テラーノベル
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現地調査を終えた二人は、浜田夫人が予約を入れているリゾートホテルに向かった。
ホテルは別荘から車で20分ほどの距離にある。
駐車場に着くと、二人は車を降りてホテルを見た。
リゾートホテルは英国チューダー様式の洋館で、森に囲まれ、とても素敵な雰囲気だった。
カラマツやブナ、ナラの木々が色とりどりに紅葉し、ちょうど見ごろを迎えていた。
森の小径には、苔や山野草が広がり、散歩するのも楽しそうだ。
「素敵なホテルですね」
「素晴らしいね。森を散策したかったら明日の朝にした方がいいな。今日はもう暗くなってきたから……」
「はい。明日の朝、早起きして行ってみます」
花梨はそう答えると、後部座席から旅行バッグを取り出そうとした。
すると、柊が先に手を伸ばし、自分の荷物と一緒に持ってくれる。
「ありがとうございます」
「じゃあ、行こうか」
そして二人は、ホテルの中へ入っていった。
フロントがあるロビーは、天井が吹き抜けになっており、とても開放的な雰囲気だ。
(素敵……)
英国調の上品な内装を見た花梨は、思わず感嘆のため息を漏らす。
柊がフロントで名前を告げると、スタッフがにこやかに言った。
「城咲様、お待ちしておりました。本日はスイートルームへのご宿泊でございますね?」
その言葉に、二人は目を見開く。
「えっと……スイートですか? 何かの間違いでは?」
「いえ、ご予約はスイートルームご指定になっております」
「……ということは、スイートルームを二部屋?」
「いえ、一部屋でございます」
「「一部屋?」」
柊と花梨は同時に声を上げる。
その声に、スタッフはキョトンとしながら言った。
「何か不都合でもございましたでしょうか?」
「いえ……できれば二部屋にしていただきたいのですが。もちろんスタンダードの部屋で構いません。もし差額が発生するようならお支払いしますので」
その言葉に、スタッフは申し訳なさそうに言った。
「大変申し訳ございません。本日は満室で、他のお部屋はご用意できかねます」
「「…………」」
二人は絶句する。
「では、近くのホテルをご紹介いただけませんか? 私だけそちらへ移りますので」
「そうですね……一番近いホテルは、ここから10キロほど離れたところにございますが、紅葉祭りの影響でおそらく満室かと。念のため確認してみましょうか?」
「お願いします」
スタッフが電話をかけ始めると、柊がため息をついて言った。
「悪いな……こんなことになって……。しかし参ったな……」
「いえ、課長のせいでは……。それにしても、スイートルームだなんてすごいですよね」
「うん。浜田様のお心遣いは有り難いが、二人同じ部屋っていうのもなあ……」
柊は困ったように微笑む。
その時、スタッフが電話を終えて言った。
「お客様、大変申し訳ございません。やはり満室とのことです」
「そうですか……。ちなみに、スイートルームはツイン……じゃないですよね?」
「ダブルでございます」
「ですよね……」
柊はがっかりした様子で呟いた。
そして、しばらく考え込んだ柊は、花梨に向かってこう言った。
「俺はソファで寝るから、一晩我慢してくれないか? スイートなら、それなりに広さはあるだろうし、なるべく不自由はかけないようにするから」
「そんな、とんでもないです。私がソファで寝ます。私の方が小柄ですし、どこでも寝られる体質ですから」
「いや、それはダメだ。レディファーストだからな」
そして、柊は決意したようにスタッフに向かって言った。
「お手を煩わせて申し訳ありません。では、予定通りスイートルームでお願いします」
「承知いたしました。では、こちらにサインをお願いします」
柊が記入している間、花梨の心臓はドキドキと高鳴っていた。
(なんとか平静を装ったけど、これはかなりまずい状況だわ……まさか課長と一晩同じ部屋で過ごすなんて……どうしよう……)
花梨は、心臓が口から飛び出しそうなほどドキドキしていた。
頭の中は真っ白になり、今すぐこの場から逃げ出したい衝動に駆られる。
チェックインを終えた二人は、部屋へ向かった。
エレベーターへ行く途中、ロビーには見事なステンドグラスが輝き、窓の外には美しい紅葉の森が広がっているのが見えた。
その先にはいくつかのショップが並び、花梨はヨーロッパの可愛らしい雑貨が並んだ店に興味を引かれる。
ちょうどクリスマス時期だったため、店内には特設のクリスマスショップも設けられていた。
普段の花梨ならすぐに見て回るところだが、今はまったく余裕がなくそのまま素通りした。
(ああ、神様……なんとか無事に一晩やり過ごせますように!)
祈るような気持ちで、花梨は静かに柊の後をついて行った。
コメント
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キャーー😍スイートルーム💓 浜田様ありがとう🙌 距離を縮めるチャンス到来💏 ドキドキです💓
なんとか無事には終わらなさそうな予感🙊🙉🙈
浜田様ったら(ฅฅ///)💕💕 きっとお似合いの2人だったから恋人になりそうな予感があったのね( *´艸`)クスクス せっかくだからスイートルームを堪能しないとね🤭 一緒に添い寝しちゃう?🫰🏻➰💕