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第8話 女子中学生
橋本優太の拘留期限は、刻一刻と迫っていた。
捜査本部では、焦りが広がっている。
「橋本以外の線も捜査すべきです。」
若い刑事が口を開く。
「証拠が少なすぎる。」
「殺害方法も分からない。」
「人格の問題だけで犯人と決めつけるのは危険です。」
会議室では、別犯人説を唱える声が日に日に増えていた。
「別班を編成します。」
上司の一言で、新たな捜査班が動き始める。
だが。
「俺は反対です。」
坂田だけは首を横に振った。
「橋本優太以外に、この事件を説明できる人物はいません。」
静まり返る会議室。
「証拠がないだけです。」
「真実は、橋本の中にあります。」
⸻
会議が終わると、坂田は一人資料室へ向かった。
机いっぱいに並べられた事件資料。
三人の女子中学生殺害事件。
満島凛一失踪事件。
そして、小学生時代の生活指導記録。
「……。」
もう何度読み返したか分からない。
それでも坂田は、一枚ずつ丁寧に目を通していく。
ふと、赤いペンが止まった。
「……女性。」
藤堂が顔を上げる。
「何かありましたか。」
「被害者だ。」
坂田は資料を並べる。
「小学校時代。」
生活指導記録には、
『女子児童と喧嘩。』
『女子児童への暴力。』
『女子児童への暴言。』
似たような記録が何件も残されていた。
「中学校では。」
今度は事件資料を見る。
三人の被害者。
全員、女子中学生。
「偶然……ですかね。」
藤堂が呟く。
坂田は否定する。
「偶然にしては出来すぎている。」
⸻
二人はホワイトボードの前に立つ。
坂田はペンを走らせた。
【小学生時代】
・女子児童とのトラブル多数
【中学生】
・女子中学生三人殺害
その間に一本の線を引く。
『共通点 女性』
藤堂は腕を組む。
「女性だけを狙っている……?」
「まだ分からない。」
坂田はさらに資料を見直した。
加藤あいさ
41
#探偵
橘靖竜
6,139
10
AK@アキ
59
橋本優太の学校。
男子校。
「……。」
坂田の目が細くなる。
「どうしました?」
「橋本は男子校だ。」
「はい。」
「普段、制服姿の女子中学生と接する機会はほとんどない。」
坂田は事件当日の行動記録を開く。
一件目。
下校中の女子中学生と接触。
二件目。
駅前で女子中学生と接触。
三件目。
公園で女子中学生三人と接触。
坂田は静かに言った。
「事件の日だけだ。」
「事件の日だけ、制服姿の女子中学生と関わっている。」
藤堂はハッとする。
「つまり……。」
「制服姿の女子を見たことが。」
坂田はホワイトボードへ新たな文字を書く。
『制服姿の女子』
「人格を呼び起こした?」
部屋が静まり返る。
誰も答えられない。
だが。
今ある情報を並べると、それが最も自然な仮説だった。
⸻
坂田は椅子へ腰を下ろす。
「もし、この仮説が正しいなら。」
「なぜ制服姿の女子なんだ。」
「なぜ女性だけを狙う。」
「何があった。」
藤堂も資料を見つめる。
「理由がありますね。」
「ああ。」
「橋本優太が、制服姿の女子に反応する理由。」
「そこが分かれば。」
「人格の正体にも近づける。」
坂田は三人の被害者の写真を見る。
「この三人には。」
「まだ何か、隠された共通点がある。」
その時、坂田の携帯電話が鳴った。
「坂田です。」
電話の向こうで何かを聞くと、表情が変わる。
「……分かりました。」
電話を切り、藤堂を見る。
「橋本優太のもう一人の親友。」
「鈴木大知。」
「新しい情報が入った。」
「会いに行くぞ。」
坂田は資料を閉じた。
制服姿の女子。
それが本当に人格のトリガーなのか。
その答えは、橋本優太の過去にある。
コメント
1件
美月ゆめかだよ〜🌸 第8話、一気に謎が深まったね…!!「制服姿の女子」がトリガーって仮説、ゾッとするけど確かに辻褄が合いすぎてる…😭💦 坂田刑事の執念がひしひし伝わってきて、橋本くんの過去に何があったのか、もう気になって仕方ないよ…!! 次、鈴木大知に会いに行くって展開、続きが待ちきれない🥺💕 早く最新話読みたい〜!!!