今日は翔太は雑誌の撮影だという。
スウェットにキャップで出ていった時はヤンキーみたいとからかったけど、出来上がる翔太の写真はいつも息を呑むほど美しい。
しかも今回は花と一緒に撮影するらしい。そんなもの最高に綺麗に決まってる。
昨年、メンバーと屋外での撮影があった時の事を今でも思い出す。
フラワーガーデンの柔らかな春の陽射しと、色とりどりの花の中に立つ翔太。
白い肌が陽に透けるようで、思わず横にいたスタッフさんと『綺麗』がかぶるほど儚く美しく、 『実は付き合ってるんですよ』まで出かかって本当に危なかった。
あの時『妖精さんみたいですね』と言ったスタッフさんは天才だと思う。
今日は終わったら俺の家に寄ると言っていて、さっき『今から帰る』と連絡がきた。
晩ご飯は翔太の好きなものを食べに行こうと約束している。
筋トレを挟みながら待っていると、インターホンが鳴った。
玄関に立つ翔太は、見慣れない花を持っていた。
💛「お疲れ、それどうしたの」
💙「今日撮影で使って、もらってきた」
💛「へぇ、珍しい。気に入ったの?」
自分では絶対に世話しないし、花にもあまり興味がないのに。
💙「うん…」
視線を落としながら返事をして、少し置いてから
💙「この花…照の色だったから……」
と言い、顔を真っ赤にした声の主は『やる』とぶっきらぼうにそれを渡してきた。
綺麗に紙で包まれた黄色の花の束。
不器用なのが可愛くて、顔が綻んでしまう。
💛「そっか、ありがと。嬉しいよ」
べたべたした馴れ合いを嫌う翔太なのに、撮影の間この花を見て俺の事を考えていたんだと思うだけで愛おしくて仕方ない。
花束を受け取り、おいで、と腕をとると素直に胸に収まる。
しばらく抱き合ってから、おかえりのキスをした。
💛「今日激しくなるかも」
💙「調子に乗るな、バカ」
黄色い花の名前を聞いたらまさかの『わからん』。
調べたら、これはミモザと言うらしい。
感謝や愛の告白と共に贈られる春の花だとネットに書いてあった。
にやけてたら、翔太に頭を叩かれた。
長く飾っておきたかったので、知り合いのツテを辿って、スワッグにしてもらった。
俺の部屋には不釣り合いだけど、翔太が家に来る度に嬉しそうに眺めているのを見るだけでも幸せなので、良しとする。
終
コメント
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仕事の合間に見てます 癒されたぁ〜😊
激しい夜…(ごくり