歌舞伎町のバーに一人、男が座ってやがる。
ウイスキーを飲んで卓に支えられて目を瞑ってる。
大分酔ってもう一時間はそこにいる。
他の客はもういない。
店ももう閉めたくてイライラしている。
ふと男は起きやがる。
だがまたフラッと落ちる。
店長らしき人が男へ立ち寄り大丈夫かと聞く。
男は答えない。仕方なく店の二階の店長の宅へ運び入れる。
水を出し、男は我にかえるように水を飲む。
店長は彼の顔をまじまじと見つめ、その顔は美しかった。
男は水を飲み干すとすぐさま礼をし、帰ろうとした。
店長が「金は…」と言いかけると男は泣き出し、店長の足にしがみついた。
「ありません…」
店長はやはりと言わんばかりの顔でいいよと言った。
男は急にニコニコしだし、踊るように帰っていった。
ありゃ相当な屑男だなと店長は嘆いた。






