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第4話 『可愛い必殺奥義』
午後の授業。
ぼんやり外を見ていたあすたの耳に、先生の声が刺さる。
先生「来週テストだからな〜。特に数学、平均点低いぞ〜」
じおるの肩がピクリと動いた。
(……あすたくん……絶対やばい)
休み時間、じおるは決意したように
くるりとあすたの席へ向いた。
放課後
じおる「あすたくん……!
あの、来週テスト……ですので……
いっ、一緒に勉強会をやりませんか?」
あすたは一瞬で目をそらす。
あすた「……勉強かぁ……いや、めんど……」
じおる(軽く震え声)
「だ……だめですか……?」
出た。
あすたが世界で一番弱い“じおるのしょんぼり攻撃”。
あすた「……はぁ。わかったよ。じおるが言うならやるよ」
じおるの顔がぱあっと明るくなる。
じおる「ありがとうございますっ!」
(あすた:これは断れん……)
勉強会スタート!しかし……
二人は図書室の隅の席に並んで座った。
じおるはシャキッとノートを広げているが
あすたは——
あすた「……ふぁ……眠……」
じおる「5秒でやる気なくなりましたね?」
あすた「問題見ただけで頭痛が……」
じおるは小さくため息。
でも、あすたが頑張ってほしい気持ちは本物だ。
つまり——
秘策が必要。
じおるは一瞬迷って、
顔を少し赤くしながら呟いた。
じおるの必殺奥義
じおる「……っ、あ、あすたくん……
赤点……回避したら……なんでも……しますから……」
その瞬間。
あすたの瞳に光が宿った。
あすた「なんでも?」
じおる「……な、なんでも……(小声)」
あすた「よしやるわ」
即決。
スイッチ入りすぎてて怖い。
横でじおるは耳まで真っ赤。
じおる(心の声)
(あすたくんって……こんなにやる気出るんですね……
こ、怖い……でも嬉しい…………)
ガチモードあすた、降臨。
ノートを開き、ペンを握り、
いつになく真剣。
あすた「じおる、ここ教えて」
じおる「あ……はい。ここはですね……」
手が触れるたびに、
じおるの心臓は跳ねる。
じおる(心の声)
(ち、近い……集中できないのは僕の方じゃ……)
でも、あすたは完全集中。
普段の3倍のスピードで問題を解く。
クラスメイトが陰から見てたら
「え、誰……?」ってなるレベル。
勉強会終了
じおる「けっこう進みましたね……!
この調子なら赤点は避けられます!」
あすた(自信満々)
「当然だろ。なんでもしてもらうために頑張ったんだし」
じおるは顔を覆いたくなる。
じおる「そ、それを言わないでください……っ」
そのまま、あすたの家にお泊まり
あすた
「……じおる、今日うち来いよ。
勉強の続きってことで」
じおる
「えっ……い、いいんですか?」
あすた
「当たり前だろ。
……寝る前に復習もしてぇし」
必死に理由をつけているけど
本音は絶対「じおると一緒にいたい」。
じおるは小さく笑って、
じおる「……はい。行きます」
並んで歩く帰り道。
じおるは恥ずかしさと嬉しさで胸がいっぱいで、
あすたは隠しきれないデレ顔。
そんな空気のまま——
ふたりはあすたの家へ向かった。
第5話 12/16 投稿予定