そうこうしていると、王子_ルティーサ様の護衛達が物凄く慌てた様子でこちらへ走って来た。
そりゃあそうだろう。
この国の第2王子が攫われたのだから。
ヘタをすれば首が吹っ飛ぶ。
「王子様!!!嗚呼、御無事でなりよりです……!役に立てず申し訳ありません……」
「大丈夫だ。それより、俺が攫われていた所をこの少年が助けてくれたのだ」
「リース・アビュラル公爵令息です」
「おぉ…!!!貴方様が!?」
僕が名乗ると護衛達にどよめきが走り、感謝と驚きの眼差しを向けられた。
そりゃあ驚くのも無理のない事だ。
僕はまだ8歳で子供だ。
そんな子供が人攫いの男3人を倒して縛り付けているのだから驚くのも無理もない。
そう思っていたら__
「貴方様が!あの!幼いのにも関わらず数々の猛者(もさ)を倒し、腕を上げた冷徹(れいてつ)で豪傑(ごうけつ)な王子、リース・アビュラル公爵様でいらっしゃいますか!」
「え、あ、はい…?」
「噂はかねがねとてもお強いと聞いております。お会い出来て光栄です!」
「は、はぁ……」
はて、一体いつの間にそんな呼び名が付いたのだろうか。
全く身に覚えが無い。
僕が頷くと護衛達は感極まった様子で手を握り合っていた。
「御姿を拝見出来るだなんて護衛をやっていて良かった……!」
「頑張って来て良かった……!」
と、訳の分からない事を言い合っている。
とりあえずここから離れよう。
「護衛の方も来たようなので僕はこれで失礼します」
そう言って僕は誰が引き止める前に消える。
これ以上あの場に居れば、絶対にめんどくさい事になるに決まっている。
そうなる前に1秒でも居たくなかったのだ。
一方リースが居なくなった後、
護衛達は残念そうに後処理をしていた。
「逃げ足が速いんだな……折角(せっかく)友達になれると思ってお茶にでも呼ぼうと思ってたんだが……」
そう、ルティーサが呟いていた。