テラーノベル
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一同は坪野の元へ駆け寄る。
「待って!」
信愛は必死に思いとどまるように声をかける。
「こんなの間違ってる!」
浦添の叫びにも、坪野は眉ひとつ動かさなかった。
「君らのような子供に一体何が分かるんです?」
静かな声だった。しかし、その一言には、50年以上積み重ねられた執念が滲んでいた。
「君らの歩んできた人生の3倍以上、私は復讐の
事だけを考えて今日この日まで生きて来たんです!」
誰へ語るでもなく、自らに言い聞かせるように続ける。
「もう後戻りはできないんですよ」
馬場が一歩踏み出した。
「修理固成なんてしたら、あんただって無事じゃ──」
だが坪野は静かに首を振る。
「そんな事は百も承知です」
その瞳には、一片の迷いも映っていなかった。
「私は復讐の為なら命だって惜しく無い!」
力強く言い切ると、胸に手を当てる。
「修理固成を実現させる為に、私財を
投げ打ち、新開村も再現しました!」
その声は震えていた。
「村民の無念が眠るこの地こそ
修理固成に相応しいと信じて」
そう告げると、坪野は縄で縛られた銚子を地面へ静かに横たえた。
そして、ゆっくりと両手を天へ掲げる。
「高天原の神々よ!」
夜空へ向けた声が山々へ響き渡る。
「そして伊邪那美命!」
続けて叫ぶ。
「伊邪那岐命よ!」
風が強まった。
「この世界は失敗した!」
その叫びは怒りであり、悲しみでもあった。
「人は産まれながらに平等ではない
救われる命と切り捨てられる命がある」
拳を震わせながら叫び続ける。
「あなた達が望んだ世界はこんな世界ではない筈だ!
胎内回帰の願望に満ちた人間が救いを求めている!」
一瞬、息を整える。
「これは祈りではない!」
さらに強く言い放つ。
「これは嘆願でもない!」
そして両目を見開いた。
「これは意思だ!」
雷鳴が遠くで唸る。
「ナワバリ様を器とし、世界を一度失敗作
として葬り去り、正しき形へと創り固め直せ!」
天へ向けた腕をさらに高く伸ばす。
「天沼矛を用いて──」
そして、最後の一言を叩きつけた。
「修理固成を!」
その瞬間だった。
新開村の上空を覆っていた空が、まるで墨汁を流したように急速な勢いで暗黒へ染まっていく。
「こ、これは!?」
龍河が思わず息を呑む。
坪野はその異変を見上げると、大きく笑い始めた。
「わはははは!」
歓喜に満ちた笑い声が夜空へ響く。
「ついに!ついに!この日がやって来た!」
涙を流しながら叫ぶ。
「我々の悲願はイザナギとイザナミに届いた!」
空は渦を巻き、稲妻が雲間を裂いた。
「修理固成の時だ!わはははは!」
坪野は両手を天へ掲げたまま、涙を流しながら高笑いを続ける。
その姿は狂信者そのものだった。
「まぢで?まぢで?まぢで?」
茜が青ざめた顔で空を見上げる。
「これって、どうなっちゃうの!?」
信愛は言葉を失い、小さく呟く。
「うそ・・・」
焔垂も唇を噛み締めた。
「まじかよ・・・」
朝陽は拳を強く握る。
「と、止められなかった」
さくらは震える声で首を横に振った。
「やだよこんなの・・・」
しかし坪野だけは恍惚とした表情で暗黒の空を見つめ続ける。
「この世界は正しい姿に生まれ変わるんです!」
そして両腕を広げ、歓喜に震える声で宣言した。
「まさに新世界の幕開け!」
龍河は歯を食いしばり、悔しさを押し殺すように呟く。
「なんて事だ・・クソ」
#ボカロ
ありあ
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ありあ
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コメント
1件
×××さん、第297話読みました……! 坪野の執念が凄まじすぎて鳥肌立ちましたよ。50年復讐だけを考えて生きてきたって台詞が重すぎる。「修理固成」をついに叫び切った瞬間の高笑いと暗黒の空、映像が目に浮かぶようでした。茜の「まぢで?」連呼に信愛の「うそ」、焔垂の「まじかよ」——それぞれの反応がキャラ立ちしてて、一瞬でシーンの空気を引き締めてました。新世界の幕開けって宣言で終わったけど、これどう転ぶんだろう……次回めちゃくちゃ気になります!🔥