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「冬は『寒椿』や『ポインセチア』だよ!」
そんな畑葉さんの声でハッとする。
「寒椿は『愛嬌』で〜」
「ポインセチアは『祝福』『幸運を祈る』っていう意味!」
「とまぁ、春夏秋冬の花言葉はこんくらいかな〜」
話し終わってスッキリしてる畑葉さんを見て『何か言わなきゃ』と思い、出た言葉は
「ツツジの花言葉聞いてないんだけど…」
という言葉だった。
気になりすぎて思わず口に出てしまった。
「え、言ってなかったっけ?」
「言ってない」
「ごめん!!」
「ツツジはさっきも言った通り、春の花で花言葉は『慎み』だよ!」
『慎み』…
なんか難しい…
「そういえば知ってる?」
「何が?」
「明後日お祭りらしいよ」
お祭り?
あぁ〜…
僕の家の近くにあるで毎年開催してる神社祭りのことね。
忘れてた…
そう心の中で声を零しながらも
「一緒に行く?」
とさり気なく誘う。
「行く!!てか私も誘おうと思ってた!」
そう言いながら畑葉さんはクスクス笑う。
「そういえば前に言ってた『フルーツ飴』ってなんなの?りんご飴のこと?」
もう少し長く話していたいと思い、
無理やり話題を絞り出す。
「いちご飴とかみかん飴とかもあるんだよ?」
「あ、じゃあじゃあ!お祭りで一緒に食べない?」
「そうする。気になるし」
「やったー!!」
畑葉さんって嘘ついたこと無さそう。
なんか心の内がそのまま声や表情に出てるっていうか…
でもたまに妖みたいな雰囲気も感じるんだよな…
だから端的に言えば『不思議ちゃん』みたいな…
神社の入口の前で待ち合わせって言ってたのに全然来ないな…
そう思いながら自分の浴衣を見る。
母さんが無理やり着せてきた浴衣。
それより畑葉さん遅いな…
待ち合わせの時間からもう30分ほど時間が過ぎていた。
その時、
「古佐くん!!ごめん!!」
カコカコと下駄の音を鳴らしながらこちらに向かってくる畑葉さんの姿が見えた。
桜の花柄の浴衣を纏っている。
The畑葉さんって感じ。
纏っているとも着ているとも言えるが、
僕には和風のドレスのようにも見えて。
いつもより大人っぽい桜の妖精のようで。
「30分も待たせてごめ───」
「綺麗」
「へ?」
一瞬で互いの顔が真っ赤に染まっていく。
心の中で呟こうと思っただけなのに、
気づいたら声に出ていた。
「ありがと…」
小さくそう呟く畑葉さんをチラリと横目で見る。
と、僕よりも顔が赤い。
耳まで真っ赤だ。
「わ、私先行くから!!」
声を上ずりながらも畑葉さんは早足でお祭り会場へと向かっていた。
それを慌てて僕は追う。
「あ!!私これ買う!あれも!!」
そう言いながら畑葉さんはチョコバナナやチュロス、ヨーヨー掬いなどと、
どんどん指を差す。
「ん〜!!美味しい…!」
『今にもほっぺが落ちそうだ』みたいな雰囲気を醸し出しながらチョコバナナを頬張る畑葉さん。
しかも今食べているのは3本目。
桜餅50個事件の時も思ったけど、
畑葉さんって食いしん坊だよね…
それよりも胃の心配の方が大きいっていうか…
てか50個も食べたら飽きない?
そう思いながらも『幸せならいっか』と心の中では片付けられてしまう。
というか見てたら僕もお腹すいてきたな…
そう思い、僕もチョコバナナを買う。
1本300円。
高い。
食べたい時はお祭りで買うより自作の方が断然安い。
だけどお祭りで食べるからこそ美味しいんだよね〜…
そういえば通っている最中に色んな屋台を見てきたけど。
1050円が最高ぽかったな…
「美味し」
そんなことを考えながらも、
口では本心を零す。
気づいたらさっきまで隣に居たはずの畑葉さんは居なくなっていた。
『もしかしてはぐれた』そう僕が心配していたのにも関わらず
「古佐くん〜!!これ美味しいよ〜!」
とどこからか畑葉さんが戻ってくる。
ただの心配損のようだった。
畑葉さんはたこ焼きや焼きそば、
ジュースやミニケーキなど様々な “ 食べ物 ” を抱えていた。
「そんなに食べたら太るよ」
お金の心配をする前に、
そんな言葉が口から飛び出てしまう。
「酷い!!でも美味しいのが悪いんだもん…!」
と反論してくる。
確かに美味しいのはそうだけど…
「お金無くなっちゃうよ?」
「大丈夫!!」
そう言いながら畑葉さんは自身の財布の中身を僕に見せてくる。
中には有り得ないほどの大金が入っており、
どこかで盗んできたんじゃないかって怖くなる。
「…とりあえずどこかに座ろっか」
落としたら大変だし…
そう心の中で追加の呟きを零しながら畑葉さんを飲食スペースに案内する。
当たり前だがお祭りには沢山の人が居た。
もちろん飲食スペースにも。
イスとテーブルがある場所は空いておらず、
僕たちは隅っこの空いているスペースに座ることにした。
座る前からも座った後も畑葉さんは次々と色んな物を口に放り込むように食べていた。
「古佐くんは食べないの?」
「あ、分かった!!もしかしてもうお金使い切っちゃったとか〜?」
僕が答える前にそう少し馬鹿にしながらそんなことを問いてくる。
「いやお金はちゃんと余って───」
「しょうがないな〜」
僕が答えようと口を開けたと共に畑葉さんは僕の口の中に何かを突っ込んできた。