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第3話 「碧族の生き方」
🚀 シーン1:碧族の隠れ家
暗い路地を抜け、然(ぜん)とナヴィスはボロボロのビルに足を踏み入れた。
そこは、表向きは廃墟に見えるが、碧族たちの隠れ家となっている場所だった。
「ようこそ、碧族のアジトへ」
ナヴィスが腕を広げると、然の前に広がったのは意外にも整った空間だった。
壁の一部にはモニターが埋め込まれ、青白いデータが流れる。
テーブルにはコードが剥き出しの端末や、ライフカードが並べられている。
「……思ったよりまともな場所だな」
「そりゃそうだろ? 碧族は“生きるため”に動いてんだからな」
ナヴィスは肩をすくめながら、長椅子にドカッと座った。
然は部屋を見渡しながら、深く息を吐いた。
「で、これから何をするんだ?」
「まず、お前に碧族としての基礎を叩き込む」
ナヴィスはポケットから1枚のカードを取り出した。
それは、名刺サイズの半透明なカードで、青白い文字が浮かび上がっている。
「……これがライフカードか?」
「正解。お前の寿命はここに記録されてる」
然は慎重にカードを受け取る。
**《残存寿命:365日》**と表示されている。
「1年しかないのか……」
「ま、碧族になったばかりなら普通だ」
ナヴィスはカードを指で弾きながら言う。
「それを増やすには、どうするか知ってるか?」
然は答えなかった。
ナヴィスは軽く笑いながら言った。
「簡単な話だ。碧族を“保護”すればいい」
「……つまり、他の人間を碧族にすれば?」
「そういうこと」
然は無意識に拳を握った。
「……そんなの、ただの命の奪い合いじゃないか」
ナヴィスは然の顔をじっと見つめた後、軽く笑った。
「安心しろ。無理に誰かを碧族にしなくても、やり方はいくらでもある」
「どういうことだ?」
「それも含めて、お前に教えてやるよ」
ナヴィスの明るい青い瞳が鋭く光った。
🚀 シーン2:碧族の基礎
「まず、碧族として必要な知識を叩き込むぞ」
ナヴィスは端末を操作し、壁のモニターにデータを映し出した。
そこには**「フラクタル基礎理論」**と書かれている。
「フラクタルは、簡単に言えば“プログラム”だ」
ナヴィスは指をスライドさせ、さらに説明を続ける。
「簡単なコードなら寿命をあまり消費しない。だが、複雑なものほど寿命を喰う」
「……俺の《オーバーライド》はどうなんだ?」
然は自分の左腕を見つめる。
「相手のフラクタルを改変する能力……か」
ナヴィスは顎に手を当て、少し考え込むような仕草を見せた。
「正直、お前の能力はまだ使いこなせてねぇ。でも、使い方次第じゃ最強のチート能力になりうるな」
「……チートね」
然は苦笑しながら腕をさすった。
「ま、ゆっくり学んでいけ。お前には時間が——」
その時——
「侵入者発見!ヴェール・バインドの追跡信号を確認!」
すずかAIの冷静な声が室内に響いた。
「……ったく、休む暇もねぇのかよ」
ナヴィスは舌打ちしながら立ち上がる。
「ゼイン、戦う準備はできてるか?」
「……然だ」
「いや、ゼインだ」
ナヴィスはニヤリと笑い、然の肩を叩いた。
「いいか、ここが“碧族の世界”だ。お前の名前なんざ、もうどうでもいい」
然はナヴィスの顔を睨みつけたが、言い返すことはできなかった。
「行くぞ。今度は、逃げるだけじゃなくて反撃する」
——碧族としての初めての戦いが、始まる。