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甲斐田「…」
今日は夏祭りの日
あれからあまりお母さんと話せていない
自分の部屋から一階に降りると
ソファーの上に浴衣と
「いってらっしゃい、お小遣い入れてるよ」
と書いてあるメモがあった
共働きの母さんだから帰ってくるのは遅いけど
やっぱりこう言うところはお母さんなんだな
甲斐田「……」
浴衣も、1人で着やすいのにしてくれてる
本当に、僕の将来を思ってくれたんだな
帰ってきたら
謝ろう
浴衣に着替えて、荷物を持って
玄関で、下駄を履く
甲斐田「…いってきます」
外に出て
鍵を閉めて、公園に向かう
道ゆく人は浴衣を着ている人、シャツ一枚の人
夏を感じさせる様な人々が
僕と同じ方向に向かう人々だ
甲斐田「…」
後ろから、足音がする…それが 別に当たり前だ
だけど、なぜか気になってしまう
後ろを振り返った
その時、目に入ったのは
星川「甲斐田ぁ〜っ!」
甲斐田「…!」
甲斐田「星川さんっ?!」
隣でぴょこぴょこと跳ねる星川さんは
なぜか僕の隣から動こうとしない
甲斐田「え…一緒に行く友達とかいないんすか?」
星川「いや居るよ?まぁ公園までさっ!」
そう言って僕の腕を引っ張って走ってゆく
彼女も下駄を履いてるはずなのになぜか彼女は不自由にしていない
止めようとしても彼女はきっと辞めないだろうな
まぁいいや
多分
今夜限りだから
公園につくと、やっと星川さんの足が止まる
甲斐田「はぁっ…はぁっ……なんでっ…下駄で走るんだよっ…?!」
星川「え、体力無さすぎ」
甲斐田「っるせぇ……っ」
それじゃあまた会ったら
とお別れの挨拶をしようとすが
なぜか星川さんは僕の浴衣の裾を掴んで離さない
甲斐田「…?」
どこか怪我でもしたのかと思ったが
そんな様子も無さそうだ
どうしたのかと顔を覗き込んでみたら
なぜか、凄く悲しそうな顔をしている
甲斐田「…?!」
なんだかこのまま1人にしたらダメだって思って
しっからと手を繋いで
甲斐田「待ち合わせ場所まで送りますよ」
そう言うと星川さんはバッと顔をあげて
目を輝かせる
星川「んじゃなんか奢って!イカ焼き食べたーい!」
甲斐田「な”ッ…?!」
そう言ってまた腕を引っ張られる
もしかしたら最初からこれが目的で…とも思ったが
まぁ、今回だけは許そう
甲斐田「今回だけですよ〜…?!」
星川「やっちゃ〜!」
星川「はふっ…ん〜…!やっぱ人の金で食う飯うめぇな!」
甲斐田「クソやん?」
イカ焼き買った時にわかった事だが
僕と星川さんは待ち合わせの場所が同じらしい
弦月からは穴場って聞いたんだけどな
まぁ、そんな事もあるか
するとまた
後ろから声をかけられる
フミ「星川〜!と…」
星川「あれ…フミ〜っ!!」
甲斐田「え」
ほしかわさんがフミさんにブンブンと手を振る
そして僕とフミさんの目がパッチリと合ってしまう
そして点と点が線で繋がる気がした
フミ「…2人知り合い?」
長尾が言ってた向こうの知り合いって…
星川「え、うん」
星川さんの事かよ…ッ!!!
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