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114 - 第10話:設計士のまかない丼

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2025年04月17日

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第10話:設計士のまかない丼



🌙 シーン1:夜明けの影


朝焼けが塔の外壁を照らす頃。

《碧のごはん処(ミドリ)》の暖簾がふわりと揺れた。


入ってきたのは、長い黒髪を後ろで束ねた青年――アセイ。

碧の設計スーツの裾はほこりでくすみ、目の下には深いクマ。

端末を片手に、無言でカウンターへ腰を下ろした。


「……はぁ」


「また徹夜やな?」


厨房からタエコが顔を出し、苦笑い。


「メシ、まだ食べてへんやろ。うちの“まかない丼”いっとき」





🍚 シーン2:まかない丼、設計記録


タエコは端末に手を置く。


《FRACTAL_COOK_MODE=RAPID_RECOVERY》《SYMBOL=DESIGN_TRACE》


炊きたての碧素米に、余った焼き碧菜、スモークフラクタル肉、

香りを立てる記憶スパイスがバランスよくのせられていく。


湯気の立ち昇る丼がカウンターに置かれた瞬間――アセイの端末が勝手に反応した。


「……フラクタル設計ログ、更新? 何も入力していないのに……」


すずかAIの穏やかな声が補足する。


「栄養と共鳴が脳内の設計アルゴリズムと接続。まかない丼由来のインスピレーションです」





🥢 シーン3:一口のアイデア


アセイは無言で一口食べる。

舌に触れた瞬間、パズルのようにばらばらだった設計案が脳内でつながっていく。


「……この食感、この余白……そうか、あそこに“吸収式の柱”を入れれば」


タエコは笑って、丼をもうひとつよそった。


「せやろ。あんた、ちゃんと食ってると、ええアイデア湧くやろ?」


アセイは静かに笑った。


「……まかない、恐るべしだな」





設計士に必要なのは、ひらめきと、丼と、ちょっとの休憩時間。

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