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「うるっせぇな!!」


俺の怒鳴り声にびくっと肩を震わせたのは、俺の目の前にいる生意気なやつ───天乃絵斗だった。

そんな怒号を浴びせたのは俺───猿山らだ男だった。正真正銘目の前にいるのはいつものうざったらしいこいつ。


「いっつもお前の周りには人がいて!!」


久々の喧嘩で、俺はそう口にした。俺たちが喧嘩するのは小学生ぶりで、正直懐かしさも覚えた。…喧嘩の原因としては、テストの点数が悪くてヘラヘラ笑ってる天乃のことが俺自身すごく腹が立ったからだ。それでも、俺が一方的に怒っただけには変わりない。そうだとわかっていても、この口も、この思いも止まることはない。

こいつの何がいいんだと。メソメソメソメソ!一回落ち込めばいつまでも過去のこと引きずりやがって。それなのにこいつの周りに人はたむろする。


「悪い点数のくせ怒られてない!!」


俺の方がいい点数なのに。お前の方が悪い点数なのに。なんで俺はここまで怒られてお前はヘラヘラしてんだよ。


「この頬の痛みも!胸の痛みも!わかってくれないんだろ?!」


殴られた時の痛みはお前にはわからない。お前は愛をもらって生きてきたんだから。ただ、俺は駒だということはわかっている。それでも期待に応えなければ。いくら心が削られようが、それでも。いくらでもあがく。


「っ…はぁ………」


ずっと叫んでいたせいか、俺はとうに疲れ切っていた。額からは冷や汗が滴り落ちる。

正直、こんなこと言いたくて言ったわけじゃない。それこそこいつは何もかも最強だ。いっつもポジティブで、周りを明るくして、自分のことなのにヘラヘラ笑って、バカなことして………。

それでも、怒られないこいつがうざかったのも事実。いくら悪さしようが怒られなくて、いくら点数が悪かろうが殴られなくて、いくらヘラヘラ笑っていようが悪口を言われなくて。


「ら、らだぁ…?」


正直、羨ましかったんだ……と思う…。

それでも俺にはこいつが優遇されてるようにしか感じなくて、酷く腹が立った。

───どうせ今日も帰ったらいつもと同じだ。


「……もうほっといてくれ。」


下を俯いて、絵斗に一言そう告げた。相手からは何も返ってこず、返ってきたのは風のから回る音。

冬の今、体を震わせるほどの風が俺たちの間をすり抜けていく。それに体を少し震わせながらも、相手のどんどん小さくなる足音しか聞き取れなかった。


(………バカだ。)


今の自分の行動に、後悔していない。

むしろあんなやつから離れられて嬉しいまであるかもしれない。それくらい、俺はあいつが大嫌いで、癪だ。

……なのに、なんで俺が今…自分自身にバカだと言ったのかはわからない。バカなのは、向こうだろ。何言ってんだよ俺。


『見て!この前のテストより5点上がった!』


そう無邪気に言って見せてきたのは、圧倒的にペケが多い解答用紙。その紙の上には綺麗な字で天乃絵斗と書かれていた。…こいつ、字は綺麗なくせに点数は低いんだよな。

…それでも、少しでも点数が上がった天乃が羨ましくて、強気な言葉を返した。


『たった5点だろ』

『なっ!!90点と95点とじゃ全然違うだろ?!それと一緒だよ!!』


俺の言葉にぺいんとはまた強く返した。…でも、そりゃ5点でも上がったならそれは大きな成果だ。……それなのに、俺は前回と変わらずの96点。伸び代がないのは、俺の方なのに……いや、だからこそ癪に感じるのかな。

あぁ、オレってほんとに身勝手だな。

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