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「行ってきます」
小さくそう呟く。
当たり前だが返事は返ってこない。
ガチャリという音と共に玄関のドアを開けると
目に映ったのは、
鳥居の向こう側から出てくる3人の幼馴染の姿だった。
「え?」
そう私が呟く音だけが響く。
よく見ると周りは真っ白な空間で、
この4つの真っ赤な鳥居しかない。
みんな私と同じように鳥居の奥の景色は
みんなの家の中と思われるような景色だった。
私の鳥居には『南』と描かれている。
海夏人は『北』
菜々は『西』
陸は『東』
とそれぞれ書いてあった。
その瞬間、バタンと急に扉が閉まり、
私たちは白い空間に押し込まれた。
「なんなんのよここ!!」
「分からない…」
「まるで漫画の世界みたいだな..」
その時、
チャポンという音と共に鳥居は私たちの目の前から消え去った。
それと同時に私たち4人の足元には
赤色の雫が落ちて、水冠が出来ていた。
「赤い..」
「もしかして血!?」
血のような赤い雫。
だけど、なんだか血では無い気がした。
その瞬間、
またチャポンという音と共に足元で緑色の雫が落ちた。
途端、辺り一面が緑に包まれ、
草原に変わった。
「は..?」
そんな海夏人の呟く声が聞こえた瞬間、
ザザザっと何かが草むらの中で動いている音が聞こえた。
「何の音?」
「近くには何も見えないが…」
「もしかして、『見えない何か』がいるってこと?」
「そんな漫画みたいなこと有り得るわけねぇだろ!」
いつも通り学校に来ようとしただけなのに、
こんな場所に連れてこられて、
しかも『何か』がいるってなったら
誰もが騒ぎ始めるのは当たり前だ。