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🌟🎈(nrkr)/宇宙
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翌朝
太宰は首筋に感じる柔らかな温もりで目を覚ました
中也が太宰の旨の上で丸まり、熟睡している
そのあまりに平和な光景に太宰が微睡んでいたとき────
「多剤さん!生きてますか!?昨日の報告書が真っ白ですよ!」
静寂を切り裂くのは扉を激しく叩く中島敦の声だった
さらに
「太宰、開けろ。会議の時間だ」
と、国木田の怒声まで重なる
「最悪だ…よりによってこのタイミングで…」
太宰は顔を顰め、慌てて中也を抱き上げた
急に起こされた中也は大きな瞳を瞬かせ今にも泣きそうな顔で太宰のシャツを掴む
「……だざ、こわい……?」
「怖くないよ、中也。いいかい、これから来る人達に絶対顔を見せちゃ駄目だよ」
「君は………そう、私の隠し子ってことに………いや、それはそれで面倒か」
太宰は中也をベッドの毛布の中に潜り込ませ、「いい子にしててね」と額に手早くキスを落とした
ガチャリと鍵を開けるとそこには案の定憤慨した国木田と心配そうな敦が立っていた
「太宰!連絡も寄越さず何を───」
「あーあー、国木田くん。朝から騒がしいねぇ。私は今非常に重要な極秘任務の真っ最中なのだよ」
太宰がドアの隙間を最小限にして二人を追い返そうとした、その時
毛布の中から「ぷはっ」と赤毛の頭が飛び出した
中也は太宰が離れたのが寂しかったのかトコトコと玄関まで這い寄ってきてしまったのだ
「だ……ざ………おいて、いかないで………っ」
裾をぎゅっと掴む小さな白い手
敦と国木田の時間が止まった
「「………………え?」」
「……あー、………これは、その……」
太宰が珍しく絶句する
敦は驚愕のあまり指を指し「太宰さん…隠し子!?いや、でもその髪色どこかで……」と混乱し、国木田は手帳を落とした
「中也、良い子にしててねと云っただろう?」
太宰が苦笑しながら中也を抱き上げると、中也は敦達を警戒するように太宰の首筋に顔を埋めて小さな唸り声を上げた
「この子、僕達を威嚇してる…?」
「ふふ、血の気が多いのは生まれつきなんだよ。」
「…………さて敦くん、国木田くん。この子の正体を知ったら君達の命は無いかもしれないけど……聞くかい?」
太宰の瞳から光が消え、冷徹なマフィア時代の顔が覗く
その腕の中では中也が独占欲を示すように太宰の鎖骨あたりを「はむっ」と甘噛みした
「ひっ…………!失礼しましたぁ!」
「おい敦、待て!太宰、説明しろッ!」
逃げ出す敦とそれを追う国木田
静かになった玄関で太宰は中也の背中を優しく叩きながらため息をついた
「全く……早く元に戻ってくれないと私の社会的地位が死んでしまうよ、中也」
中也は満足そうに太宰の腕の中で「だざ、すき………」と喉を鳴らした
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