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時計の針がうるさかった。一人になるとどうもやる気が出ない。ソファで横になってみても、テレビをつけても、携帯を開いても、窓を開けても、冷蔵庫を開けても、何も、何も感じない。
「ロロ、何してるかなあ」
ロロが居ないと家が静かで、退屈だ。する事がないと、このまま無にかえりそうだ。
外の明かりが暗くなり、赤みがかってきた。
ご飯も食べる気になれず結局作らなかった。
とりあえずお風呂掃除をして、またソファとお友達になる。
『先生!!待って!いやだ!!いやっ!!!先生ー!!うあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ーーー!!!』
『ロロっ!だめだって!!やめて!もうっもう、、、!!』
燃える体。揺れる視界。何をすれば救われるのだろう。何をすれば、助けられるのだろう。
体に刻まれた後悔と縛りをどうやって解いてあげられるのだろうか。
なぜ、俺は今生きてるんだ。
なぜ、先に俺を助けたんだ。
なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜ
「ルツ?」
呼吸を始めて知ったかのように息を吸った。
「大丈夫?うなされてた、、、」
まだ落ち着かない息を無理に止めた。
「うんっ、だい、じょーぶ。」
心配そうな顔が近づいて抱きしめられた。
「、、、ごめんね。」
なぜ、謝られたのか、分からない。
ロロは、何も悪くない。何も悪い事はしていないのに、、、
「なんで、ロロが、謝るの?」
「俺がひとりにさせちゃったから。」
本当に、何で、こんなに優しいんだろう。
蓮の花は、仏様が沼の上を歩く時泥で足が汚れないように自らを踏み台にしたって言う話がある。この話を聞いた時、蓮の花がなぜ綺麗なのかわかった気がする。
花が綺麗だと、ずっと思っていた。でも、もしその場所にあるからこそ、綺麗なのだとしたら、俺は泥になりたい。
ロロに、幸せになってほしい。俺なんか捨てて温めてくれる誰かと一緒に、笑顔で、二度と泣いたりしないように生きてほしい。
そう思っているのに、俺は一人になりたくない。最低だと、矛盾していると分かっている。
ロロの手や体はいつものように冷たかった。
「ロロは、何で自分のせいだと思うの?もしかしたら俺は絶対的に悪夢を見るかもしれないのに。」
間髪入れずにロロは言った。
「絶対なんてこの世に存在しない。」
ロロの言葉に驚いた。いつも以上に真剣な声で、正直怖かった。
「俺が、ルツをひとりにしたから、うなされたんだよ。だって、そうでもしないとルツが救われないもん。」
ギュッとロロが抱き締める力を強めた。
ロロには、嫌な言葉がある。
『あったかい』ロロはこれをよく『熱い』と言う。あまり使いたくないらしい。
理由は大体分かってる。
「ご飯食べる?食べてないんでしょ?」
見透かされているようだ。ロロには敵わないな。
「うん。食べてない。ロロは?」
「実は、まだ。」
くせっ毛の黒い髪を束ねているゴムを取りながらロロが子供っぽく笑った。