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   3

 家に帰った僕は、お母さんに見つからないよう、すぐにお父さんのプラモデルを棚に戻した。

 たぶんこんな格好をしていたと思う。

 それからすぐに弟――コウキを呼んで、もう絶対にあの棚の近くで遊ばないようにしようと約束した。

 コウキはまだ保育園だからよく解らないみたいな顔をしていたけれど、僕があの棚の近くで遊ばなければ、たぶん大丈夫だと思う。

 そのあと、晩御飯の準備をしているお母さんのところまで行って、その様子をうかがった。

 お母さんはいつものように鼻歌を歌いながらお料理していて、僕がそのプラモデルをアリスさんの家に持って行ったり、それを元に戻したりしていたことには気づいていないみたいだった。

「ん? あら勇気。どうかしたの?」

 お母さんがいつものように笑顔で聞いてくる。

「ううん。なんでもないよ。今日の晩御飯は?」

「今日はねぇ、カレーにしようかなって」

「やった!」

「それまで、ちゃんとコウちゃんの面倒見ててね」

「うん、任せて!」

 僕は大きな声で返事して、またコウキのところに戻っていった。

 それからしばらくコウキと人形で戦いごっこをしていると、

「ただいまぁ」

 お父さんが帰ってきて、僕は思わずどきりとした。

 コウキに「しーっ!」と静かにしているように言ってから、お父さんがあのプラモデルを飾っていた棚の前を通ってくるのをじっと待った。

 お父さんは持っていた鞄を玄関の隅に立てかけると廊下を抜けて、あの棚の前を通過して、

「あれ?」

 何かに気づいて、棚の前で足を止めた。

 僕は思わず目を見張って、その様子をじっと見ていた。

 それからお父さんはプラモデルを手に取ると、その手足を少しだけ動かして、

「――よし!」

 満足そうに頷くと、何事もなかったみたいに、僕たちのいる居間の方へやってくる。

 お父さんはネクタイを外しながら、僕とコウキの方に顔を向けて、

「ただいま……って、なんだ? そんなに父さんの顔をじろじろ見て。どうかしたのか?」

 僕はお父さんが何も気づかなかったことに安心した。

 良かった。もう、これで大丈夫。

「ううん、なんでもないよ!」

「ないない!」

 コウキと一緒に、ぶんぶん首を振ったのだった。

白い魔女と小さな魔女

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