コメント
2件
壮馬さん&花純ちゃん、そしてご家族の皆様、 婚約発表おめでとうございます💐💍✨🎉✨ 空中庭園のリニューアルオープンも重なり、 最高に幸せな一日となりましたね....🍀
壮ちゃん、花純ン、婚約発表おめでとう🎉🎉🎊 花純ンは青山花壇に入ってフローリストに左遷になったどん底の時からたくさんのステキな人との出会いで今日の良き日を迎えれたね🥹💕 これから青山花壇も生まれ変わっていくし穂積さんも坂上先輩も新しい会社で頑張れるし良かったね‼️ 泉はぜひ父親と一緒に自分のことしか見てない人生だと誰も交わってこないことを学ばないと‼️
「えー、では最後に、私からもう一つご報告がございます。花純!」
壮馬は花純を呼び寄せた。
いよいよ壮馬の婚約者として紹介されるのだと思った花純は急に緊張してきた。
しかし隣にいた美咲が、
「花純ちゃん頑張れ! 副社長がいるから大丈夫よ!」
と励ましてくれた。すると有田課長と水森も、
「さあ、晴れ舞台に行っておいで」
「藤野さん頑張って」
と声をかけてくれる。
なんて優しい仲間達なのだろう。思わず花純の瞳が潤む。
あの日青山花壇から出向を命じられた時、花純はかなりショックを受けていた。そしてもし本社に戻れなければ夢だったガーデンデザイナーへの道は諦めるしかないとも思っていた。
そんな中でもとにかく今は置かれた状況で頑張ろうと思いあえて前向きにフローリストで働く事を決心する。
そうしたら素敵な出会いがいっぱいあった。
優香を始めフローリストの仲間達、そしてプロジェクトのメンバー達。誰もが素敵で尊敬出来る人々だった。
そしてその素敵な出会いは再び花純を夢へと導いてくれた。
花純はそんな彼らに感謝の気持ちでいっぱいだった。そしてその感謝の気持ちを抱きながら花純は前へ一歩踏み出した。
背筋を伸ばし前をしっかりと見据えた花純は壇上を進んで行く。
その先には優しい笑みを浮かべた壮馬が手を差し伸べて待っている。花純は泣きたくなるほどの幸福感を胸にその手をしっかりと握った。
二人が手を取り合い見つめ合った瞬間再び会場が騒めいた。
「えーここで皆様にご報告があります。私高城壮馬は、この度ここにおりますガーデンデザイナーの藤野花純さんと正式に婚約いたしました」
壮馬はそう報告すると花純の肩を抱き寄せた。そしてこの上ない優しい眼差しで花純を見つめる。
花純も少しはにかんだ笑みを浮かべて壮馬を見つめ返した。
一瞬、会場内はシーンと静まり返った。
しかしすぐに盛大な拍手と「おめでとうー!」というお祝いの言葉があちこちから飛び交い始めた。
会場に来ていたマスコミ各社は慌てて二人の傍まで駆け寄ると一斉にフラッシュをたく。
テレビカメラを抱えたテレビ局のスタッフも二人の仲睦まじい様子を捉えようと前へ進み出た。
その時、群衆の後方にいた泉は、
「なんで? なんであの女が?」
と納得がいかない様子だった。そして父親に食ってかかる。
「お父様は私に幸せな結婚をさせてやるっていつも言っていたのに、なんで私だけがこんなみじめな思いをしなくちゃいけないの?」
泉は周りの目も気にせずにヒステリックに怒鳴り散らした。
しかし父の宮森は重要な電話中だった為娘に静かにするように言う。
しかしプライドがズタズタで気が収まらない泉は電話中の父親の肩を揺さぶりながら続けた。
「ねぇ! なんで? なんでなのよっ! なんでこんな事になるのよーーーっ!」
泣き叫んでいる泉の事を招待客達は「うるさいなー」という表情で冷ややかに見ている。
しかしそんな視線には全く気付かずに、泉はいつまでも父親の肩を揺さぶりながら怒鳴り散らしていた。
壮馬の会社のイベントの様子は昼のワイドショーで中継されていた。もちろんその番組のスポンサーは高城不動産ホールディングスだ。
長野の花純の実家では、茶の間で花純の母・涼子と祖母の雅子がお茶を飲みながらその中継を見ていた。
「花純はいつの間にかあんなに綺麗になって」
祖母の雅子がしみじみと言うと母の涼子も頷く。
「本当に壮馬さんやご両親からは良くしていただいているようで」
涼子は嬉しそうに微笑む。
「それにしてもこんなに高価で美味しい羊羹、いただいた事がないよ」
雅子はそう言うと羊羹を切り取って口に入れた。
「前にお母様の百合子さんとご一緒した時にね、うちのおばあちゃんは甘いものが大好きでって言ったのを覚えていて下さって送ってくれたのよ。社長夫人でいらっしゃるのに全く気取ったところがなくて、本当に素敵なお母様なのよ」
「そんな立派なお母様だから、あんなに立派な息子さんが育つんだねぇ…」
雅子は感慨深げにテレビを見つめる。
そこには恥ずかしそうに微笑む孫娘と、孫娘を優しい眼差しで見つめる素敵な婚約者の姿があった。
「壮馬さんは優しくてしっかりしていて本当に立派な方よ」
「そんな立派な方が花純の旦那さんになってくれるのならもう何も心配はいらないね。あたしゃいつお迎えが来ても大丈夫だよ」
雅子はそう言って笑った。
「あら、おばあちゃん! まだまだ長生きして下さいよ。花純の結婚式だってあるんだから」
「結婚式? おやそうかい! 私も行くのかい?」
「当たり前でしょう? お母さんは花純の大事なおばあちゃんなんだから」
涼子は可笑しそうに笑った。
そして再びテレビに映っている娘を見る。
恥ずかしそうにインタビューに答える娘の姿を見ながら涼子は心の中で、
(花純、おめでとう)
とお祝いの言葉を贈った。
高城不動産ホールディングスの空中庭園リニューアルセレモニー、そして青山花壇の買収のニュースは翌日以降もニュースやワイドショーを賑わせていた。
高城不動産が新たな分野へ進出する事、そして自然環境に配慮した経営方針へ方向転換するという発表は各業界から好意的に捉えられ週明けの株価は最高値を更新。
それにより新たに業務提携したいと申し出る企業が殺到し会社では今その対応に追われている。
また壮馬と花純の婚約発表も世間に衝撃を与えた。
プレイボーイとして今までマスコミを賑わせていた壮馬がガーデンデザイナーと婚約したというニュースは良い意味で世間を裏切った。
仕事を通じて知り合った女性と結婚を決めた壮馬に対し、今まで散々遊び人・女たらし・プレイボーイと揶揄していたマスコミ各社は、一転して二人のロマンスを書き立てる。
壮馬のお陰で週刊誌やスポーツ新聞の売り上げはまたたく間に増え意外な経済効果をもたらしていた。
また花純のお陰で『ガーデンデザイナー』という職種が脚光を浴び、ガーデンデザインに関わる言葉が検索エンジンのトップ10に入るなど様々な方面から注目を浴びる。
一方買収された青山花壇については着々と内部改革が行われていた。
社長には板垣優斗が就任した。優斗は高城不動産ホールディングスの専務と兼任になるがしばらくはこちらの会社で全力を尽くす事になる。
優斗指導のもと親族経営は実質解体され宮森社長の親族は全て解雇となった。
親族以外の重役達は高城不動産のアドバイスのもと全員が一度辞表を提出していたが買収後に呼び戻された。
そして今後は高城ホールディングスの指導のもと経営を行っていく。
また本社庭園デザイン設計部の穂積課長は辞表を提出し転職しようとしていた花純の先輩・坂上健太を引き止めた。
穂積は坂上が今まで通り会社で仕事を続けられるよう社長の優斗に掛け合ってくれた。
その結果坂上は高城不動産ホールディングスの傘下に入った今の会社にそのまま残る事になった。
それを知った花純は心からホッとしていた。