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【神父の記録 1】
本日、新聞を読んだ。
この村で起きた出来事について、簡潔にまとめられている。
事実としては、誤りはないのだろう。
それでも、何かが欠けている。
———
神父:
この記事を読んだか
ユアン:
ああ
神父:
同じ川だ
ユアン:
この村では珍しくない
神父:
二十年前も、そうだった
ユアン:
昔の話だ
神父:
あなたは、その頃、この村を離れていた
ユアン:
だから何だ
神父:
……
(記録ここまで)
———
彼は、よく話す。
だが、何も語っていない。
言葉はある。
意味がない。
いや、違う。
意味を避けている。
———
結婚式の席で、村人たちを観察した。
誰もが穏やかだった。
祝福の言葉も、笑顔も、自然だった。
だが、どこかで視線が止まる。
川の方角である。
理由はわからない。
———
この村では、過去の話をする者がいない。
尋ねても、曖昧に返される。
知らないのではない。
語らないのだ。
———
二十年前の記録を調べる必要がある。
図書館に行くつもりだ。
ただ、
なぜか、
あまり長く、この場所に留まるべきではないように感じる。
———
気のせいであればよいのだが。