お腹が空いた。
足が痛い。
寒い。
どうして俺たちはどこに行っても酷い目に遭わないといけないんだ。俺は仕方ない、でも、ーーーは違う。何も、悪くない。
産まれたことがいけないことだったのか?
そう思うと、アイツらが悪者で、俺達は被害者ってことにならないだろうか?
「ーーー。」
「なに?」
「何で俺についてきたの。あそこに残っていたら、幸せに暮らせてたんだよ。」
純粋な疑問だった。別に嫌味でも、文句でもない。事実だと思った。少なくとも俺はそうだった。
「は?」
ーーーからこんなに怖い声を聞いたことがなかった。とっさに謝ろうとしたが、声を出す前に視界が揺れた。
思いっきり打たれたんだ。
「何でそんなこと言うの!!??私は、私は別にーーーの為についてきた訳じゃないわ!!!
思い上がらないでよ!!このっっ」
そこでーーーの声が止まった。恐る恐る顔を見てぎょっとした。大きな黄色い瞳から涙がポロポロと出てきた。
「、、、ばか。」
先ほどの声の十分の一程の大きさだった。
「あ、う、、、ご、めん。」
声が上手く出なかった。ただでさえ罪悪感と不安に押し潰されそうなのに、たった一つのよりどころを、今、自分でとどめを刺してしまおうとしている事に気づいた。
手が震えた。
何も言わずにーーーを抱きしめた。ーーーは、まだ泣いていたがしっかりと俺を抱き返した。
何日経ったのだろう。もう、休みたい。ここで死んでしまおう。それでも、そういった思考を現実にしないのは、ーーーに幸せになって欲しい。そのために少しでも遠くに、遠くに行こうと思った。
これまでの日々を忘れられるように。
2人で手を握って歩いた。
もう限界だった。
前がよく見えない。
足がふらつく。
もう、何も話さなくなってしまった。
「君達、大丈夫?どうしたの?」
声がした。
とっさにーーーを庇うようにして下がり、睨んだ。もうよく見えない。
こうやって声を掛けてくる奴はいた。
でも、それは俺達を助けてくれない。
知ってる。
結局何もしてくれないんだ。
むしろ危険しかない。
「くるな。」
もう叫ぶ力もない。
ーーーも俺も、逃げる事すらできないほどに疲れていた。
「安心して、何もしない。2人でよく頑張ったね。もう、大丈夫。」
信用しない。こいつも俺達を助けてくれる、天使ではない。
「くるな。殺すぞ。」
自分が思っていたよりも鋭い声が出た。でも今はなんでもいい。こいつを追い払えるなら。
「ルツ、やめとこう。」
さっきとはまた違う声がした。
「でも、、、俺たちと同じ子供を放ってけないよ。」
なんだ?言い合ってる。揉めてるのか?
なんでもいい早く、何処かに行ってくれ。
2人じゃ太刀打ちできない。
どうしよう。
「ううああああ!!!」
声を振り絞ったが、思うような声が出なかった。
棒のような脚を無理やり動かした。
力を振り絞って、蹴りをいれた。
いれたつもりだったが、その時に脚を掴まれた。体制を崩したかと思うと、視界が回った。
地面に叩きつけられ、身体が痺れた。
「ぐっ!?」
まずい。ーーーが危ない。
俺が守らないといけないのに!
「ーーー!!」
ーーーが、叫んでる。なのに俺にはその声が聞こえない。
「ちょっ!ロロ!?乱暴は、、、」
「、、、。ルツ、俺達は今あの会社に拾われてる身だよ。今の俺たちの経済力じゃ子供2人なんてどうやって養うっていうの?」
「う、、、。でも、」
「ルツ。」
「でも、放っては、おけないよ。」
男2人は話してる。
逃げるなら、今だ。
「ーーー。逃げ、よう。」
悲鳴をあげている体を無理やり動かしてーーーの手を握って出来るだけ早くあるいた。
「あっ!ちょっと待って!」
「ルツ!」
男達は追ってこなかった。
ただ、背筋が凍るような視線を感じた。
振り向いてはいけないと、本能が言った。
コメント
1件
感想聞かせて下さい!参考にします❤️