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内診台に上がると、侑は診察室から退出して待合室へ戻った。


念の為スカートで来院した瑠衣は下着だけ脱ぎ、目の前はカーテンが閉じられ、下半身にタオルのようなものを掛けられた。


「それでは、エコーで診察しますね」


プローブと言われる器具を膣の中に入れられ、院長先生は時間を掛けて丁寧に診てくれている。


膣の中で動くプローブに違和感を覚え、瑠衣は緊張のせいか身体が強張ってしまう。


「…………赤ちゃんの大きさから見て、恐らく八週目くらいですね」


(やっぱり…………妊娠……していたんだ……)


院長先生の言葉に、改めて妊娠した現実を突きつけられ、瑠衣の胸中は重苦しくてたまらない。


(響野先生との子どもだったら……凄く嬉しいはずなのに……。でも高い確率で、蹂躙された時にできた子なんだよね……)


膣からプローブが引き抜かれ、『エコー検査終了です』という言葉で我に返る。


内診台から降りた後、血液検査等の複数の初期検査、院長と問診して診察が終了し、瑠衣は看護師から一旦待合室で待つように言われ、診察室を後にした。




待合室へ戻ると、侑は立ったまま腕組みしながら神妙な表情で、窓の外を見つめている。


「…………先生、診察終わったよ」


「どうだったんだ?」


「やっぱり…………妊娠してた。八週目くらいだって……」


「…………そうか。とりあえずお前はソファーに座っていろ」


侑の近くのソファーに腰掛け、瑠衣は大きくため息を吐く。


来院した時、多くの夫婦や患者がいたが今では疎らになり、瑠衣の名前もなかなか呼ばれない。


やがて待合室にいた人たちが数人ほどになり、診察時間も終了時間に近付いている。


ついには、侑と瑠衣だけになってしまい、受付の前には『本日の受付は終了しました』とプレートが掛けられ、カーテンがサッと引かれた。


(なかなか呼ばれないけど、忘れられてるのかな……)


そんな事を考えていた矢先。


「九條さん、大変おまたせしてすみません。診察室へお入り下さい。ご主人も一緒にお入り下さい」


看護師から呼ばれて瑠衣は立ち上がり、侑と一緒に診察室へ向かったが、彼は『ご主人』と言われた事で照れたような面差しを見せた。

もう一度、きかせて……

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