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その日の夜。

 父上が帰還され、重要な話があるとのことで母上、シン、ウェルが呼ばれるが、僕は変わらず蚊帳の外だった。

 父上の表情から察するによっぽど重要なことらしい。

 0時を回っていて良い子は寝ている時間。

 だが、僕がこんなところで寝るわけもなく……こういう時に使えるのが僕の耳の良さである。

 応接室の方向を意識して耳を傾ける。

『夜遅く集まってもらってすまない』

『いえ、キアン様がこのように人を集めるということはよっぽどのことがあったとお見うけします。確か勅命書が届いてから急ぎ向かわれておりましたが、何があったのでしょうか?』

 話が始まったか。

 そういえば国王の使者から勅命書が届いた後、すぐに向かっていた。

『……王妃様と第二王子殿下が病死された』

 ……ああ、そういうことか。そういえば第二王子殿下は幼い頃に亡くなったと設定であった。

 物語の強制力というものなのだろうか。

 だが、知っていても取れる行動はなかった。

 第二王子に関してはそれとなく父上から聞いていた。

 僕と同じように聡明で将来は王太子になるのは確実だと。

 まぁ、僕が聡明というところは否定したかったが、将来的に仲良くなって欲しいと遠回しに言われていただけかと思うが。

 王妃様も会話の中で最近療養していると聞いていた。

 人間誰しもが死を体験する。僕もそうだった。

 だが、第二王子は5歳、王妃殿下もまだ30歳にもいってない。

 若すぎる命が散ってしまったことに、僕はどう思えばいいのだろう。

『後日、追悼式が執り行われる。ユリアンにも同行してもらうから。シン、領のことは任せたよ。ウェル、君はアレンのことをお願いするよ。何か異変があればすぐに報告するように』

 僕は一人黙祷を捧げた。

 僕が何か行動していたら変わっていたのだろうか……いや、それはないと思う。

 僕が前世で医者だったら……この世界にどんな病も治せる薬が存在していたら変わっていたかもしれない。

 だが、この世界は西洋、日本よりも医学が発展していない。

 どんなに頑張ったところで病は治せなかったと思う。

「どうか……安らかにお眠りください」

 そう言って一人天国にいる顔も知らない二人に次の人生に幸在らんことを。

 後日、父上、母上は王都に向かった。

 僕が父上からこの件の話を聞いたのはもう少し成長してからだった。

 しばらくは父上と母上、ウェルからは必要以上に心配される日常が続いたが、数年も経てば元通りになり、気がつけば10歳になっていた。

「やっぱり見ようによっては女に見えなくもない」

 10歳になってからよく鏡で容姿を見ることが増えた。

 美少年になっていた。見方によっては女に見えなくもない。

 母上の容姿に似ている。

 姿鏡で何日見ても見飽きない美貌だが、これで身長があれば文句なしなんだけど、多分早く成長期は終わる。

 そう自分の容姿について考えているとドアがノックされた。

「アレン様、旦那様がお呼びです」

 それは僕の専属執事ウェルからの連絡だった。

実は僕……すごく耳がいいんです〜乙女ゲームで感情のない人形と呼ばれた悪役令嬢は重度のあがり症だった〜

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