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10 - 「正直」🖤💙

♥

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2025年03月31日

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朝の光がカーテンの隙間から差し込み、ぼんやりとした意識の中で、ゆっくりと目を開けた。

心地よい眠気を引きずりながら、何気なく伸びをしようとすると、じんわりとした鈍い痛みが肩や首筋に広がる。


「……ん?」


違和感に眉を寄せながら、ふと隣に目をやると、まだ布団の中で穏やかな寝息を立てる目黒の姿があった。


「よく寝てんな……」


昨夜の出来事を思い出し、ほんのりと頬が熱くなる。

まったく、どれだけ愛情表現が激しいんだか。

翔太はそっと布団を抜け出し、着替えようとパジャマのボタンを外す。

そして、袖を滑らせるように脱いだ瞬間——。


「……は?」


鏡に映った自分の体に、思わず絶句した。

首筋から鎖骨、肩にかけて、無数のキスマークと歯形が残されている。

しかも、そのどれもが微妙にシャツを着たらギリギリ見えそうな位置に配置されていて、無意識に奥歯を噛んだ。


「っ……くそっ、アイツマジで……!」


怒りというより、呆れに近い感情がこみ上げる。

いや、確かに昨日はちょっと熱かったけど、それにしたって……こんな露骨なマーキングみたいなことするか普通!?


慌ててクローゼットを漁り、ハイネックのシャツを引っ張り出して頭から被る。

ギリギリ……いや、ちょっと動いたら見えそうな位置にあるのがムカつく。

襟元を気にしながら鏡を睨みつける。


「ほんっと、アイツやることがいちいち腹立つ……っ」


その時、布団の中から微かな寝返りの音が聞こえた。

ちらりと目をやると、目黒が寝ぼけた様子でこちらを見ている。


「ん……翔太くん? もう起きたの?」

「起きたわ。っつーか、目黒、これどういうつもりだよ」


苛立ちを込めて襟を引っ張り、うっすら見える痕を見せつける。

しかし、目黒は悪びれるどころか、ふわりと笑みを浮かべながら体を起こした。


「……俺の、って分かるように」

「……は?」

「翔太くん、すぐ消えるじゃん、こういうの。だから、すぐには消えないように、ちゃんと跡つけた」


当然だと言わんばかりにさらりと告げる目黒に、心底呆れた。


「……バカじゃねぇの? 仕事あるっつーの」

「大丈夫、見えないとこにしたつもりだけど?」

「ギリッギリ見えそうだからムカついてんだよ!!」


思わず語気を強めると、目黒はクスクスと笑った。

その顔があまりにも幸せそうで、なんだか拍子抜けしてしまう。


(……正直、ちょっとキュンとしたなんて死んでも言えねぇ……)


そんな自分が悔しくて、もう一度、無防備な目黒を睨みつけた。

だが、そんな気持ちを知ってか知らずか、目黒は幸せそうにあくびをしている——。

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