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仙崎ひとみ/九龍
#異世界
リリア
「あと30分よ、お姉様。そんな大きな鍋で何を作るつもり? 泥水でも飲ませるのかしら」
エルナ
(……集中して。前世の知識、そして今世でアル様と出会って磨いた私の魔力……全部をこの生地に込める!)
(エルナが生地を捏ねるたび、黄金色の光が溢れ出す)
エルナ
(みんな、死なせない。……美味しいものを食べて、笑ってほしい。ただ、それだけなの!)
アルフレッド
「……エルナ、無理はするな。お前の魔力が底を突く」
エルナ
「大丈夫です、アル様。……だって、隣にあなたがいてくれるから!」
(焼き上がったのは、香ばしい匂いを放つ真っ白な『聖女のちぎりパン』)
エルナ
「さあ、みんな食べて! 呪いなんて、この美味しさで吹き飛ばして!」
(倒れていた少年がパンを一口かじる)
少年
「……あ、あれ? 体が……軽い。……あったかいよ、お母さん!」
(次々と立ち上がる人々。リリアが振りまいた黒い霧が、パンの香りに包まれて消えていく)
リリア
「な、何よこれ! 私の呪いが……ただのパンに負けるなんて!?」
バルト(料理長)
「……リリア様、おやめなさい。彼女のパンには、魔力だけでなく『食べる者を救いたい』という、我々料理人が忘れていた真実が宿っている……」
リリア
「うるさいわね! なら、街ごと消し飛ばしてあげるわ!」
(リリアが禁忌の魔石を取り出し、巨大な闇の球体を形成する)
エルナ
「しまっ……! みんな、逃げて!」
アルフレッド
「……私の領民に、二度と手出しはさせんと言ったはずだ」
(アルフレッドがエルナの前に立ち、見たこともない巨大な氷の盾を展開する)
アルフレッド
「エルナ、魔法を上乗せしろ! 二人の力で、この偽物を終わらせるぞ!」
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