そしていよいよパーティーの日が来た。
パーティーは午後6時からなので健吾が迎えに来る時間に合わせて理紗子は準備を始める。
まずはシャワーを浴びた。シャンプーとコンディショナーは健吾からプレゼントされた物を使う。使った途端バスルームに上品なローズの香りが充満した。
シャワーを終えると同じシリーズのボディクリームをたっぷりと使う。今日は特別な日なので惜しげもなくたっぷりと肌に刷り込む。
お陰で理紗子の髪や身体からは優しいローズの香りがムンムンと漂っていた。
全身の手入れが終わった所で先日健吾に買ってもらったワンピースに着替えた。
鏡を見るとその服は理紗子の身体に良く似合っていた。
こんなエレガントなワンピースを身に纏うと女としての自信のようなものが溢れてくるから不思議だ。
それはシンデレラが魔法で素敵なドレス姿に変身した時のようなものかもしれない。
ストッキングは先日デパートで少し高めのブランド物を買っていた。履いてみると光沢がありとても美しい。
総レースのワンピースの裾からチラリと見える太腿がなんともセクシーだ。
理紗子は次にメイクに取り掛かった。
今日のパーティーには石垣島にいたあの麗奈という女も来るかもしれないと健吾が言っていた。
その事を思い出した理紗子は気合を入れてメイクを始めた。
実は雑誌を見てパーティーメイクを勉強していた。健吾のお好みは『上品なセクシーさ』なのでその希望に合うようなメイクを密かに研究していた。
上品でナチュラルな美しさの合間にチラリと魅せる妖艶さ、そして男が放っておけなくなるような美しさ。
それが今回の理紗子のテーマだ。
今回のメイクで力を入れたい場所は何と言っても目と唇だ。印象的な目力のある瞳、そして艶のあるふっくらとした唇。
この二つをポイントに顔を作っていく。
まずは思わず触れたくなるようなしっとりした肌を作り上げ優しいラインの眉を書き込む。
目はくっきりかつほんのりと色気が出るように丁寧にアイライン入れアイシャドウで立体感を出した後マスカラをたっぷりと塗る。そうすれば完成だ。
そして次は唇にいく。元々ふっくらとしている理紗子の唇にあえて色味を抑えたピンクベージュのルージュを塗る。
その上に健吾からプレゼントされたローズのリップグロスをたっぷりと塗るだけで思わずキスしたくなるような唇の完成だ。
ベージュ系の口紅は焼けた肌にとても映えていた。
メイクを終えて鏡を見た理沙子は、
「うん、いい感じ!」
と呟く。
そして最後にヘアスタイルを整える。
健吾は髪を下ろして欲しいと言っていたので言われた通り髪は肩に垂らす事にした。
でもそれだけではつまらないので毛先だけヘアアイロンで巻いてみる。
このヘアスタイルはエレガントに魅せたい時に理紗子がよくやるスタイルだ。
手慣れた様子で毛先をクルクル巻くとウェーブした髪が歩く度に揺れる女らしいヘアスタイルに仕上がった。
これで全ての準備は整った。あとは仕上げにジェルフレグランスを手首と耳元につけ、健吾に買ってもらった黒蝶真珠のジュエリーを身に着ける。
パーティー用に買ってもらったバッグに中身を移し替え、夜風が寒い時の為にリネンのストールを持って行こうとクローゼットへ取りに行った。
用意が整ったところでスマホが鳴った。健吾が今マンションの前に着いたようだ。
「もしもし、うんわかった、今降りるね」
理紗子は電話を切るとバッグとストールを手にしてマンションの下へ降りて行った。