テラーノベル
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「……呼び出されたと思えばこれですか。僕は異能特務課の参事官補佐であって貴方達の痴話喧嘩の清掃業者ではありません」
安吾は眼鏡を指で押し上げ、深い溜息をついた
彼の目の前にはボロボロのセーフハウス、そして首にべったりと「虫刺され」をつけたまま顔を真っ赤にしてそっぽを向く中也と鼻歌を歌いながらビデオカメラを回す太宰がいる
「いいじゃないか安吾!異能特務課の権力でこの『中也よちよち歩き限定動画』を公文書として永久に保存してくれたまえよ」
「誰が保存するか!教授眼鏡、今すぐそのカメラを没収して磁気嵐でデータを粉砕しろッ!!」
中也が重力で床を揺らすが安吾は動じない
彼は手慣れた様子で端末を取り出し、太宰のカメラと同期させた
「確認します。………これは酷い。中也くん、あなた幼児化して太宰くんの耳を食みながら泣きついてますね。…しかもこれ、後半は幼児化が溶けた後の……事後音声まで入ってますが?」
「………っ…………あ……………(絶句)」
中也の顔がついに沸点を超えて蒸気を噴き出した
安吾は冷静な眼差しで動画の波形をチェックする
「太宰君、君の行為は刑法における『わいせつ物頒布』および『名誉毀損』、さらには内務省への『業務妨害』に当たります。……ですが中也くん」
安吾が眼鏡を光らせ中也をじろりと見た
「あなたが太宰君の首筋につけたその歯形……これは明らかに『過剰防衛』、あるいは『合意の上でのマーキング』と判断せざるを得ませんね」
「合意じゃねぇ!!薬のせいで………脳がバグってたんだ!!」
「………まぁいいでしょう。特務課の権限でこの動画の公共への流出だけは阻止します。……ただし」
安吾は懐から一抱えもあるほどの報告書の束を取り出し、太宰の目の前に叩きつけた
「これを全部期限内に書き上げなさい。さもなければこの動画をポートマフィアの全モニターに一斉配信します。紅葉さんには既にコピーを送る手筈を整えてありますから」
「「え……………?」」
太宰の顔から余裕が消え、中也の顔が絶望に染まる
安吾は徹夜明けの充血した眼で不敵に微笑んだ
「僕を深夜2時に呼び出した罪は重いですよ。……さあ仕事の時間です」
結局その夜ヨコハマで一番働かされたのは安吾であり、一番恥をかいたのは中也、そして一番絶望したのは溜まりに溜まった報告書を前にした太宰であった
もう一つ番外編あるので
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だざむ