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「ダハハハハハッ!! あのカッコつけの圭がっ………ベンチで爆睡だってよっ…………アッハハハハハ! 飲み過ぎたのかアイツ! アホだなっ………グフフフッ…………ヤベェ……腹痛ぇ…………ブハハハハッ……」
美花と圭の出会ったきっかけを聞いた弟の怜が、腹を抱えながら、表情をグシャグシャにさせている。
「げっ…………お兄さん、そんな泥酔してたの!? サイアク過ぎるんだけどっ! ……酒の飲み方を知らない学生かっつうの!」
ほぼ顔面崩壊の怜に対して、奏は訝しげに言い捨てる。
この二人は、おにーさんが泥酔していた理由を、何となく分かっているみたいだったけど、口には出さないらしい。
「でっ……でも、あの時、凍死しちゃうんじゃないかって、本気で思ったんだよ!? だから私、おにーさんを起こしたらさぁ……」
「挙句の果てに『馴れ馴れしく声を掛けるな。鬱陶しい』って、美花ちゃん言われたんだろ? ったく、圭はマジで失礼なヤツだな。命の恩人とも言える美花ちゃんに、そんな態度を取るなんて。奏じゃないが『サイアク』だな。アニキに代わり、俺が謝罪します。美花ちゃん、気を悪くさせてしまってゴメンね」
「いっ……いえ…………そんな……」
怜に頭を下げられた美花が、慌てて両手を振りながら、首を横に数度振る。
「なぁ美花ちゃん。圭が美花ちゃんに失礼な事を言った時、こんな顔をしてなかった?」
言いながら、怜が眉根を寄せて皺を刻み込ませ、眼光鋭い表情を見せる。
どうやら、おにーさんの顔真似をしているらしい。
「多分…………そんな感じだったような気がする……」
「ブハハハハッ! 圭のヤツ、バツが悪くなってもカッコつけてたんだなっ! ヤベェ…………おかし過ぎるっ…………アハハハハハッ……」
「ちょっと怜さん…………お兄さんの事、いじり過ぎでしょ……」
笑いが止まらない怜を尻目に、呆れたようにボソッと突っ込む奏。
そんなカップルに、美花は、乾いた笑いを見せるしかない。
大爆笑しまくりだった怜が、ようやく落ち着きを取り戻したところで、奏が紅茶を淹れ直してくれた。
「まぁ俺と圭は双子だし、ガキの頃からよく比較されてきたし、性格も正反対。それに、圭は人一倍、承認欲求っていうの? それも強い。けど多分、心は孤独だったんだと思う。アイツに必要なのは、どんな形であれ、圭を支えて癒してくれる人なんじゃないかな。……美花ちゃんなら、きっとアイツの疲弊した心を、癒してくれるんじゃないかと思うなぁ俺は……」
「やだ、ちょっと怜さん…………いい事言うじゃん」
真剣に、けれど穏やかに話す怜に、親友が、またもツッコミを入れる。
「だろ? アニキ思いの、心優しい弟って感じだろ?」
「…………調子に乗り過ぎだしっ」
いたずらっ子のような表情を映し出す怜に、奏は、やれやれ、と言わんばかりに大きなため息を吐き出す。
親友カップルの仲睦まじい様子を見ながら、楽しい時間を過ごした美花だった。