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#宵待ち亭
#夢
「いやいやいや!社長!騒がしくもなりますって、ハリソン、お前なぁ、なんで、勝手に話つけやがる!」
龍が、怒りまくっている。
「え?そんなに怒らなくても。こうして、報告に来たわけだし。事後承諾ね」
「そんなもん!許されるかっ!!ハリソン!!」
龍は、社長!!と叫びながら金原へ歩み寄った。
「なんだよー!せっかく、お玉をつまみに、盛り上がれそうだったのにぃ」
金原の隠し子だと言って、ハリソンをからかうつもりだったと、お浜は、乱入してきた龍へ、不満げに口を尖らした。
「お浜さん、お玉ちゃんで遊ばないでください」
言う櫻子の腕の中で、お玉は膨れっ面を崩さない。
「なんなの!もう!龍!珠子は、どうなるのよぉ!」
「知るかっ!てめぇの弁当なんぞ、食えるか!そもそも、弁当なんか、俺は頼んでねぇし、ヤスさんにでも作らせたんだろうがっ!」
龍の返しに、ひどい!と、珠子が叫ぶ。
「いや、なんだか、かしましくなりすぎておりますね、順序だてて話しましょうよ」
ハリソンが、皆をまとめる事で口を挟んだ。
「……順序だてても何も。ハリソン、お前だろ原因は……で?何をやからしたんだ?」
「ええ、なんでも、ハリソンさんが、山根の親分さんへ、金原の屋敷を売ったようです」
金原の質問に、冷静沈着な声がして、皆は、一斉にそちらを見た。
八代と、その後ろに圭助が、大きな風呂敷包みを背負い佇んでいる。
「玄関からと思いましたが、騒がしかったので……」
八代も、ハリソン同様に、中庭を覗いた方が早いと思ったのだと言う。
「ああ、柳原の店の方へ親分さんが、来られましてね。詳しい事情は私が伺っております。そして、売上等のご報告に参りました」
八代が、律儀に頭を下げる。それを見て、圭助も、慌てて頭を下げたが、背負っている尋常ではない大きさの風呂敷包みに押されて、あわや、転げそうになっていた。
「まあ、皆さんお揃いで。狭いですけど、こちらへどうぞ、どうぞ」
ハリソンが、縁側を勧めた。
「おめぇが、仕切れる立場かよっ!!人の屋敷を勝手に売り飛ばしやがって!」
龍は、変わらずハリソンに噛みついた。
「ちょっと!なんなのよ、これ!珠子の話を聞いてよ!龍!龍ったらっ!!」
置いてきぼりにされている、珠子が、ふてくされている。
「うるせぇんだよ!そもそも、珠子!てめぇ、なんで、俺の仕事場に来やがった!っつーか!何、さっきから、キャンキャンほえてんだっ!!ちいと、てめぇーの立場を考えろっ!!」
「ちょっと、なんなの?えっ?!なんで、珠子が怒鳴られるの?!どうゆうこと?!」
龍の怒りをまともに受けた珠子は、訳がわからないと困惑しきっている。そんな、場違いの珠子へ圭助が、無言のまま歩み寄る。
「お父様!!珠子が、何をしたっていうの?!」
そう珠子が言うと同時に、圭助の右手が、珠子の頬へ振り下ろされた。
「いい加減にしないか!!珠子!!」
あっ、という声と共に、珠子は、大きく目を見開いた。
「……ぶった……!お父様!!なんで?!どうゆうこと?どうして、珠子を!!ひどいわっ!!お母様!!お父様がっ……!」
そこまで叫び、珠子は、ぎょっとして、圭助にぶたれた頬を庇う訳でもなく、さっと、口元を着物の袖で押さえた。
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