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8 - 桜の花びらが落ちるまで

♥

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2022年03月20日

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“ 桜の花びらが落ちるまで “








「もう卒業、、か・・・」


正門の前で、目に映る大きな学校を見ながら、私は卒業証書を手にし、そっと呟く。

3年前の入学式。あの時正門から見た景色とは、全く違う。

なんだか、何処か切ない気がした。



その時、後ろから優しく誰かが肩に触れている。

誰かなんて、すぐにわかった。


振り返らないわけがない。

私はドキドキしながら振り返る。


やっぱりそこには——



「よっ」


いつもと変わらない彼がいた。

私の大大大好きな彼が。




「卒業、おめでとう」


大きな花束を私に渡す彼。

にっこりと、目が無くなるような笑顔で私を見つめていた。



嬉しくて、嬉しくて、涙が溢れそうだった。

こんな嬉しい卒業式、初めてだから。

でも彼にはせっかく持ってきてくれたんだから、笑顔にさせなきゃ。




ゆっくりと私は花束を受け取る。

いい香りのその花は、まるで私の切なさを埋めてくれているかの様だった。



「ありがとう」



涙を堪えながら震える声で答える。

彼は、またにっこりと笑った。



そして、急に目線を逸らす。



「今日は満開の桜だね」



目の跡を追うと、彼は1枚1枚の桜の花びらを見つめていた。

彼の花を見る表情は、いつも丁寧で美しい。いつもの倍くらい儚さが増している。





私は、その1枚の花びらを取って、彼の頭に乗せた。




またニコリと笑う彼。潤った瞳が物語っている。

「大好き」って、言ってくれてる。



「どう?似合ってる?」



その瞳で、彼はポーズをとりながら言う。

彼は何もかも完璧な彼氏だ。



「すんごい似合ってるよ、本物のお花になったみたい」



私も笑顔でそう口にする。

彼の頬は、少しずつ桜色に染まって行っている様だった。



「ふふっ、照れてるの?」



意地悪で言ってみる。

可愛くて愛おしい彼は、もしかしたら妖精さんなのかな。



「うるさい!照れてなんかないし・・・」



さっきの儚さは嘘みたいに消えていく。

逆に、桜と同色すぎて消えていきそうだ。



すると彼は、私の頭に自分の乗せていた花びらを乗せてきた。



「お返し」



蕩けるような声が耳元で響き渡る。

いつしか私は、見えなくなってしまう彼の背中を必死で追いかけていた。



「あー!待って!」


「ここまで来れるなら来てみな〜」


「もう・・・!待ってよ!」












やっとの事で彼には追いついた時には、もう私の頭にあった花びらは何処かへ消えてしまっていた。


それでも良いんだ。



桜の花びらが落ちるまでに、彼に追いついたから。





ギューっと彼に抱き寄せられる。


桜は、まだ、




“ 私達の周りを舞っている様だった “ ____

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コメント

37

ユーザー

こんなことするのは……………ろんたんかにゃ?!

ユーザー

えもい(?)うん。えもい

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