている。
冷たいような、まだ熱が残っているような、変な感覚。
(あれは……夢じゃない)
氷。
炎。
光。
全部、覚えている。
「……私、なにしたの?」
その瞬間。
コンコン、と扉が叩かれた。
「失礼する」
低く、落ち着いた声。
病室に入ってきたのは、見知らぬ男だった。
整ったスーツ。
静かな眼差し。
空気が一瞬で変わる。
母が戸惑う。
「どちら様……?」
男は軽く会釈をする。
「初めまして。私は――」
陽葵をまっすぐ見つめる。
「君の“力”について話がある」
胸が、どくんと鳴った。
逃げられないと、本能が告げる。
男は静かに言う。
「朝比奈陽葵。君は三属性保持者だ」
病室が、しん、と静まる。
「……は?」
間の抜けた声が出た。
「え、ちょっと待ってください。三属性って……え? 三つ? え? え??」
混乱する陽葵をよそに、男は続ける。
「正式な能力測定を受けてもらう。そして――」
わずかな間。
「我が学園へ来てもらう」
陽葵はぽかんとしたまま。
「……私、普通の高校行く予定なんですけど?」
男は初めて、ほんの少しだけ笑った。
「もう普通ではない」
静かで、確信に満ちた声。
「君は、規格外だ」