その後二人は東京へ戻った。
ホテルから空港へ向かう途中、健吾は理紗子の為に琉球ガラスの店へ寄ってくれた。
そこで理紗子は洋子と貴史への土産に石垣島在住の琉球ガラス作家が作ったペアのロックグラスを購入した。
洋子と貴史はお酒が好きなので晩酌の時に使えるだろう。
理紗子が洋子への土産を選んでいる間、健吾も理紗子に琉球グラスを買ってくれていた。
それは健吾と揃いの色違いで先日作ったミンサー織のコースターの上にちょうど良い大きさだった。
健吾はブルー理紗子はピンク色のとても素敵なグラスだったので理紗子は嬉しそうに健吾に礼を言った。
その後二人は飛行機に乗り午後4時に羽田空港へ着いた。健吾はタクシーで理紗子のマンションの前まで送ってくれた。
理紗子は家に着いてからすぐに旅行の荷物を片付けた。そして夜は家にあるもので簡単な夕食を作った。
家事や旅の片付けが全て終わったのは夜の9時だった。
理紗子がシャワーを浴びてホッと一息ついた時洋子からメッセージが届いた。
【石垣島の旅どうだった? 明日都合が良ければ飲みに行かない?】
理紗子も洋子に土産を渡したいと思っていたのでその誘いを受け入れる。
【楽しかったよー! 明日飲み了解。店はどうする?】
【今度はイタリアンにしようか? そっちに6時で】
【わかった。じゃあ明日ね】
理紗子はメッセージの画面を閉じると喉が渇いたので冷蔵庫の前まで行った。
そして健吾が買ってくれた琉球ガラスのグラスに氷を入れてミネラルウォーターを注ぐ。
理紗子はグラスを持ち上げて部屋の照明へかざしてみる。するとピンク色の美しいガラスを通り抜けた柔らかな光が綺麗だ。
思わずニッコリ微笑むと理紗子はグラスを手にしてソファーへ座った。
そして水を飲みながらスマホを手に取り石垣島で撮影した写真を一枚一枚見る。
写真には釣り船の上での写真、灯台巡りの写真、バーで撮影した写真やホテル内で撮った写真などその枚数は結構な数にのぼる。
どの場面もまだ鮮明に記憶の中に残っていた。
(楽しかったなぁ)
写真を見返すと改めて今回の旅がとても楽しくて充実したものであった事を認識する。
それも全て健吾のお陰だ。理紗子は健吾に心から感謝していた。
スマホをテーブルに置くと、理紗子は今度仕事机の上に置いてあった黒蝶真珠のジュエリーを手にして戻って来る。
汗をかいた肌に直接身に着けていたので真珠を手入れをした方がいいだろうと思い軽くティッシュで汚れを拭き取る。
(え? 真珠のお手入れってどうやったらいいのかな?)
理紗子はすぐにスマホで真珠の手入れの仕方を検索した。
すると真珠専用のクロスが販売されている事を知り早速それを購入する。
真珠は専用のクロスで磨くと汗でくすんでしまった照りが復活するらしい。
それから理紗子はペンダントを手に取るとそれを優しく指でなぞった。こんな高価なジュエリーを男性に買ってもらったのは初めてだ。
弘人と付き合っていた時だって、高くても2~3万円のものしか貰った事がない。
(大事にしよう)
理紗子はそう思いながら再び真珠を撫でた。
一方、健吾は帰宅するとたまっていた仕事をすぐに始める。
すぐに対応しないといけない案件がいくつかメールで来ていたのですぐに取り掛かる。
その中の一つに今度新規オープンするアウトドアショップの件で一緒に会社を立ち上げた大学時代の先輩からメールが来ていた。出店予定地の件で不動産会社まで出向かなくてはならないらしい。
明日か明後日、どちらか都合がつくかと連絡が来ていたので明日なら大丈夫ですと連絡を入れてとりあえず今日までの仕事は全て終えた。
気づくと時刻は夜11時を回っていた。
相場の方は今日の明け方利益を出していたのでしばらく休もうと思っていた。
重要指標が終わったのでしばらく大きな動きもないだろう。
健吾は久しぶりに酒でも飲みたい気分だったので、理紗子とお揃いで買った琉球グラスのカップを一度洗いその中に氷を入れてウイスキーを少し注いだ。
夕食は家にあったインスタント麺で簡単に済ませていた。
軽くつまみでもと思いミックスナッツの入った袋を開けリビングテーブルに置いた。
そしてその横にウイスキーの入ったグラスを置こうとしてからふと何かを思い出したようにキッチンカウンターへ向かった。
カウンターに置いてあったミンサー織のコースターを持って来るとその上に琉球グラスを置いた。このコースターは理紗子がつくったものだ。
コースターにぴったりと収まったグラスを見て健吾は満足そうに微笑む。
それからゆっくりとウイスキーを飲み始めた。
窓の外を眺めると星が全く見えない夜だった。東京の今の時期の夜は曇り空が多い。
昨夜見た満天の星がもう恋しくなっている。
それにしても島にいる間はとても楽しい毎日だった。健吾は久しぶりに休暇らしい休暇を楽しめたような気がする。
旅の事を思い返すと石垣島の美しい風景と共に理紗子の笑顔が頭をよぎる。
今までは女と旅行に行くと大抵1度や2度は喧嘩になるのが当たり前だったが彼女とは一度も喧嘩をしなかった。
とにかく全てが楽しかった。
思い切って行って良かった。
またいつか彼女と旅をしよう。
そう思いながら健吾は再びグラスのウイスキーを口に含んだ。
コメント
3件
東京に帰ってきても、旅の思い出と共に お互いの顔を思い浮かべる二人🥰💖 もう二人とも...🤭💕これは完全に相思相愛だね~💝✨ 早く お互いの想いを伝え合えますように🙏🍀 そして、またぜひぜひ 二人だけの素敵な旅を✈️🏝️🌊
健吾からのプレゼント黒真珠を大事にしようと撫でる理沙子ちゃん。 手作りしあったコースターとお揃いの琉球グラスにウィスキーを注ぐ健吾。 想いは同じ…(*´˘`).。oO(( )。.:*♡
健吾‼️何度でも理沙ちゃんと旅行して下さい✈️ 今まで付き合った女と比較してわかったんでしょ?理沙ちゃんとどんだけ波長が合うんだか❣️ 理沙ちゃんも今は偽装だけど思い出に浸ってないで健吾とのいい思い出をこれから先もたくさん作るように努力していこうよ❣️❣️ 運命の相手なんてそうそう出会わないんだから、お互いこの出会いをしっかりモノにしてね😊🎉👨❤️💋👨👍