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公表してどうなるかな😁正輝の待ち伏せが終わるといいな
杏樹チャンも素直になってー(*´艸`*)💕優弥さんの優しさ&強引俺様にキュンキュン😆🩷🩷🩷
優弥様~~💘💘💘 かなり強引で俺様だけど、杏樹ちゃんへの愛が溢れててキュンキュンする~😍💕💕 杏樹ちゃん、もう早く素直に彼への愛を認めちゃって 幸せになって~👩❤️👨💝
翌朝目を覚ました杏樹は自分が優弥の腕の中に包み込まれている事に気付く。
二人とも裸のままピタリと寄り添い、触れ合う素肌には互いの体温が感じられた。
少しでも動くと優弥が起きそうなので杏樹はそのままじっとしている。
間近で見る優弥はやはり超イケメンだった。こうして近くから見つめているとあの日の朝を思い出す。
あの時も今のように優弥の顔を間近に感じていた。
しかし今朝はなんだかもの足りない。その時杏樹はウッディアロマベースの柔らかな香りがないからだと気付く。
杏樹は惹き込まれるようなあの香りに誘われて優弥の腕の中へ飛び込んだのだから。
(男の人は香水を持ち歩いたりしないから当然か……)
思わず杏樹がフフッと笑っていると優弥がぱちりと目を開いた。
「何を笑っているんだ?」
耳元で聞こえる少しかすれたセクシーな低音に杏樹はゾクゾクっとする。やはりイケメンは寝起きも素敵だ。
「えっと…香りがしないなーって思って」
「香り?」
「はい。前の時はウッディの柔らかな香りがしたから」
「ああ……さすがにコロンは持ち歩いていないからね」
「ですよね」
杏樹は恥ずかしそうにはにかむ。
「朝からそんなにかわいい顔をして俺を誘惑するなんて悪い子だな」
「ハッ? ちっ違いますっ、そんなつもりじゃ…..それに時間が……もう起きなくちゃ」
時刻は6時を過ぎていた。
杏樹が楽しみにしている豪華な朝食をゆっくり楽しむにはそろそろ起きた方がいい時間だ。
心配そうな杏樹に向かって優弥は穏やかに言った。
「ここから職場まではすぐだから朝食はゆっくり食べられるよ」
「良かった……凄く楽しみにしてたから……」
「俺は朝飯抜きでギリギリまでここでこうしていたいよ。でも杏樹が朝食の方がいいって言うなら仕方ないな」
優弥が初めて自分を呼び捨てにしたので杏樹はドキッとする。
しかしあえてそれには気付かないふりをして言った。
「お腹ペコペコです」
「しょうがないなぁ、じゃあ起きるか」
優弥は杏樹のおでこにチュッとキスをしてから起き上がった。
「シャワー先に使っていいぞ」
「ありがとうございます」
優弥はベッドに腰かけベッド脇に落ちていたバスローブを羽織るとリモコンを手に取りニュースをつける。
その間に杏樹はバスルームへ向かいシャワーを浴びた。
シャワーを浴びた後は素早く髪を乾かし化粧をする。化粧ポーチには最低限の化粧品しか入っていないのでメイクはいつもよりも薄めだ。
身支度が整うと杏樹はパウダールームを出た。
「お先に」
杏樹が声をかけると優弥が歩いて来て杏樹の顔をじっと見ながら言った。
「薄化粧の方が可愛いよ、これからは薄化粧にしなさい」
「えっ?」
杏樹が驚いていると優弥はバスルームへ行ってしまった。
(私って薄化粧の方が似合うの?)
杏樹はなんだか恥ずかしくなり頬を赤く染めた。
身支度を終えた二人はレストランへ向かった。まだ早い時間なのでレストランは空いている。
朝食はビュッフェ形式で色々な種類のパンや料理がズラリと並んでいる。さすが一流ホテルだ。
料理はどれも彩り豊かで美味しそうな物ばかりだった。
二人は好きな料理を少しずつ皿に取り分けるとテーブルへ行き向かい合って座る。
目の前にいる優弥を見て杏樹はなんだかフワフワした気持ちになる。
(なんで私は今ここに副支店長といるのだろう?)
もちろん理由はわかっている。しかし信じられない気持ちでいた。
(まさか夢じゃないわよね?)
そう思った杏樹は膝の上にある右手で左手をつねってみた。すると鋭い痛みが走る。
やっぱり夢ではなさそうだ。
優弥が食事を始めたので杏樹もクロワッサンをちぎって口に入れる。
その瞬間芳醇なバターの香りが口いっぱいに広がった。
「美味しい……パンが凄く美味しいです」
パン好きの杏樹は満面の笑みになる。
「ここの朝食は女性に人気らしい。だから喜ぶかなと思ったんだ」
「わざわざそれだけの為に?」
「うん。それにフルーツやデザート類も豊富みたいだよ。後で見に行ってごらん」
デザートコーナーがある事は杏樹も気付いていた。しかしそれほど豊富な種類があるとは知らなかったので杏樹は食後が楽しみになる。
「仕事前の平日の朝に美味しい朝食とデザートづくしなんて幸せ過ぎます」
杏樹はパンをモグモグしながら嬉しそうだ。そんな杏樹を優弥は満足気に見つめていた。
食事を終えた杏樹は早速デザートを取りに行った。ミニケーキやマカロン、ムースや新鮮なフルーツを取って来る。
どれも美味しそうだ。
杏樹が幸せそうにデザートを食べている向かいで2杯目のコーヒーを飲んでいた優弥が言った。
「今日の朝礼で俺と君の家が隣同士だという事を皆に言おうと思う」
「えっ?」
杏樹はデザートを食べる手を止めると優弥を見つめた。
「で、念の為に言っておくが今日から俺達は恋人同士だ」
「ハッ?」
杏樹が驚いた瞬間フォークに刺さっていたキウイフルーツがぽろりと皿に落ちる。
「ど、どういう事ですか?」
「言葉通りだ。俺は初めて会った時から君と付き合いたいと思っていた」
「へッ?」
びっくりし過ぎて思わず変な声が出てしまう。
「ど、どうして? あの夜は酔った勢いでああなっただけなのに?」
「俺はバーで会った瞬間から君に惹かれていた。そしてあの夜君を抱いた。少し急ぎ過ぎた感はあるが順序など大した問題ではないと思い君と一夜を過ごした。しかし君を抱いた瞬間からさらに君にハマってしまったんだ。それなのに起きたら君はいなくなっていた。わかるか? あの時の俺の絶望感を」
「いえ……まったく……」
「あの朝帰らないでいてくれたら君は今日みたいに俺と一緒にホテルの朝食をゆっくりと食べていただろう。その後は二人でデートへ行き色々な話をしながら互いの事を少しずつ知っていったはずだ。そして俺は別れ際に君に交際を申し込む予定でいた。それなのに君は何も言わずに消えてしまうんだからなぁ」
「…………」
杏樹は気が動転していた。目の前にいるイケメン…….ではなく今は上司でもある優弥が自分に交際を申し込んでいる事実に驚き過ぎて言葉を失う。おまけに心臓はドクドクと激しく高鳴っている。
しかしそんな杏樹にはお構いなしに優弥は続けた。
「だが今俺達の関係は上司と部下だ。それに俺はこれから杏樹とのオフィスラブを楽しみたい気持ちもある。しかし二人の関係を公にしてしまうとどちらかが即転勤になってしまうだろう。それだけは避けたい。だからしばらくは秘密にしておこうと思う。ただこれからは一緒に通勤する事も増えるだろうから誰かに見られた時の為にあえて家が隣同士だという事を公表しておきたいんだ。そうすれば朝一緒にいても不自然には思われないだろう?」
杏樹はやっと意味がわかった。
何も言わないでおくと余計な噂を立てられたり色々と詮索されてしまうので、あえて二人が隣同士だという事を公表してしまおうというのだ。
家が隣なら朝二人で通勤していてもなんとも思われないだろう。それは杏樹にとっても願ってもない事だった。
「わかりました」
「それに俺が隣に住んでいるとわかれば森田も昨日みたいなストーカーまがいの事は出来なくなるだろうからね」
(え? もしかしてその為に?)
その時杏樹は優弥の優しさに気付いた。
優弥はあえて公表する事により正輝が杏樹に近づけないよう対策を取ろうとしているのだ。
杏樹は優弥のさりげない気遣いに感動する。
一通り話を終えた優弥は満足そうにコーヒーを飲んだ。
そこで杏樹はハッとした。
「ちょっ、ちょっと待って下さい……で、私達の事についてですが……」
優弥は片眉を上げながら不思議そうに杏樹を見つめた。
「ん? なんだ?」
「私、副支店長とお付き合いするとは言っていません」
それを聞いた優弥は「ああなんだそんな事か」という顔をした。
「返事なんていらないよ。俺が付き合うと言ったら付き合うんだ。君に拒否権はない」
「ハァッ?」
杏樹の驚いた顔を見た優弥はククッと笑いながら顔を近づけて囁く。
「少なくとも君の身体はOKの返事を出してくれたぞ?」
優弥は再びククッと笑う。そんな優弥を杏樹は真っ赤な顔をしたままジロリと睨む。
「違いますっ、そんな事ないですっ」
「いいや、ある意味身体ってのは心よりも正直だからな―」
「そんな事ないですっ、絶対に違いますっ」
杏樹が必死に否定しても優弥はただ楽しそうに笑うだけだった。
杏樹はムキになって否定しつつもこんな風に思う。
(たしかにとろけるような夜だったけれど…でもそれとこれとは違うわ)
杏樹が再び言い返そうとした時優弥が腕時計を指差して言った。
「ほらほら、デザートを食べないと仕事に遅れちゃうぞ」
そこで杏樹は再びハッとする。
皿に取ってきた山盛りのデザートはなんとしても完食したかったので慌てて食べ始めた。
先ほどまでの怒りはどこへやら嬉しそうにデザートを頬張る杏樹の事を優弥は穏やかな表情で見つめていた。