テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
内診台に上がると、侑は診察室から退出して待合室へ戻った。
念の為スカートで来院した瑠衣は下着だけ脱ぎ、目の前はカーテンが閉じられ、下半身にタオルのようなものを掛けられた。
「それでは、エコーで診察しますね」
プローブと言われる器具を膣の中に入れられ、院長先生は時間を掛けて丁寧に診てくれている。
膣の中で動くプローブに違和感を覚え、瑠衣は緊張のせいか身体が強張ってしまう。
「…………赤ちゃんの大きさから見て、恐らく八週目くらいですね」
(やっぱり…………妊娠……していたんだ……)
院長先生の言葉に、改めて妊娠した現実を突きつけられ、瑠衣の胸中は重苦しくてたまらない。
(響野先生との子どもだったら……凄く嬉しいはずなのに……。でも高い確率で、蹂躙された時にできた子なんだよね……)
膣からプローブが引き抜かれ、『エコー検査終了です』という言葉で我に返る。
内診台から降りた後、血液検査等の複数の初期検査、院長と問診して診察が終了し、瑠衣は看護師から一旦待合室で待つように言われ、診察室を後にした。
待合室へ戻ると、侑は立ったまま腕組みしながら神妙な表情で、窓の外を見つめている。
「…………先生、診察終わったよ」
「どうだったんだ?」
「やっぱり…………妊娠してた。八週目くらいだって……」
「…………そうか。とりあえずお前はソファーに座っていろ」
侑の近くのソファーに腰掛け、瑠衣は大きくため息を吐く。
来院した時、多くの夫婦や患者がいたが今では疎らになり、瑠衣の名前もなかなか呼ばれない。
やがて待合室にいた人たちが数人ほどになり、診察時間も終了時間に近付いている。
ついには、侑と瑠衣だけになってしまい、受付の前には『本日の受付は終了しました』とプレートが掛けられ、カーテンがサッと引かれた。
(なかなか呼ばれないけど、忘れられてるのかな……)
そんな事を考えていた矢先。
「九條さん、大変おまたせしてすみません。診察室へお入り下さい。ご主人も一緒にお入り下さい」
看護師から呼ばれて瑠衣は立ち上がり、侑と一緒に診察室へ向かったが、彼は『ご主人』と言われた事で照れたような面差しを見せた。