テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
6件

早く続きみたいたいたいたい!はやくはやちゃんたちと合ってくれー!!!!
やーばいとしか言えない!!勝手に先の展開予想しちゃうくらい好きなお話すぎです😖💛 毎日ありがとうございます😭大変じゃないですか!?
第七章 交わる運命
第三話 満月前夜①
帝都城下町。
通りの喧騒が遠くに聞こえる。
宿屋の一室には、重苦しい空気が満ちていた。
ーーゴーン、ゴーン……
教会の鐘の音が響く。
その瞬間
「っ……!」
ジントの身体が大きく震えた。
ベッドへ座っていた身体が、苦しそうに前へ折れる。
「ジント!?」
ダイチが慌てて駆け寄った。
呼吸が浅い。
白い肌は青ざめ、額には汗が滲んでいる。
黒髪が乱れ、長い睫毛が苦しげに震えていた。
「……は、ぁ……っ」
胸の奥が熱い。
それなのに、同時に凍えるほど冷たい。
頭の奥で何かがざわめいている。
――来い。
声、無数の声。
苦しい。
怖い。
憎い。
助けて。
それは、誰かの叫びだった。
魔物になる前の、瘴気の奥に残った感情の欠片。
「……や、め……」
ジントは震える手で、頭を押さえる。
止まらない。
満月が近づくほど、月に引かれるように、闇の気配が濃くなる。
街中に漂う瘴気。
人々の不安。
恐怖。
苛立ち。
絶望。
それらが、少しずつジントへ流れ込んでくる。
「ジント!」
ダイチが肩を支える。
「しっかりせぇ!」
けれどジントは苦しそうに目を閉じた。
誰かの感情を受け止めきれず、自分が壊れそうな感覚だった。
「……苦しい」
ぽつりと零れる。
「いっぱい……聞こえる」
ダイチの表情が変わる。
「……何が」
「……助けてって」
小さな声。
「ずっと……呼んでる」
その瞬間だった。
ザワッ――
窓ガラスへ黒い影が走る。
「……っ!」
ダイチが顔を上げた。
窓の外。
夜の空気に、黒い瘴気が漂っている。
まるで引き寄せられるように、この部屋へ集まってきていた。
ジントの呼吸がさらに乱れる。
「……っ、ぁ……」
細い指先が、無意識にダイチの服を掴んだ。
怖い。
このまま受け止め続けたら、自分の外にまで溢れてしまいそうだった。
「大丈夫や」
ダイチは迷わず言った。
昔からそうだった。
ジントが一人で耐えようとすると、
その隣に立った。
「オレがおる」
強い言葉。
その声は優しかった。
ダイチの温もり。
規則正しい鼓動。
その存在だけが、今のジントをここへ繋ぎ止めていた。
それでも、瘴気は止まらない。
部屋の空気がどんどん重くなる。
ランプの火が揺れる。
壁の影が、不自然に伸びた。
「……っ」
ジントの黒い瞳が揺れる。
その奥で、月蝕の子の力が、静かに目を覚ましていた。
ぞくり、と。
#M!LK
はる☻
11,143
#ご本人様には関係ありません
sora
36
莉心
60
#山中柔太郎
Yuna
22,791
ダイチの背筋を悪寒が走る。
今までとは違う。
これは危険だ、そう感じた。
その時だった。
――コン、コン。
静かな音。
部屋の扉が叩かれる。
ダイチの表情が変わる。
ジントもびくりと肩を震わせた。
嫌な気配。
肌が粟立つ。
「……誰や」
ダイチが低く問う。
返事はない。
代わりに。
「――開けなさい」
低い男の声が響いた。
「太陽教会の者です」
空気が凍る。
ジントの顔から、一気に血の気が引いた。
「……っ」
握った指に力が入る。
ダイチは咄嗟にジントの前へ立った。
扉の向こうから、再び声が響く。
「異常な瘴気反応を確認しています」
静かな声。
けれど、有無を言わせない圧力があった。
「調査のため、開けなさい」
部屋の空気が張り詰める。
その瞬間。
――ドン!!
扉が激しく揺れた。
ジントがびくりと震える。
ダイチは完全に身構えた。
青白い雷が、拳の周囲で弾け始める。
部屋の中で蠢き出す影。
外からは、複数の気配。
そしてその向こう側で、黒い瘴気がさらに濃くなっていく感覚。
激しい鼓動、浅くなる呼吸。
これまでに感じたことのない恐怖を、二人はただ、待ち構えることしかできなかった。