コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「落ち着いた?」
一体いつまで泣いていたんだろう…。
僕が落ち着きを取り戻した時、彼女が自身の持っていたハンカチで僕の涙を拭った。
「メイクがぐちゃぐちゃね…ほら、アイライナーもこんなになって…」
何て優しく僕を触ってくれるんだろう。
「ねぇ、どうやってここに来たの?」
僕はそう聞いた。
先程ゴスフェに言われたことを思い出した。
『邪神がどうにかしない限り、他のサバイバーは来ない』。
首を絞められてすっかり忘れてしまっていた。
「エンティティが連れてきてくれた。」
「えっ!?」
「まぁ、私は彼のエンターテイメントを盛り上げる役に過ぎないって言ってたわ。でもジウンが助けを求めてるって言われて居ても立ってもいられなくて」
僕は再び彼女を抱き締めた。
今は邪神に感謝だ。
「ありがとう…」
「もう、泣かないでよ。仲間なんだから当然でしょ?」
「僕…僕っ…!」
「はいはい、話は後で。ひとまずここから離れるわよ。ゲートはもう開けてあるから。」
「うん…」
彼女に手を繋がれ、されるがままにゲートまで行く。
再び焚き火の場所まで戻ってきた。
この光景が僕をさらに癒す。
戻って来れたんだと。
しかし、僕の下着にこぼれ落ちる液体で、僕はゴスフェとそういうことをしたんだという現実を押し付けられた。
「とりあえず座って?飲み物でも作ってくるから。」
彼女が森の奥…恐らく小屋に行こうとしているのであろう。
僕は反射的に呼び止めた。
「待って!!」
「っ!」
彼女は驚いて僕に振り向く。
「今は…一人になりたくない…ダメ…かな?」
君の着ている服の裾を掴みそう聞く。
「…そうね、いいわよ。ごめんなさいね?」
なぜ謝るのか一瞬疑問に思ったが、きっと僕の気持ちを考えれずにごめんなさいという意味だと思う。
僕の勝手な判断だけど…。
「いいよ。」
丸太に一緒に腰掛け、君の膝に僕の頭を置く。
そうすると、何も言わずに彼女は僕の頭を優しく撫でた。
ゴスフェに髪をかき揚げられるより、ずっと優しく…。
僕は自然とゴスフェとどんなことがあったのか話し始めた。
「僕…ゴスフェに犯されたんだ…」
「うん…」
「君の名前を呼んだら、首を絞められて…死ぬかと思った………いや、死んだほうが良かったのかな?」
「は?」
撫でる手が止められ、確実に怒っているであろうその一言に体が強張るが、僕は理由を話した。
「だ、だって…僕が死んだらキラーに戻るんだよ?君にとっても…重荷が無くなるし…元々僕の立場はキラーなんだし…」
徐々に声が小さくなってしまう。
「…ジウンは」
「え?」
「ジウンは、今の段階でキラーに戻りたかった?」
多分、彼女が一番聞きたかったであろう質問を僕に聞いた。
そんなの…
「戻りたくなかった…」
そう…本当はこんな段階でキラーに戻りたくなかった。
だって、レイプした奴がいる場所に自分から戻るんだよ?
そんなの嫌に決まってる…。
「…僕、正直ゴスフェが怖い。キラーに戻りたい気持ちがあるのは本当だけど、彼がいるとなれば話は別なんだ…」
「そっか…」
「ゴスフェ…君のこと相当嫌ってる。多分、いつか儀式で殺すかもよ?」
「そんなのどうだっていい。それに、相手は儀式でしか私を殺せないんでしょ?」
「まぁ…そうだけど…。それが掟だし。大丈夫?殺されるんだよ?」
「ジウンがキラーに戻るまで、私は全力であなたを守るから。」
嗚呼…なんて優しいんだ…また泣いちゃうよ…。
彼女は本当に女神だな…。
こんなに人たらしなのはきっと、君くらいだ。
「だからさ、ジウン。もっと私を頼ってよ。」
「うん…うん…約束する…ありがとうっ…」
彼女の腰に手を回し、また泣いてしまった。
今だけは彼女に離れたくなかった。