そしていよいよ木曜日がやって来た。
俊は午後1時に雪子を迎えに来ると言っていた。東京までは車で行くようだ。
雪子はその日ゆっくり起きてから遅めのブランチを食べた。
その後シャワーを浴びてから全身に念入りにボディクリームをすり込む。
雪子はこの日の為に少し高価なボディクリームを購入していた。
乾燥しがちな肌に丁寧にクリームを塗り込んでいくと途端に滑らかな肌になった。
そして身体が優しいラベンダーの香りに包まれる。
それから丁寧に髪を乾かしていった。
先日美容室でカットした髪は乾かすだけで流れるような女らしいウェーブを作り出してくれる。
肩の辺りで揺れるエレガントなヘアスタイルは雪子にとてもよく似合っていた。
雪子は髪にもオイルをつける。このオイルも同じラベンダーシリーズだ。
その後雪子はネットで買ったワンピースに着替えてみた。
サイズはぴったりだが思っていた以上に胸元が深く開いている。
(セクシー過ぎる?)
そう思ったが他に代用できる服がなかったので仕方なくそのまま着る事にした。
そして久しぶりに真剣にメイクを始めた。
雪子は萌香にアドバイスされた通りのメイクをしていった。
50歳を過ぎたら引き算のメイクがいいらしい。
厚く塗りたくった肌やきっちり引いたラインは返って老けて見えるらしいので、あくまでもナチュラルにそしてポイントだけはしっかりと。そう意識しながら丁寧に仕上げるとかなりいい感じに仕上がる。かなり印象が違って見れるのではないだろうか? 雪子はナチュラルなとても優しい雰囲気の顔になっていた。
いかに自分がいままで手を抜いていたのかを感じてしまう。そのくらい自分で見ても見違えるほどだった。
時計を見るとそろそろ約束の時間だったので戸締りを確認してから雪子は外へ出た。
雪子は久ぶりにヒールを履いていた。カツカツと響く靴音が懐かしくて新鮮だ。
雪子が外へ出るとちょうど俊の車が到着したところだった。
雪子は慌てて助手席のドアを開けると、
「すみません、お待たせしました」
と言って助手席へと座った。
俊は雪子よりも少し早く到着していたので玄関から出て来る雪子を見ていた。
そして思わず目を奪われる。今日の彼女はいつもと違った。
女らしい服のせいなのか? それともメイクのせいなのか? いや、髪型が少し変わったからだろうか?
今日は女らしい色気に満ちている。そして雪子からはとても良い香りが漂っていた。
その香りを嗅いで俊はたまらない気持ちになる。
雪子がシートベルトを締めて顔を上げた瞬間、俊はその唇を奪った。
いつもは別れる際にする行為を俊は会った途端してしまった。どうにも我慢できなかったのだ。
雪子がびっくりしているとそのキスはどんどん激しくなる。
二人の息遣いだけが車内に響き渡る。
その時車の後方から人が近づいて来る気配がしたので二人は慌てて身体を離した。
「ごめん、つい我慢出来なかった___」
「___ううん」
雪子はなんと答えてよいかわからずに一言だけ言う。
俊はフーッと深呼吸をするとハンドルを握りしめて言った。
「今日はなんかとっても素敵なんだね」
「今日は戦闘モードなので」
「戦闘モード?」
「はい。元夫や不倫相手がいる店ですから鎧を着けて挑みます」
雪子が冗談めかして言ったので俊は声を出して笑った。
「鎧を着けていたら重くて大変だろう? 武士は君には似合わないよ。どうせなら今日一日『シンデレラ』になるっていうのはどうだい?」
俊の言葉に雪子はびっくりした顔をした。
まさか俊の口から『シンデレラ』という言葉を聞くとは思わなかったからだ。
「え?」
「そう、君はシンデレラなんだ。だから今日はお姫様気分で過ごしたら?」
俊が微笑んで言ったので雪子は笑顔で頷く。
「はい」
「じゃあ、君の幸せを奪った奴らの元へかぼちゃの馬車で乗り込むとしますか」
俊は笑顔でアクセルを踏み込んだ。
コメント
4件
俊さんのおっしゃる通り❣️👍️♥️ 誰に対しても気配りを忘れない 優しい雪子さんには、鎧とか戦闘は似合いませんね....🤔 かぼちゃの馬車に乗って 王子様と一緒にお城に行き、 夢のような素敵な時間をすごしてね👸🤴♥️✨
雪子さんの夢,憧れのシンデレラにしてくれた俊さん✨💞🥰 王子様🤴と一緒にかぼちゃ🎃の馬車に乗って悪い奴らを成敗⚔️しにlet'sgo‼️‼️
シンデレラという戦闘服を着て、王子様を携えてかぼちゃの車でいざ本店へ=๑๑꒰ ੭ ε: ꒱੭ु⁾⁾ɢ००००००✰ᵎᵎ