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花月夜れん
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柴田
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#バイオハザード
そまもんた@ペア画募集
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「しまった、もうすぐ夜が明けてしまうな。早くここを出ないと」
地下の禁書庫は、俺とカグアレイズが遊んだことで、少し本が散らかってしまっていた。必要なものだけ選んで、部屋に持ち帰ることにする。
階段を上ろうとして、ふと思い立った。
「ところで、カグアレイズ。お前、その姿じゃ目立ってしょうがないよな。小さくなったり、透明になったりとか、できないのか?」
たとえ使い魔といえど、かつては国を滅ぼそうとした魔人だ。屋敷の誰かに見られでもしたら、きっと大騒ぎになるだろう。
「もちろん、できますぜ! 化けるのは狸の十八番ですわ!」
そういってカグアレイズが、クルンと一回転する。やっぱり狸型の魔人だったらしい。
たちまち変化を終え、身長40cmほどの獣の姿へと変わっていた。狸にしては少し尖っている耳と、額から飛び出ている黒曜石の色をした角。パタパタと鳴るコウモリの翼。そしてモフモフした狸の尻尾が特徴的だ。
うん、これなら堂々と使い魔だと言い張れるだろう。
(フッフッフ⋯⋯。油断しやがって。おれはまだ諦めてねぇ! この可愛い姿で信頼を積み重ねて、いつか必ず殺してやるぜ⋯⋯!)
「おーい、どうした? そろそろ行くぞ、カグアレイズ」
「は、はいな! そ、そうだアステル様! おれのことは『カグア』とでも呼んでくだせぇ!」
「ん、そうか? じゃあ、これからよろしくな、カグア」
「へいっ! 全身全霊で、お役に立ってみせますぜ!」
階段を上り、地下から出る。書庫を元通りに戻すと、俺は部屋に帰って、眠りにつくのだった。
翌朝。俺は早速、書庫へと足を運んでいた。今日からはカグアも一緒である。 まずは昨日の禁術を研究だ。かつて古代魔術と呼ばれていた禁術は、現代では有り得ない、なかなかに独特な術式で構成されていた。
「へえ、意外と日常で使っているものばかりなんだな。これって、元々は術式の一部だったのか」
「そうなんですかい? まぁ、時代の変化でしょうね。これが生成、こっちは変換、これが固定を意味していて⋯⋯」
カグアの解説を受けながら、俺は手探りで禁術を試していく。禁術は発想こそ面白いものばかりだが、術式に使われている言語自体は、俺たち現代人も使っているものばかりだった。
例えば、
◯=『生成』 △=『変換』 □=『固定』
→=『方向指定』 ✕=『増幅』 ∥=『分割』
といったように、とても簡潔にまとめられていた。なるほど、これなら長々と呪文を詠唱する手間が省ける。実に便利だ。『符号術式』とでも命名するか。
それでも、禁術が封印されてしまったのは、やはり人類にとって危険なものだと判断されたからなのだろう。
たったこれだけの詠唱文で、簡単に世界へと干渉ができてしまう。昔は戦乱の時代だったそうだし、これくらいの力を持たなければ、この国も危うかったのかもしれないな。
禁術をこの時代の魔術に当てはめるなら、属性は、
命刻、魂葬、時逆、虚門、因果断、存在消去、といったところか。基本魔術と同じ6属性。やはり魔術は、禁術の劣化した姿だったようだ。
「さすがアステル様! 習得も早いっすね」
「そうか? まぁ、魔術の進化系って逆算して考えれば、多少の応用は効く。あとは地道な努力だがな」
「おれは5年かけてやっと『命刻』を扱えるようになったってのに⋯⋯」
カグアがブツブツと何か言っているが、俺は気にせずに禁術のサンプルを作っていく。この場で撃つことができないのが残念だ。
「うーん、どこか実験場所が欲しいな⋯⋯」
「さすがにこの屋敷はダメじゃねぇですかい? 禁術なんて使ったら、何が起こるかわかったもんじゃないですぜ」
「そうなんだよなぁ⋯⋯」
制御をミスって、屋敷の誰かが死んだりしたら大騒ぎだ。それこそ、俺の魔術研究に支障が出るかもしれない。そう思い悩んだ時だった。
コンコンコンッ
ノック音がした。俺は慌てて禁術書やカグアを本の山の中に隠す。入ってきたのは、淡い金髪と金色の瞳を持つ、美青年だった。
「やぁ、やっぱりアステルもいたね。相変わらず魔術が好きなんだなぁ」
「ルカ兄さん! 一体、どうしてこちらへ?」
「なに、今度ダンジョンの調査が行われるって言うからね。少し資料を見ておこうかと⋯⋯アステル、ダンジョンや魔物に関する本はあるかい?」
「はい、もちろん!」
この書庫は、もはや俺専用の棲家のようになっている。どこに何の本があるか、頭の中にしっかりとインプットされているのだ。
ふむ、それにしてもダンジョンか⋯⋯。
「ルカ兄さん! 俺もダンジョンに行きたいです! 連れて行ってください!」
「うーん、アステルはまだ小さいし、危ないところだよ。もう少し大きくなってからね」
「えぇーー!」
くそ、やっぱりそう簡単に了承は貰えないか。ならば⋯⋯。
「じゃあ、僕はそろそろ行くよ。アステルも、根は詰めすぎないようにね」
「はーい」
バタンと扉が閉まり、カグアがモゾモゾと這い出てきた。
「誰ですかい? 今の御仁は」
「あぁ、この家の第6子で、四男のルカ兄さんだよ。商才、交渉の天才と呼ばれていてな。言葉巧みに相手を封じて、有利に持ち込むことから、『封者』の称号が与えられてる」
「ほぇ~、やっぱりエルシア家は、別格なんですねぇ」
「しかし! 今はそんなことどうでもいい!」
そう、俺の今日すべきことは決まった!
「ダンジョンだよ、ダンジョン! あそこなら、魔物に禁術を試し撃ちできるんじゃないか!?」
「えぇっ! まさか内緒で行くつもりですかい!?」
もちろん、そうに決まっている。善は急げ、だ。
しかし、そう簡単に行かせてもらえる気はしない。さっきも断られてしまったからな。
「まぁ、何とかなるさ。ただ、いくつか問題があってな⋯⋯」
「なんですかい?」
「カグア、お前『変化』が得意なんだよな? それで俺に化けられないか?」
「もちろん、できやすが⋯⋯」
「よし、ならそうしてくれ。そしてお前がこの屋敷に残って、俺の影武者となる!」
そうすれば、俺は自由に外へ出られる、というわけだ。うん、我ながら素晴らしい案なのではなかろうか。
「なるほど! 確かにそれなら、バレずに行けるかもしれませんね!」
「ただし、それでも問題があってな⋯⋯クラリスだ」
「あぁ、あのメイドの⋯⋯」
今日も昼から剣術指南がある。今はあと2時間もすれば、昼食の時間になるであろうというところである。さすがに2時間では、行って帰ってくることができない。
「アイツ、千里眼でも持ってるらしいんだ。こないだだって⋯⋯」
「アステル様、大きくなりましたね」
「そうか? まぁ、まだ子供だし、身長くらいすぐ伸びて⋯⋯」
「はい! おとといより、0.2cmほど⋯⋯」
「こわっ」
「な? 怖いだろ? アイツを騙すのは中々に難しいと思うんだが⋯⋯まぁ、何とかなるだろ。てなわけで、俺は早速出かける。ちょくちょく、『念話』で連絡は取るから。カグア、留守は頼んだぞー!」
「へーい! お任せくださいなー!」
俺は書庫の窓から身を乗り出し、空へと飛び立つ。
無属性中位魔法――『瞬歩』
脚力を強化し、一瞬の高速移動を行う付与魔法。上手く応用すれば、空だって飛べるようになる。やはり、魔法や魔術は素晴らしい。
俺は好奇心のままに、山々へと一直線に飛んでいくのだった。
コメント
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第5話、めっちゃ面白かったです!カグアの「リベンジしてやるぜ…!」っていう可愛い姿で企んでるギャップがもう…🤤💕 禁術を符号術式で紐解いていくのもワクワクしましたし、ルカ兄さんとのダンジョン行きのやりとりから、カグアに影武者させる計画に発展するところが最高でした。クラリスの「0.2cm」の怖さも笑った(笑) 内緒で飛び立つ勇気、応援したくなります!