先程から随分と落ち着かない。
私ではなく、総一朗が。
信号待ちの合間、車内にはウィンカーの音が、コチ、コチ、と耳馴染みよく響く。
それに合わせて、助手席に座る彼が人差し指を腿に打つ。
「……ちょっと、気が散るんだけど」
「……あ、悪い」
無意識だったらしい。
彼はすぐに非を認めて、手を止める。
そのタイミングで、ようやく信号が変わった。
先頭車両として左折し、すぐにハンドルを持ち直す。
開けた道を正面から見据えて、目の前に広がる景色に、ため息が出るような懐かしさを覚えた。
最低でも年に一度は帰省しているとはいえ、やはりこの辺りにまで来ると『地元に帰って来た』という気持ちになる。
「あ」
右斜め前に現れた中華料理屋を、さっと指差す。
「朱色の看板あるでしょ? 中華料理屋さんなんだけど、チャーハンがめちゃくちゃ|美味********************
***********
*************
****************
**************************
**************************
****************
***********************
コメント
1件