こんにちはミラです。
私が一次創作を書くとどうしても私が大好きなあの双子の要素をキャラクターに織り込んでしまうのです。これまでも、きっとこれからも。
話は変わりますが、180度くるりんぱですが、鈴の音って綺麗ですよね。そんな鈴のあの上品な金属感を描きたくて最近奮闘しているのですが中々上手くいかない。そういえばそもそも私は楽器を演奏するのが好きでして、ピアノ、トランペット、ホルン、お琴、バスマスター等色々な楽器を習ったのですが今ふと思い返すともう一度お琴を弾いてみたいと思いますね。
私はなんの話をしているのでしょうか。脱線もいいところだ。
※この物語はどこからでも読める一話完結型ではございません。プロローグから順を追って読んでいただかないと意味がわからないと思います。
悪役令嬢が悪行の限りを尽くして何が悪い
【*第1章 ー悪役令嬢が奴隷拾ったら大抵その奴隷実は滅茶苦茶イケメンだよねー*】
〈第1話 美少女、セメントトラックに轢かれる〉
「うげ…またノーマルレア。」
あまり手入れされていないであろう黒髪は肩で乱雑に切られ、お下がりだろうか、元の質は良さそうだがすっかりくたびれてしまったグリーンチェックのブラウスに燻んだジーパンというなんとも冴えない格好の女の子がタプタプとスマートフォンを操作しながら歩道を歩いていた。大きな赤いメガネもその垢抜けない様子を助長させている。
「もー!てか選択肢むず過ぎ、ヴァンデミアまたきたのかよ…」
何やらぶつぶつと呟いているようである。器用に前からくる通行人を避けながらスマホを弄り続けている。しかし、ずっとスマホばかりを注視していた女の子だったが、突然顔を上げる。いつもは半眼もいいところの目が今は信じられないものを見た、とでもいうように限界まで開かれている。口は半開きになりあほ面全開だ。
前からやってきたのは煌びやかな女子たちだった。アイ〇ツ!アイ〇ツ!と叫びながらグラウンドを走り回っていそうな学園の服と趣のよく似たかっこいい制服に身を包み、きゃいきゃいと駄弁りながら集団でまとまり冴えない少女の方へ向かってくる。きっとレベルが高い者どうし集まっているのだろう、どの女の子も一人で歩いていれば少し人目を引くくらいには可愛らしかった。
しかし、その中でも冴えない少女が喰い入るように見つめているのは一際煌びやかで、輝かんばかりの美しさを持つ集団の真ん中にいる美少女だけだった。
よく見るとその集団の周辺を通る人が皆その美しい少女に目が釘付けである。ある者はその美少女を見ながらあるていたが故に電柱とキッスをする羽目になり、ある者はこの世にこんな美しい人が存在したのかと言わんばかりに驚き立ち尽くした。通りすがった人々は例外なく半回転ドリルですかとツッコミたくなるくらいに振り返り、そこら一帯で衝突事故多発である。その時、
「っあ」
一瞬、冴えない少女と美少女の目がかち合う。
その瞬間
大型トラックが歩道を踏み潰したーーーーーーーーーー
視界が暗転し、突如として風景が切り替わる。
美しい幾何学模様に彩られた壁、揺れる蝋燭の下には冠のように輝く金の燭台、白いテーブルが奥まで続き歴史の授業の再現VTRかなんかで見たことがあるような食事がそこに所狭しと並んでいる。
さっきまで目に映っていた商店街も、灰色のアスファルト道路も、すれ違った通行人も全て消えた。
(え、何⁈今トラックが…はぁ⁈まって、私、轢かれた?とするとこれは走馬灯かしら。夢と同じように断片的な記憶を小脳が繋ぎ合わせて作ったものかもしれない。)
当然のあまりの情報量に、意識が遠のいた。
「ヴァンデミア様!ヴァンデミア様!」
痛い。頭痛が痛い。凄く痛い。助かったのか、聞き覚えのない声がガンガンと頭を打つ。
「ヴァンデミア様⁈お目覚めになられたのですね!どうなさいましたか、もうお部屋に戻りますか?」
(・・・は?)
目の前には見慣れない顔。必死に自分に声を掛けているようだが。
(ここ、何処?てかあなた誰?そもそもヴァンデミアって誰のことを言っているのかしら?)
顔を上げると走馬灯で見た光景が、いや、そもそもあれは本当に走馬灯だったのだろうか、ともかく豪勢な見たこともない食卓が目の前には広がっていた。
「ヴァンデミア、大丈夫?疲れているのかしら。先にお部屋へ戻っていていいわよ。」
「医者を呼ぼう、大事があったら困るからな。」
前には前世の母と顔が似ているおばさん、斜め前のお誕生日席に座っているのは外国人然としたダンディな
おじさん。
(・・・どういう状況?)
状況が掴めずにぼんやりとしているとあれよあれよという間にダイニングから連れ出されてしまった。
「お嬢様、何かあったらお呼びくださいね。」
そう言ってメイドの格好をした女性が、私の放り込まれた部屋の扉を閉め出て行く。
部屋には私一人。
改めて問おう。
「・・・どういう状況?」
少々今までの経緯を思い出してみる。
(学校帰りに友達と秋葉原に遊びに行って、ゲームセンター行って、そのあとloftでちょっと化粧品買って、クレープ皆んなで食べようって話しになったから原宿行くことになって、皆んなで歩いてたら大型のセメントトラックが突っ込んできた。…ここまでで何ら変わったことはなかったわ。
問題はここからね。恐らく、いや確実に私は轢かれたのでしょう。それに轢かれなかったとしてもあのトラックはセメントトラックだった、しかも視界が暗転する間際ぐるぐる回るセメント容器に電柱が直撃してヒビが入る様子が見えていた。私が死んだかどうかは分からないがきっと無事ではないわ。
…死んでない、きっと死んでない大丈夫多分植物状態とか何なのよ今。これ夢、絶対夢、絶対目が覚めたら病院のベッドの上だもん。だって私明日の環境問題論文発表の準備だって一か月かけてやったし、あんだけ駆けずり回って資料集めたし、悶絶する程長い出典書いたし、米株も高騰気味でそろそろ切ろうと思ってたし、何より、何より週末に友達とディズニー行く約束してたし!
早く目覚めて、早く目覚めて、早く目覚めて!
・・・む・り。
うん、人為的に夢から目覚めるってほぼ不可能に等しいもの。無理だわ無理無理。
というか本当にここはなんなのだろうか、みてくれだけを見ると到底私が見ている夢とは思えない。私はこんな現実味のない西洋を描いた小説、漫画、映画、資料館は殆ど見たこともないし言ったこともない。
ファンタジーはあまり好きではなかったし、そういう世界観の作品にもあまり目を通したことはない。一時期北欧圏の文化に興味を持ち色々と調べてみたけれど、今私がいるような、蝋燭とか使っちゃうような時代はもっと衛生面が崩壊気味で、権力の誇示のため外装は美しいけれど内情はお風呂に入らず香水で体臭を誤魔化すような日本人には考えられないような文化だった筈よ。
ドレスなどもさっきのおばさんが来ていたのは現代の型と流行に即したようなものだった。当時のドレスはもっと古めかしくこってりとしたベルラインに鉄製のコルセットを締めるようなものだった、部屋着だとしてもあんな21世紀にアパレルで売っていそうな軽いワンピースタイプのドレスなど着ない筈。
それにパッとみた限りもしここが北欧貴族最盛期時代ならば、この部屋の調度品だって可笑しな点ばかりしかない。まずカーテン、華やかな貴族文化によってカーテンは飛躍的に発展を遂げた、貴族は金糸や高価で重厚な布を使い、更にその力とセンスを示すためカーテンベルトなどでまとめ上げてもゆったりとした弧を描くものが流行った。けれど目の前に掛けられているカーテンは見た目こそ貴族然としているけれど触ってみるとペラペラで本当に実用的なカーテンにちょっとだけ装飾を施しました。といった風貌ね。
貴族は子爵でもない限り絶対にみてくれを最重要視する、もしかしてここは子爵の家なのかしら。けれどそれにしたってまるで現代人が想像しながら中世ヨーロッパを描いてみましたとでもいうような…
わからない、本当にここはなんの為のどんな場所なのか。兎に角何か情報を得なければ。)
大混乱中の少女はグッと眉間に皺を寄せ、ベットに座らせれたままの状態でキョロキョロとあたりを見回す。すると部屋の奥に大きな本棚があることに気づき、腰を上げた。
(あ、結構大きい本棚がついてるじゃない。読めるかしら、そういえば周りの人達が喋っている言語、全部日本語だった。…どういうこと?ねぇほんとにどういうこと⁈
え、メイドさんっぽいおばさんも含めて日本人顔、更に言えば東洋系の顔の人は誰一人としていなかったわよね。
絶対ここ日本じゃないじゃない…それにきっと私の夢でもない。だって夢は小脳が大脳の活動休止中のみ大脳からの指示がないために起こる、記憶を整理する過程で無差別に記憶を再生させてしまう現象だから。いわば記憶のパッチワーク、見たこともない景色、話は再生も何もない、だってそもそも素材がないのだから。怖すぎる、ここは、何処?)
暫く立ったままの状態で何かを考え込んでいた少女だが、突然真っ青な顔をして自分の身体を掻き抱くとそのままスタスタと本棚の方へ向かった。
(・・・文字は、英語なのね。まぁ、英語なら支障なく読めるから問題はないっちゃないけれど。これ英国の英語じゃなくて米国の英語よね?アメリカはイギリスの植民地だったから貴族文化は発達しなかった…あぁもう訳がわからない!せめて文字も日本語であれ!100歩譲ってフランス語とかイギリス英語ならまだわかるわよ、それかオーストリアとかのヨーロッパ本土の言語だったら。でも、でも流石にアメリカ英語は無いのでは⁈しかも一冊とかだけならわかる、けどアメリカ文学が発達するのは独立後だからそれもそこそこあり得ないのだけれど…まぁ一冊くらいならもしかしたらというかこともあるから輸入品だということで納得できる。けど、けど全部アメリカ英語だし!なんかイタリック体で洒落た感じに飾ってるけどアメリカ英語だし!勘弁してよ…
ん、あれ化粧台かしら。あんなに豪華な十二面鏡…おじいちゃんの家で見た以来だわ。それに何か今白いものが鏡の中を横切った気が。けれどこの部屋に白い生き物なんて…。え、怖すぎ。怖すぎるのだけど。)
何を不審に思ったのだろうか、そろそろと少女が本棚のある壁と同じ面に据えられた十二面鏡に近寄っていく。そして恐る恐る覗き込むと、腰を、抜かした。
(あ、あばばばばばばばば。あっ、ああ、ああ、あばばばばばばば。)
そこに映っていたのは、雪のように白く輝くストレートの髪と、その瞳の前にはどんな宝石も霞むであろう黄金の瞳を持ったヴィーナスも裸足で逃げ出すほど美しい少女が立っていた。
「か、か、かか、髪、髪がーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー‼︎」
大きな屋敷一帯に響き渡る絶叫が、留まるところを知らぬ程に大きく木霊した。
高評価が600いったら嬉しいです。作者が一人部屋で踊ります。
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【次回】
あまりの出来事にダンディおじさん発狂⁈その様子を見てしまった奥方の反応はいかに!
そしてヴァンデミアの目が死ぬほどの出来事とは⁈
次回、「おぢさん絶叫」お楽しみに!
コメント
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まるさんが名前を変えた時、「あ、この人名前変えるんだ」と思ってしまった。ミラさんと呼びましょうか。三月まで投稿は無いものと思い、「MIRA」と言う名前が見えた瞬間月経二日目の私が飛び上がりました。これからも勉強の間に沢山書いてください。