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その日の夜、雪子は萌香に教えてもらったダイエット動画を見ながらストレッチをしていた。

萌香と海に行った時この動画を教えてもらってから雪子は毎日このストレッチを続けている。

年と共に衰えていく筋肉を保ちいつまでもメリハリのある身体を作る為に開発されたこのストレッチは、血流も良くなるようでやればやるほど身体が軽くなる。

1日でもやらないと逆に気持ち悪くなるくらいだ。


萌香にはその他にも美しさを保つ秘訣をあれこれと教えてもらった。


例えば50代に似合うメイクや肌や髪や爪のお手入れ方法など、さすがモデルをしていただけあってその情報量は豊富で信頼出来る内容ばかりだ。

更年期世代は、油断するとすぐに太ってしまう。


俊と付き合う事になり雪子は少しでも美しく綺麗になりたいと思っていた。少しでも俊に似合う女性になりたかった。

そんな思いから日々の努力を続けていた。

雪子は昔から一つの事にはまりやすい性格だったので、それが功を奏して最近ではその効果が目に見えて表れていた。

体重は順調に減り少し緩んだ体型が締まってきた。


安いヘアカットの店の常連だった雪子は、先日久しぶりにちゃんとした美容室へ行ってみた。

料金はかなり高かったが技術力の高い美容師がカットした髪は手入れがしやすい。

洗って乾かすだけで流れるような女らしいラインが決まるヘアスタイルにしてもらったので、今までただ毛先を切っていただけのヘアスタイルとはぐんと違って見えた。


カットと同時に髪を少し明るめの色に染めてもらった。髪を染めるのは久しぶりだった。

明るく仕上がった髪は雪子のイメージをガラッと変えたような気がした。

美容院に行った翌日仕事へ行ったら皆がびっくりしていたほどだ。同僚達は今の方が絶対にいいと言って褒めてくれた。


そうやって雪子は昔の若さと美しさを徐々に取り戻しつつある。


ストレッチが終わるとソファーへ座り手と爪に丁寧にクリームを塗り始める。

塗りながらマッサージを加えていく。これも萌香から教わったマッサージだ。


自分が今まで美容やオシャレにいかに手を抜いていたかに気づき雪子は反省していた。

50歳になったから何をやっても無駄だと思うのではなく、努力次第でいくらでも若さや美しさは保てるのだ。

そう思うと日々の習慣も苦にならなくなった。


一通りの身体のメンテナンスが終わると、今度はノートパソコンを開いてその前に座った。


俊と三島デパートに行く際何を着て行こうかと悩んだ。クローゼットを覗いてもこれだという服が見つからない。

それを先日優子に言ったら素敵な服がリーズナブルに買えるサイトを教えてもらった。

教えてもらった日にすぐ雪子はそのサイトを覗いた。そしてすぐに気に入った服が見つかったので即購入した。


久しぶりの東京、そして知り合いの社員が多くいる店だ。

ちゃんとした格好で行きたい。そして隣には俊がいるのだから恥ずかしくない格好をしていたい。

購入した服が届くのは明日だ。その服は雪子が今まであまり着た事がないデザインだった。


雪子が一目惚れして買った服はニットワンピースだった。

カシュクールデザインで胸元が少し広く開いたエレガントな服だ。

袖はふんわりと膨らみ、ウエストはキュッとしぼんでいる。スカート部分はタイトなシルエットでとても女性らしい。

色は上品なグレーだ。


雪子は今までこういった女性らしいラインのワンピースをあまり着た事がなかったが、なぜか今はこれを着たいという気持ちになっていた。

それはやはりあの河合みなみに負けたくないという気持ちと、もし元夫にばったり会っても恥ずかしくない装いをしていたいという気持ちがあるからだ。


雪子はそんな気持ちになっている自分い驚いていた。そして自分の中の凛々しさに気付き新鮮な気持ちになる。

しかしくだらない人達に囚われてばかりの自分を少し戒める。


そんな事よりも今雪子が一番楽しみなのは、俊と東京デートが出来るという事だ。

俊にエスコートされながら都会で過ごす時間、想像しただけでも心ときめく。

それにはやはり俊の隣に似合う女性でいたいという気持ちが強かった。

そう、雪子は恋をしていた。

その恋の力もあり雪子は日に日に美しくなっていた。



着ていく服は決まったがアクセサリーはどうしようかと雪子は悩む。

アクセサリーはほとんどが若い頃に買ったものなので50代の自分にはもう似合わない。

母にもらったガーネットのネックレスも自分で買った小さなダイヤのネックレスもどうもしっくりこない。

雪子は小さなため息をつくと、この前俊に江ノ島で買ってもらったガラスのイヤリングだけを着けていく事にした。


とりあえず準備は整ったのでその日雪子は早めに就寝した。

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