テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
離宮に連れて来られてから一週間が経った。
今は離宮に囚われている、というよりも自ら望んで閉じこもっていると言うべき状態だ。
以前よりも確実に自由度が増していた。ケイリクスに許可を得れば、タウンハウスからあれこれ持ってこさせたり、衣装室や宝石商を呼びつけることもできる。
とはいえドレスや装身具はすでに溢れるほど離宮に用意されていたため、主にタウンハウスの執事とのやり取りしかしなかった。
窓に鉄格子もはまっておらず、離宮の玄関扉も施錠されていない。逃げようと思えばいつでも逃げられるけれど、一度でもそんな素振りを見せればまた前回のように軟禁されるだけだ。
庭園を少し歩いていくと、ここ一帯が高い塀に囲われていることを知った。出るのは当然ながら外から侵入することも難しそうだ。やはり出入口は皇帝宮しかない。
皇帝宮へと続く扉も施錠されてはいないようで、それが逆にメリーティアを落ち着かない気持ちにさせた。
またしても試されているような気分だ。
おそらくケイリクスは、本心ではメリーティアの気持ちを疑っているのだろう。そうして隙を見せてこちらを試しては、愛されていると実感したいのだ。
メリーティアはテーブルに頬杖をついて浅くため息をついた。
侍女にレターセットを持ってこさせると、タウンハウスの執事宛てに手紙を綴る。
「これをハイゼンベルグのタウンハウスに送ってちょうだい」
ここ数日、何度かタウンハウスから物を送ってもらっているため、侍女は慣れた様子で手紙を受け取った。
このあと侍女がケイリクスのもとへ持って行って中身をあらためてから、タウンハウスへ手紙が届けられる手筈になっている。
手紙を書くともうやることがなくなってしまい、メリーティアは手慰みにクッキーをつまんだ。
侍女がいなくなると、護衛役のグウェンダルとふたりきりになる。
だがこの一週間、最初の挨拶以外は彼と口をきかなかった。
グウェンダルのほうも与えられた任務を黙々とこなすだけで、気配を消して壁になっている。
毎晩あられもない声を聞かされて辟易しているはずなのに、顔色ひとつ変わらない。
どちらかといえばメリーティアのほうがそのことを気にしてしまっていた。いっそ護衛騎士を辞退したいとケイリクスに言ってくれればいいのにと思いながら、無意識にまたため息をつく。
「……皇后陛下は怒っているかしら?」
唐突に尋ねると、グウェンダルがこちらへ視線を向けた。
離宮にいるとあまり外の情報が入ってこない。万が一モナがケイリクスの強情さに折れてメリーティアという愛人を容認するようでは、この計画は破綻してしまう。
そうなればまた一からモナを陥れる方法を考えなければならなかった。
――もしかして、皇后は本当にもう諦めてしまったのでは?
そんな考えが浮かび、頭を横に振る。
ヨハンセンを失ったモナは焦っているはずだ。そしてメリーティアを相当恨んでいるはずだから、絶対に殺そうと企んでいるに決まっている。
だけど、一体いつまで皇帝のもとに囚われていなければならないのか、期間がわからないのはつらい。
モナが今この瞬間にでも痺れを切らしてくれないかとやきもきする。
メリーティアの計画では彼女が手を出してくるのを今か今かと待っていることしかできないため、もどかしさだけが募っていった。
まだ一週間しか経っていないというのに、早くも待ちきれない。
前回モナが動きを見せたのは、メリーティアがケイリクスの子を孕んでからだ。
もし一年たってもモナが動かなければ、またそうするしかないのだろうか。できればほかの命を犠牲にしたくはない。それがたとえケイリクスとの間にできた望まぬ子の命だとしても。
「――皇帝陛下と毎日のように口論なさっているそうだ」
「まあ、そうなのね」
「…………」
メリーティアがうれしそうに手を合わせると、グウェンダルは何か言いたげに口を開いた。
しかし何を言うこともなく唇を引き結び、視線を伏せるのだった。
もあ
44
鬼霧宗作
50
#復讐
りう。
45
さぶれ-SABURE-
1,239